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2017.11.20
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2ヶ月前に発刊されたばかりの伊坂幸太郎の新作を読んだ。

〇ストーリー

住宅街で人質立てこもり事件が発生し,警察は一風変わった犯人と交渉を始め,犯人から折尾という男を捜すように指示がある。折尾と見られる男は付近にいたために警察に保護されるが,コンサルタントとして捜査に協力しようとし始める。警察は状況に戸惑いつつ,立てこもり事件を解決しようとする。だがこの事件の裏には?

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伊坂幸太郎の不思議なところは,エンターテインメント作家として大成功しながら,それに甘んじずに新しい作風を模索したり,元の作風に戻したりすることだ。ファンとしては,今まで通りの作風で,シリーズや続編を書いてもらいたいと思っているのだが,どうも伊坂幸太郎自身は自分の現状に満足をしていないらしい。

この作品は,〈元の作風〉に戻している現状の伊坂幸太郎にしても,少し分かりやすいほど以前の作品世界を意識し踏襲しようとしているように思える。なのである意味では伊坂幸太郎らしさにあふれているが,一方で他人が一所懸命に伊坂幸太郎を真似しているような,印象も感じられる。

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作品の主人公は,これまで複数の伊坂作品に登場した,空き巣であり,探偵でもある黒澤だ。一般市民としての顔,犯罪者としての顔を使い分けることが出来るので,伊坂幸太郎としても使いやすいキャラクターのようだ。また,そうした経験豊富なキャラとしての設定なので,読んでいて安心感があるため読者の人気も高い。

安定感のあるキャラクター,これまで何回も伊坂幸太郎が書いてきた状況,これで面白くないはずがない。

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だが,残念ながら僕も,家の者たちも,この作品への評価はあまり高くない。

もちろん伏線,あの〇〇トリック,ドライなようでわりと優しい決着の付け方など,さすが伊坂幸太郎だと思わせる要素はたっぷりとある。

けれども〈地の文〉,つまりメタフィジカルな存在としての語り手の声が饒舌過ぎて醒めてしまった。「この表現は〇〇を暗示しているのだが,それは後に読者にもわかる」的なコメントが繰り返されると,だんだんとイライラしてくるのは僕だけではないと思う。

妙に「レ・ミゼラブル」を意識していたようだけれど,あちらは19世紀,こちらは21世紀なのだから,素直に語ってくれればいいと思う。

普通にしていても伊坂幸太郎ワールドは,シュールでドライ,けれどもどこか優しい,という空気なのだから,それをメタで語られると,小説ではなくてあらすじを聞かされているようで没入できず,とにかく醒める。

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せっかくの面白いプロットが,語り口のために楽しめたかった気がする。

キャラクターや描写の魅力はあるだけに,個人的にはひじょうに残念だ。












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Last updated  2017.11.20 21:54:40
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