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2017.01.13
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ロジカル風のミステリーが得意の石持浅海の〈座間味くんシリーズ〉の第4作目を読んだ。

○ストーリー
東京流通大学の文化祭で,コスプレパレードをすることが決定された。だがそれは大学のイベントにふさわしくないと反対する一派があった。パレードに対する妨害があるとの情報が入り,実行委員会のメンバーは目を光らせていた。するとパレードの先の街路樹の根元に怪しいレジ袋が複数あった。男性メンバーはそれにゴミ箱を被せて事なきを得たが,女性メンバーが次の袋を動かした時!!

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石持浅海の作品はすべて読んでいる。ロジカルミステリーとして楽しめる一方で,共通した欠点があり,評価に困る。

まずは登場人物のちょっとした言動に対して,○○○をしたから□□□に間違いない,という決め付けが多いことだ。多くの作品で犯人決定のきっかけとなったのが,こうした細かいことだ。現実の人間はワリと意味のない行動を何の気もなしにとったりする,という事実は無視され,とにかく理詰めだけが優先される。

次に登場人物が作者の好みを反映していて類型的だということだ。ほとんどの場合,探偵役は男性,理系,大人,女性と子供に優しい,他人のことを慮れる。主人公あるいはサブの登場人物は,女性,可愛らしい,新人,そして探偵役に心酔している。

例えば有栖川有栖が展開するような,エラリー・クイーン的なロジカルですっきりとした作品世界があり,西澤保彦が展開する,パズラーとしては素晴らしいのに狂気に満ちた世界がある,そして新人の青崎雄吾が展開する鉄壁のロジックとアニメ的なキャラで構成される世界がある。

石持浅海はロジカルミステリーを書きつつも,そこから一所懸命外れて見せようとして,逆にどんどん間違った方向へ進んでいるような印象を受ける。それこそ,理系の真面目なおじさんが,職場で受けようと思って変なギャグを連発している,それに近い印象だ。

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この連作短編集は,ほぼ前作を踏襲し,パターン化された展開をたどる。

ア)ある事件の導入部が現在進行形で語られる
イ)主人公たちが新宿の大型書店で待ち合わせをし,食事する場所へと移動する
ウ)日常会話の後に,アの事件の決着が語られる
エ)〈座間味氏〉が異なる結論を語る
オ)全員でそれに賛同し,〈座間味氏〉を絶賛する

この作品には7つの短編が収録されているが,見事に上記通りの流れだ。もちろん安心感は感じるものの,3つ目の短編あたりから,またかよ,という気持ちが強くなる。

またオの部分で,
 -〈座間味氏〉洞察力がある,優しい,大人だ
 -事件に関わった女性たちは機転が利く,自己犠牲的だ
 -その女性の優秀さを見抜く〈座間味氏〉は女性の味方だ
という表現が繰り返し述べられるのも,辟易する。

過剰な女性礼賛って,裏を返せば「女性が評価されていない」「女性は弱者だ」という信念の現れなんだけれど,石持浅海って昭和的な感覚なのかな?

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石持浅海は「人柱はミイラと出会う」と「Rのつく月には気をつけよう」という連作短編集だ。これくらい頃の作品が好みだった。

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各編について簡単に感想を述べる。

「女性警察官の嗅覚」:元女性警察官はスーパーへ買い物に行き,棚の列の間を歩いている時に不審なことに気付く。彼女は店の人々を助けるために勇敢な行動を取った。称賛される彼女に対して〈座間味氏〉は・・・スーパーの各所に○○を置き,○○と○○を混ぜることは不可能だと思う。また元女性警察官が自分の子供を店員に預けたことが理解できない。

「少女のために」:男女で構成された警官たちは,ある女性のアパートを訪問した。娘への虐待で同行される女性が突然暴れだした理由とは?・・・出た!○○と言えば,他人は○○という行動を取るに違いないから,それを発言した人は○○だ,というロジック。蓋然性が低すぎないか?

「パレードの明暗」:東京流通大学の文化祭でのコスプレパレードに妨害をする予告が入った。そして当日,パレードの先に複数のトラップらしきものが見えた。実行委員会の男性はゴミ箱を被せたが,女性はそれを車道に向けた。結果的にトラップは発動し・・・一般的な視点と異なるものの見方,が〈座間味氏〉の魅力なので,わざわざ変な状況を作り出している印象だ。実行委員会の男性も女性も,トラップがどういうものか知らないのだから,その場で出来ることをしただけだと思うんだけど。

「アトリエのある家」:日曜画家がアトリエで刺された。刺したのは誰なのか?そしてその理由は?・・・ある女性への過剰な礼賛は何?結局,誰も幸せになっていない。

「お見合い大作戦」:27才の男性警察官・野尻は,碩徳中学校の女性教師とお見合いをする。まだ結婚をしたくなかった野尻は,懸命に警察官という職業の危険さ,見合わない給料など悪い点を述べ続けるが,女性はそれをことごとくさらりとかわしてしまい,やがて2人は・・・なんでもNoという女,好きになる?よほど性格が悪いか,それとも天然かなんだけれど,野尻は好きになった。そうしたヘンな状況から,さらに〈座間味氏〉が重箱の隅をつついて取り出しのは?って,もうアイディアが無いならやめればいいと思う。

「キルト地のバッグ」:外国人労働者が多い地方の公民館を,その国の閣僚が訪問する。これに対して爆破テロが計画されているという情報が入り,機動隊は警戒をしていたが,そこに外国人の女性が現れる。緊張は一気に高まった,そして爆発物が?・・・わりと評価できる短編だ。この組織は外国の地方地方にスパイを忍ばせておくというCIAやKGBもびっくりの組織力がある,ということだし,ものの分からない幼稚園児に爆発物を持たせておくという危険なことをする母親がいるし,というところは気にしてはいけない。

「F1に乗ったレミング」:ゲリラ豪雨の中,アンダーパスに向かっていた幼稚園の通園バスは女性警官に止められ,Uターンを指示された。バスが切り返しをしようとしている時,別のパトカーに追われた乗用車がアンダーパスに突っ込んだ。犯罪者を乗せていると思われる車は,そこに溜まった水で立ち往生となった。女性警官がとった行動とは?・・・これも○○という行動は,○○をするために違いない,という決め付けに満ちている。全く別の解釈もあり得る,ということは完全に無視される。こうした考えに洗脳された人が日本代表になるのか・・・















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Last updated  2017.01.14 10:45:22
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