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2018.05.10
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カテゴリ:びしびし本格推理
〈新本格ミステリー〉の30周年を記念して講談社が刊行した短編集を読んだ。

〇ストーリー
兵庫県の山間を准教授・火村と作家・有栖川有栖は調査旅行に行っていた。調査を終え,1泊して帰宅するところ,近郊で殺人事件が発生した。火村たちは,そこに出向いて,〈船長〉と呼ばれ,地元の人に親しまれていた男の死の真相に迫ろうとする。

ーーーーーーーーーーー

同じように講談社から刊行された〈新本格ミステリー〉30周年短編集の「謎の館へようこそ 白/黒」では,他のシリーズからのスピンオフが多かった。

同じ記念短編集,まして”名探偵”という言葉がタイトルに入っているのだから,読者が期待するのは決まっているーー各作家のメインシリーズからのスピンオフだ。

結果は・・・名探偵ほとんど出てこないじゃん。

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〈新本格ミステリー〉という流れがあった。その代表作家は,綾辻行人,有栖川有栖,法月綸太郎などで,一大ブームとなった。それは第二世代,あるいはメフィスト世代とも呼ばれる京極夏彦,西澤保彦,森博嗣も加えて続き,第三世代の西尾維新たちが登場した頃に,ライトノベル勢力との覇権争いに負けた,ということだと理解している。

今回の企画はその30周年記念ということで,ムーブメントを積極的に支えた講談社のものだが,読み終えてみれば,企画側と作家側の温度差を感じてしまって,わびしい気持ちになる。

せっかくの回顧イベントなのだから,もう少し作家側にそれにノル雰囲気があってもいいのではないだろうか?出版社側の熱意が作家たちに伝わり切れておらず,半数以上の作家が”本流の名探偵”を登場させない,全体的にテンションが低い,という状況に留まっている。

実に残念だ。作られたムーブメントであっても,それにノッテ見せる余裕は,出版社と作家で双方にメリットがあると思うのになあ。

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悲しいけれど,〈新本格ミステリー〉も終わりなんだと,はっきりと感じた。

作家たちにそれを維持する気持ちが無いのだからもう終わりだ。このままラノベ風のミステリーの波に蹴散らされてしまうのだと思う。

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各編について簡単に感想を述べる。

「水曜日と金曜日が嫌い」麻耶雄嵩:山道でショートカットをしようとした美袋三条は,遭難しかけ偶然見かけた洋館に助けを求める。そこでは親の命日のために帰省をしていた4兄弟とメイドの女性がいた。だがそこで殺人が起き・・・短編なのに〈館もの〉風のゴシックっぽい雰囲気だ。さすがにラストは急ぎ足だが,シリーズ探偵のメルカトルも登場するので,この企画の主旨をきちんと理解している佳作だと思う。

「毒饅頭怖い」山口雅也:落語〈饅頭こわい〉の主人公・鶯吉は財を成したが,その息子たちは父親に似て嘘つきばかりだった。怒った鶯吉は彼らを勘当しようとするが,饅頭を口にした途端倒れてしまう。果たして事件の目的と犯人は?・・・嘘つきが嘘つきを責めるって,良いのだろうか?最近の山口雅也が落語とミステリーの融合に挑戦していることは知っているが,この企画でそれを披露しなくてもよいと思う。シリーズをいくつも持っているのになあ。
「プロジェクト:シャーロック」我孫子武丸:警視庁で閑職にいた木崎という警官が作ったのは”シャーロック”という対話型AIだった。オープンソース化を行い,全世界の有志で開発が進んだこのAIは,その名前に恥じない推理能力を持つに至った。そんな中,木崎が殺される・・・短編SFとしては面白いのだけれど,ミステリーとしてはうーむ。類似短編があるのもうーむ。

「船長が死んだ夜」有栖川有栖:調査旅行の先で,准教授・火村と作家・有栖川有栖は事件に出くわす。船員を引退して地元に帰っていた男〈船長〉が何者かに刺殺されたのだった。・・・さすがは有栖川有栖だ。短編の中に,なぜ殺した?どうして〇〇が〇〇?ときっちりと読者への謎かけと解答を用意している。また何と言ってもシリーズ探偵の火村が登場だ!さすが外さない作家だ。
「あべこべの遺書」法月綸太郎:1人の男は自宅で毒を飲んで死んでおり,もう1人の男は自分のマンションから墜落死をした。なぜかそれぞれの家には相手の遺書が置かれていたのだが,この2人は互いを憎み合っていたのだ。法月警視は息子の綸太郎に事件を語り,2人で謎解きを試みる。・・・奇想な展開で始まり,探偵たちが様々な推理を語り合って真相に近付いていく。登場するのもシリーズ探偵の法月綸太郎。及第点なのだけれど,問題は全部ディスカッションだけで終わってしまって,結局真相は分からないことだ。

「天才少年の見た夢は」歌野晶午:世界規模の戦争が勃発し,人々はシェルターに避難する。どこかに優秀な才能がある少年少女を集めたアカデミーの生き残りである〈ぼく〉たちは,アカデミーの安全なシェルターに避難していたのだが,そこで連続殺人事件が起きる。だが名探偵の鷺宮アイは沈黙を続け・・・また短編SFで,推理の余地もなく進んでしまう。せっかくの特殊な才能の少年少女も個性を発揮できずサヨナラだ。完全にラノベを読んでいる気分だった。げっそり。

「仮題・ぬえの密室」綾辻行人:〈京大ミステリ研〉出身の作家・綾辻,法月,我孫子は,学生時代に聞いたはずの「ぬえの密室」というミステリーについて調査と議論を続ける。いつ,どこで,誰が,と徐々に謎は解かれるのだが,肝心の部分は呪いのように明らかにならない。そんな中,綾辻に甦った記憶とは?・・・これは賛否両論の短編だろう。この本の企画には沿っているのだが,メタエッセイ風でミステリー作品としての空気は薄い。ミステリー作家そのものがアイドル扱いだった頃を懐かしむか,同人誌風の楽屋落ちに反感を覚えるかで,大きく評価は分かれるだろう。個人的には,〇〇〇をうまく絡めてくれたことで,ゆるせた。(笑)













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Last updated  2018.05.12 12:20:46
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