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2017.01.31
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日本の古代文書をテーマにした伝奇ホラーを読んだ。

〇ストーリー
視力を失い,近代治療に絶望し,伝承を信じてある島へ渡った婚約者を取り戻すため,可奈子はその島へと渡る。だがその島での生活は予想以上に過酷なものだった。必要以上にひどい食材を食べさせようと島の人々の意図は?そしてそこにいるはずの婚約者は?

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〈禍記〉(マガツフミ)という名の,古事記,日本書紀以前に存在した古文書を目にした人々は,呪われた存在に出会ってしまう。そうした設定で繋がっている連作短編集だ。

短編としては5つの作品が収められているが,それを補完する形で〈禍記〉関連の短編が挿入されている。

構成も含めて,ホラーとして仕上げられている作品だ。

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ミステリーや児童文学などを読んでいると,その作品世界の生温さにイライラしてしまうことがある。現実から読者を守るためなのか,読者の共感を得るためなのか,かも知れないが,現実社会や周辺の人間関係と上手くいっていない人物を主人公に据えて,それを肯定的に扱っていることが多いからだ。

そうしたイライラが理由なのかも知れないが,一定周期でホラーや〈嫌ミス〉など,毒を持った作品を読みたくなる。読者を甘やかすことなく,現実あるいは現実以上のひどい状況が描写されると,あの生温い世界に対しての批判を感じて,どこかスッキリする。

世の中の人がこうした読み方をしているかどうかは知らないが,読書というものの体験の両側を理解することは重要だと思う。

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この作品は〈禍記〉(マガツフミ)の存在をめぐって,それに翻弄される人々を描いている。確かに単純なホラー小説として提供されるよりも,一定の裏設定のようなものがあって,それが連作として展開されることで,作品としての奥行きや深みのようなものが生まれている。

残念なのは,作者自身がその設定を捨てて,SF仕立ての短編を混ぜるなどをしていることだろう。設定としては良いのに,わずか短編5編でそれから外れてしまったのは残念だ。

伝奇小説を目指すなら,最初から最後まで,その空気で作品を支配してもらいたかった。

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各編について簡単に感想を述べる。

「取りかえっ子」:理想の相手と結婚し,さらに出産を迎えた静香は,故郷の記憶に残る〈取り換え子〉がトラウマとなり,自分の子供を可愛がることが出来ない。果たして彼女の子供は,本当に彼女の産んだ子なのか?・・・最初から不自然な設定なのだが,周り中がそれを不自然と思わず,その不自然さを解消するかのように不幸な事件が起きる。主人公・静香はそうした状況に巻き込まれる形で,どんどんと不幸になっていく。なかなか多重構造に逃げられない状況だ。

「天使蝶」:妻の故郷にいる蝶が,学会に対する画期的な発表となると判断した男は,娘と息子を連れてそこに移住する。だがその閉鎖的な村で体験したのは,村の独特の儀式めいた子供たちの扱いだった。それによって息子は?・・・やや足りない部分はあるものの,この作品の中ではなかなかの出来の短編だと思う。どうしようもなく流される状況も,その後のカタストロフィーや,それとの戦いもよく描かれていると思う。

「怖い目」:視力を失い,伝承を信じてある島へ渡った婚約者を取り戻すため,可奈子はその島へと渡る。だが盲目の人々と彼らが恐れる〈百目さま〉との暮らしの末に,可奈子が得たものとは?・・・予定調和的な部分は強いが,佳作だ。だが前作に続き,変にリアルとの整合性が意識されており,その小さな部分とそれまでの流れの歪んだ部分との摺り合わせに疑問を感じる。

「妄執の獣」:ある街で,大人ばかりが死亡する事件が起きていた。主人公の昭吾は,息子の聡と上手くいっておらず,その生意気な言動に思わず手を挙げてしまう。だが聡はモムという友人に,その一部始終を相談しているらしいのだが?・・・現実世界の中で展開しているということを含め,この作品の中でぴか一の短編だ。自分と息子が上手く行かないという,誰にでもありそうな悩みを中心に,主人公の罪を含めて,拡大していくホラーが素晴らしいと思う。

「黄泉津鳥船」:恒星間の旅行を実現するワープは,搭乗者の一時的な死を要求するものだった。だが,それを利用して?・・・いきなりのSFは,さすがに違和感がある。あと一編の短編を書くことは出来なかったのだろうか?















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Last updated  2017.01.31 22:15:41
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