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2017.06.07
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カテゴリ:ばくばく冒険小説
西尾維新の人気シリーズ〈化物語〉の第22巻を読んだ。

○ストーリー
あの事件の頃から5年が経過し,〈僕〉・アララギ暦は大学を卒業し,警察官となった。キャリア研修の一環として故郷の直江津署に赴任した〈僕〉は,怪異を取り締まる〈風説課〉に配属される。新しい同僚と出会う一方で,かつての友人たちとも再会し・・・

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〈化物語〉も長大なシリーズとなっているので,これから手を出す人はなかなか決心がいると思う。

この作品は,いわゆる第4シーズンの最終巻にあたり,次から第5シーズンが始まるらしい。

これまでの21冊は,ごく一部の例外を除き主人公たちが高校3年生である1年間の中で物語が進行していた。この最新巻だけ,いきなり5年間時間が飛び,主人公たちは大学を卒業し就職している。

これには驚いた。第5シーズンになった際にそれを行うならともかく,既往のシーズンの最終巻でそれとは???さすがは西尾維新だ!・・・いや,どうだろう?大したことないか・・・

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語り手は久々に主人公・アララギ暦だ。4つの短編で,4人の新しいキャラクターが紹介され,怪異現象と思われる事件に取り組む。

ある意味,第1巻に戻ったような安定感がある。変化球の多かったシリーズ後半と比べると,安定し過ぎていてやや食い足りない気さえする。

そこを補うのが,これまでのシリーズヒロインが順番に登場することだ。最もなぜか八九寺真宵と千石撫子の代わりに,忍野扇と老倉育が登場している。

安定していて,このまま続けることも可能な設定だが,さすがにこれだけでは飽きられてしまうと思う。次のシーズンとなる次巻でどんな展開が準備されているのか,楽しみだ。

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各編について簡単に感想を述べる。

「ぜんかマーメイド」:直江津署に配属となったアララギ暦が調査するのは,謎の連続水難事件だった。溺れかけた子供は,謎の手につかまれたとも言っているらしい。これは新たな怪異の予兆なのか?暦とペアを組むのは,人魚のチカラを持つ周防全歌だ。・・・いきなり警察官になっているという主人公の姿がイメージできない。妹と2人暮らし,神原駿河と再会,という辺りはいつも通りの展開でホッとする。最後の事件の解決方法はちょっと理解が難しかった。

「のぞみゴーレム」:母校・直江津高校の生徒たちが下校中切りつけられるという事件が発生する。犯人の姿がなく,制服だけを切り,身体には一切の傷を残さないことから,直江津署はこれがカマイタチなどの怪異ではないかと調査を始める。暦とペアを組むのは,ゴーレムのチカラを持つ兆間臨だ。・・・シリーズの舞台だった直江津高校があっさりと登場し,そこで忍野扇と再会。小粒な短編。

「みとめウルフ」:人道的なボランティアとして有名となった羽川翼は,今では国境紛争を解決する国際的な重用人物となっていた。羽川は一時帰国をするが,完全警護の状態でホテルに缶詰めとなっている。だがなぜか彼女は,アララギ家に現れて,懐かしい一晩を過ごす。彼女はどうやってホテルを抜け出したのか?そしてその目的は?今回紹介される同僚は人狼のチカラを持つ再埼みとめだ。・・・羽川翼,もう1人の妹とも再会だ。この巻で一番の驚きが,5年間での羽川翼の変化だった。その状況があまりにも孤独で,ぐっと来てしまった。再埼みとめの一言でわずかに救われる短編だ。この巻で必読の短編となっている。

「つづらヒューマン」:海外在住の恋人・戦場ヶ原ひたぎと電話で大ゲンカをしてしまったアララギ暦の直江津署での2ヶ月の研修ももうすぐ終わる。手続きで役所に行った暦は,幼馴染の老倉育と再会し,ひたぎとのことを相談する。彼が選んだ道とは?今回紹介される同僚は人間のチカラ(?)を持つ甲賀葛だ。・・・毒舌の老倉育,毒舌の戦場ヶ原ひたぎとも再会だ。ストーリーの流れは,驚くほど前向きで〈化物語〉シリーズとも,西尾維新作品とも思えない展開だった。まさか別人が書いている・・・ワケないよな。













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Last updated  2017.06.07 08:50:46
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