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2017.01.14
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近藤史恵の〈清掃人探偵キリコシリーズ〉の第1巻を読んだ。

○ストーリー
新入社員の梶本大介は,会社の清掃員・キリコの仕事を時々手伝っている。そんな中,2人の前にヒヨコが現れた。どうやらある女性社員がロッカーに隠していた卵から孵化したらしい。ヒヨコは間もなく衰弱して死亡してしまった。彼女を問い詰めると,それはある人物の家から持ち帰って来たという。その人物は,その女性社員にセクハラをしており,ヒヨコはペットの蛇の餌であることことが分かる。キリコと大介は,その人物の家まで乗り込む。そして?

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近藤史恵には「ねむりねずみ」に始まる歌舞伎ミステリーがあるので,読もうとはおもっているのだが,〈ビストロ・パ・マル・シリーズ〉が尻すぼみの印象であまり合わなかった。〈パ・マル〉の第3巻も出たところなので,前から気にはなっていたこのシリーズに手を出すことにした。

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まず驚いたのが,時代のギャップだ。主人公・梶本大介は新入社員でオペレータールームに配属される。

これに対してまったく説明がないので,カスタマーコールセンターか,車両運行指示センターか,大型プラントの制御室かと迷ってしまったが,なんとただの電算入力室だった。

まあ,間違いなく新人男性社員が配属される場所ではない。

調べてみると,出版されたのは2003年なのだが,最初の短編は1997年に発表されている。これでは言葉が通じないのは仕方がないか?それだけの問題ではない気もするが・・・

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読んでいて,だんだん〈パ・マル・シリーズ〉に疲れてしまった理由を思い出した。

いわゆる日常系から殺人まで,さまざまなミステリーが起きるのだが,犯人あるいは被害者の偏った思い込みにゲッソリしてしまうのだ。〈パ・マル〉の場合は,フレンチ・ビストロという舞台に合わせるための無理があったので,不自然な登場人物ばかりとなるのかと思っていたが,この作品のようにごく普通の会社が舞台でも,やはり頭がおかしい人ばかり出てくる。

うーん,キリコのキャラクターは良いので読むことは可能だが,先行きに不安が漂う。

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「オペレータールームの怪」:新入社員・梶本大介は女性ばかりの部署・オペレータールームに配属となった。その女性たちも,総合職と一般職でお互いを避け合っているようだった。ある時,大介の作成した書類が無くなり,彼は総合職の富永に助けてもらい残業をして書類を再作成する。だがその事件は何回も続いた。この謎を解いたのは,なんと?・・・もう最初の短編から犯人のロジックについていけない。そんなことすることの方がずっと危険だろうに。

「ピクルスが見ていた」:保険の女性営業員が会社の非常階段から転落死する。どうやらこの女性は,ある女性社員と取引をしていたらしいのだが,それは?・・・保険の営業,占い,ギャンブル,までで留めておけば良かったと思う。それに〇〇を信じた逆恨みが出た時点で,意味不明となった。

「心のしまい場所」:同僚のこじんまりとした結婚式で,デパートから届くはずの引き出物が来ない。問い合わせをするとキャンセルされていると言う。だが参加者の一人が,たまたま人数分のギフトを持っていると言い出した。その人物は,以前からマルチ商法を社内で勧誘しており,そのギフトもそこの製品だった。証拠はないものの,全員がその人物を疑った。大介の同期の女性はとくにひどく憤っていたのだが,なんと同期の女性までもその説明会に参加しているようだった。・・・現世で財を成すという欲望がきっかけなので,これくらいする人がいてもおかしくないと思わせる。その後の捻りもさほど不自然ではなく,個人的には評価できる。

「ダイエット狂想曲」:オフィスの近くに出来た洋菓子店が評判で,毎日のようにそこのお菓子でお茶をしているうちに,オペレータルームの全員が体重増加となった。そして全員がダイエットを決意した時期に合わせて,業務が増え,派遣スタッフを増員した。その1人がひじょうにほっそりとしていて・・・なんだかこの会社ホントに仕事しないなあ。今どきテレビドラマでさえ,こんなの通用しないよ。えーと,病気は大変だろうけれど,そのストレスを同僚にぶつけるのは犯罪だと思う。

「ロッカールームのひよこ」:キリコの清掃を手伝っている大介,2人の前にヒヨコが現れた。どうやら大人しいと有名な女性社員がある人物の家から持ち帰ってしまったようだ。キリコと大介は,それが女性社員にセクハラをしている男性社員の家で,ヒヨコはペットの蛇の餌であることを知る。・・・いつも通りの終わり方と思わせて,ちょっとだけだが捻りがあった。

「桃色のパンダ」:娘が書いたイラストを元にした桃色のパンダのぬいぐるみが,ある課長のデスクの上にあった。そろそろプレゼントとして家に持って帰ろうとした矢先,そのぬいぐるみはバラバラにされていた。犯人は?そしてその意図は?・・・前の短編に引き続き,こじんまりとはしているが,非現実的な部分がないので破たんは感じない。

「シンデレラ」:営業部のイケメンがキリコに対して猛アタックをかけており,大介は気が気ではない。そうした折,会社のトイレがインクのようなもので執拗に汚される事件が続けて起きる。果たして,これはキリコに嫉妬した女性社員の仕業なのか?・・・この短編にしては珍しく,アリバイや犯行のテクニックが議論される。驚いた。結末はこれまで通りの不自然なキャラの暴走だった。そんなヤツばかりだな,この会社は。

「史上最悪のヒーロー」:大介は営業部へと異動となり,しかも結婚した。仕事は充実し,妻は完璧に家事をこなしてくれるが,つい探してしまうのは,いなくなった清掃員・キリコの姿だった。ある日,大介は営業先の小さなビルで,キリコと再会するのだが,彼女は逃げてしまう。・・・突然の書き下ろし短編だ。シリーズ化は考えていなかったということだろうか?それにしても大介って気持ち悪いヤツだ。あ,でもこの会社の社員だからこれが普通か?











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Last updated  2017.01.17 22:27:58
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