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2017.10.18
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辻村深月のデビュー時の作風を思い出させる長編を読んだ。

〇ストーリー

中学校に進み,一方的にある同級生から目の敵にされたこころ。彼女は学校で居場所をなくし,家にいても脅かされ,どこにも行けなくなる。そんなこころの部屋の鏡から行けるようになったのは,なぞの施設〈鏡の孤城〉だった。似たような境遇の6人の仲間と共に,こころはあらゆる願いが叶うという鍵を探すことになる。7人は徐々に心を通わせ,ある計画をするのだが,それは失敗をきたす。彼らはそれを乗り越えることが出来るのか?そしてこの〈孤城〉の謎とは?

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まずは手に取って,その美しい装幀に感心した。落ち着いた配色,豪華にメタリックで表現されたタイトル。そして〈鏡をのぞき込む少女〉〈鏡からこちらを除いている狼仮面の少女〉から,幻想的な内容であることが推測される。

辻村深月は,以前から”少し背伸び”をして作品を書く人だった。直木賞受賞作家となって以降は,養子問題,歴史小説など,またまた”背伸び”をしていて書いていたが,正直頑張っているわりには魅力が薄いという印象だった。

この作品は,本来この人が得意としている,若者の微妙な心の動きを軸としたミステリーだ。ファンとしては,原点回帰,大歓迎だ。

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7人の若者たちが〈鏡の孤城〉に呼び寄せられ,〈希望を叶える鍵〉の捜索を指示される。まずは彼ら自身が,意図的に自分の素性を明かさないため,この状況の裏にある人間関係が見えてこない。

後半,彼らをつなぐ関係が見えてきても,ある謎があり,彼らは〈鏡の孤城〉の外で会うことは出来ない。さらに最後に,そもそも〈鏡の孤城〉とは何だったのか,という謎。

順番に少しずつ,提示した謎解きを見せていく構成力は,デビュー作には存在しなかったものだ。少年少女へのいじめや虐待を描く作品なので,どうしても過激なシーンも登場するが,直接的な描写は最低限に留め,登場人物に寄り添い,物語の本筋を大事にする流れは上品だと思った。

登場人物は7人いるのだが,彼らの過去の全てや,〈鏡の孤城〉にいない時の日常はあまり描かれない。それでも物語の謎解きは,彼らの体験や気持ちと密接に関わっている。

主人公・こころの視点を中心として,〈鏡の孤城〉にいる気持ちになって,作品世界に入ることが出来ると思う。

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こころ,あるいは他の登場人物が語る人間関係のトラブルを,「気にし過ぎだ大したことない」「時間が解決する」「そっちがちょっと我慢すればよい」と片付けるのは簡単だ。

大人になってみて驚くのは,社会人になってもイジメを行う人がいることだ。報道で,自殺,パワハラ,セクハラの記事が絶えないのはそれが理由だろう。ただ,大人になると心の武装も重厚になるので,そこそこの圧力を与えられても平気になることが多い。

ただそれは年令を重ねた結果なので,この作品の登場人物たちのように中学生という幼年と青年の中間というのは,一番心も身体も変化があり,もろさと残酷さが露呈する期間だと思う。

この作品を読んで,改めて自分の中学生時代のつらさと恥ずかしさをいろいろと思い出した。明るい思い出だけで,この時代を乗り切る人もいるのだろうけれど,2度と触れたくない時代だと思っている人もいるし,きっとつまづいてしまう人もいるに違いない。

この作品は,そうした人への優しさと応援の気持ちに満ちている。

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登場人物の個別のエピソードについても語りたいけれども,本来は一人ひとりの生い立ちもミステリー要素の1つなので,残念ながら避けておくことにする。

ただ,主人公・こころの家庭が,落ち着いていて常識がある場所であったのは,本当に良かったと思う。

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と,ここまでさんざん褒めてきたが,ラストについてはちょっと甘すぎないかと思った。

まるで少女マンガのような理想的な未来が見えている終わり方なんだけど,主人公へのご褒美としては豪華すぎないかな?

まあ,号泣できたからいいか・・・









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Last updated  2017.10.19 21:24:19
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