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2017.03.29
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〈しゃばけシリーズ〉があまりにも有名だが,畠中恵はそれ以外も書いている。明治を舞台にした〈若様組シリーズ〉の最新作を読んだ。

○ストーリー
維新から20年も経った東京で,動乱の時代に財を成した小泉商会の当主・小泉琢磨は,勢力を強めつつある軍部に対抗するために,反戦の勢力ネットワークを構築することを決心する。その計画のために使われたのが,旧官軍の士族の子弟たちで巡査を務めている〈若様組〉たちだった。小泉当主が見込んだ相手との縁組を設定される〈若様組〉の面々だったが,その運命は?

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築地の外国人居留地で育った皆川真次郎ことミナを主人公にしていた「アイスクリン強し」で始まり,ミナの友人の旧官軍出身の巡査たちを主人公にしたシリーズへと変貌している〈若様組シリーズ〉の第3巻を読んだ。

シリーズと言っても,ミナの物語で始まり,〈若様組〉の長瀬が主人公の過去編が第2作だったので,この作品でようやくシリーズが構成されたという印象だ。

心配なのは,ミナ,長瀬,小泉沙羅の三角関係が,大きく動いたまま結末を迎えたことだ。のんびりした明治を舞台にしたミステリーシリーズだと思っていたのに,何やら変な方向へと進んでいる気がする。

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〈若様組〉のほとんどは旧官軍の家系で,士族時代からの家臣たちを抱え続け,巡査の高くはない給金で暮らしているので,普通ではまともな縁談は訪れない。

だから小泉当主の強引な縁談話で,良家の女性と出会えることは幸運とも思っているので,少なくない数のお見合いが語られる。

ミナの洋菓子修行,沙羅のイギリスへの遊学への妨害に反発し,〈若様組〉と当主は対立するような立場になるものの,それ以前はいいように当主の手駒として使われているようで,あまり感心できない。

読み終えた後に,〈若様組〉の矜持って何なんだよ?と疑問を持ってしまう。まだまだ作者・畑中恵が先のプランを悩みつつ書いているような印象だ。

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各編について簡単に感想を述べる。

「園山・運動会」:小泉当主が設定する見合いへの参加を要請された〈若様組〉。最初に選ばれたのは美男の凶器・園山だった。〈若様組〉は,小泉沙羅が通うパーク女学校の運動会に警備を名目に派遣され,そこで園山と女学生はお目見えをするはずだった。だが女学生には別の強引な求婚者がいたことで,騒動は起きてしまう。・・・時代の動乱に乗じて財を成したはずの小泉当主が,突然戦争反対の活動を始めるのが納得いかないのだが,強引にこの作品は進んでいく。大きな設定が説明され,沙羅も通っているという理由で登場人物たちが動きやすい女学校で物語は展開する。導入編としては可だと思う。

「小山と小沼・川開き」:〈若様組〉でも元の家柄と性格が大人しい小山と小沼の”目立たない”コンビに縁談が来た。だが会ってみれば,双方の相手とも森本という悪党を捕まえてもらいたくて,巡査との顔つなぎを望んでいたことが分かる。だが2人は,知人の安野の親分の協力も得て,森本を追い込もうとする。だが?・・・縁談の話を少し離れ,大捕り物の物語が語られる。この短編は良い。どうしてこの雰囲気で他もまとめられなかったのだろうか?

「加賀・百花園」:大河出警視の甥・加賀に陸軍大佐の姪との縁談が持ち上がった。だが,その話には,複数の軍人が意見をし始め,陸軍への物資の不正納入の問題も絡み始める。その結末は?・・・最初からスッキリしない短編だったが,その悪い空気は最後まで続いた。どう考えても異常な行動をとる登場人物がいて,その一方で明確に起きていることを語らない作者がいるおかげで,読者は完全に置いてけぼりだ。

「長瀬・居留地」:〈若様組〉のリーダー・長瀬にも縁談は来たが,その相手は最近起きている洋装ドレスの買い取りについての調査を依頼してくる。長瀬が調べ始めると,それは小泉当主の計画と相反するものだった?・・・いよいよ長瀬にも春が来たか?と思いきや,園山も一緒にいるし,もう縁談はどうでもいいのかも知れない。長瀬と沙羅に一定の決着は付くものの,前の短編に続いて何を目指しているかが分からず混乱する。

「真次郎・亜米利加」:祖父の元に避難した小泉沙羅は,イギリス遊学を果たすために様々な人に連絡を取る。世話になっている小泉当主の意向と,沙羅の気持ちに挟まれた〈若様組〉は?・・・小泉当主の手駒であることを嫌った〈若様組〉は小泉沙羅の手駒になる?唐突の自己実現物語に〈若様組〉も当主も巻き込まれ,この作品本来の流れが完全に断たれているのが気になる。読者がぽかーん,だけでなく,物語も破綻しているのだけれど,これをまとめる気があるのだろうか?展開が斜め上過ぎて,さすがに擁護出来ない。














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Last updated  2017.03.29 22:46:50
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