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2016.11.09
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
おぞましくて悪寒が走る小説として友人の間で悪名高い作品を読んだ。

○ストーリー
新宿歌舞伎町で,外人向けの夜のガイドをしているケンジは,フランクと名乗るアメリカ人に大晦日までの3日間のアテンドを依頼された。平凡な田舎のアメリカ人と思われたフランクは,奇妙な虚言癖を持ち,意外な場面で凶暴性を見せ,また血痕のついた日本の紙幣を持っていた。ケンジは前日に歌舞伎町で起きた女子高生の殺人事件を思い出してしまう。2日目の朝,ケンジのアパートの扉には,人間の肌の欠片と思われるものが貼り付けてあった。ケンジは恋人のジュンを守るために,フランクと3日間を過ごす決心をする。だがそれは想像を超えた壮絶な体験となるのだった。

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この作品は万人向けではない。

まず主人公の仕事が,歌舞伎町の夜のガイドなので,当然のように風俗店を主体とした案内が物語の展開となる。「この店ではどんな性的なサービスがある」「スペシャルサービスを受けたければ○○しろ」「時間あたりいくらだ」という会話と描写がされる。

それが10万円を払うことでモデルのような女性が出てくる,というような店舗の話ならば,まだどこかきらびやかな印象だと思う。けれども語られるのは,何千円を払えば○○で,追加で2万円を払えば○○できる,のような,ひじょうに貧乏臭く,そしてとことんリアルな男の欲望だ。

これは若い人や女性には受け入れ難いと思う。

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さらに主人公・ケンジが案内をするアメリカ人・フランクは,ゆっくりとその不気味さが伝わってくる人物だ。

まだ初日は,時々変な言動をする人,という範疇で納まっていたが,2日目の朝からはその粘着質な異常性がじわじわと明らかになる。さらにその晩には,彼の暴力的な行為が実際に物語で描写され,ケンジやジュンにもその危険が迫る。

3日目のケンジの行動は,いかにして自分の身を守るか,あるいは自分を犠牲にしてでもジュンを守るか,というピリピリしたものになる。

途中で描写される圧倒的な暴力には,多くの人にトラウマを与えかねないレベルだ。これが読売新聞に連載されていた,ということが衝撃的だ。日本,進んでいるかも?

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この作品が単なる性風俗,暴力を書き殴って終わっていないのは,こうしたことを通じて日本社会や日本人のメンタリティの特殊性あるいは矛盾について分析をしているからだろう。

生活苦からではなく虚飾のために身体を売る日本の女性の特殊さ,そして大晦日の除夜の鐘ですべての煩悩が消えてしまうという宗教感の大雑把さ,などは,確かにこの国特有の歪みや大雑把さを表していると思う。

タブーとされている事柄からアプローチしつつ比較分類学的な考察をする,なかなかに上手い構成だと思った。

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とは言え,村上龍が得意とする臨場感に満ちた,どんどんと主人公や読者を精神的に追い込むような描写は健在だ。2ページも読点が無く,句点だけで延々と暴力的な描写が続き,主人公に危険が迫り,読んでいて息継ぎが出来ないように感じてしまう。

これは正に”龍の方の村上”の極意だ。

精神にも頭脳にもダメージを与えるサスペンス。万人向けではないけれどもオススメだ。













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Last updated  2016.11.09 22:14:03
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