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カテゴリ:きらきらポストモダン推理
文庫化された七河迦南の作品を読んだ。
〇ストーリー 杏那と優のカップルは,来場者の体験を重視することで有名なテーマパーク,”ハッピー・ファンタジア”でデートをする。だが,本来は一般来場者立入禁止の研究所の塔に踏み入ったことで,2人は殺人事件に巻き込まれ,さらには杏那は”ハッピー・ファンタジア”そっくりの剣と魔法のファンタジー世界,優は現実世界へと別れ別れとなってしまう。世界を救い,再会するために,2人はそれぞれ推理をするのだが・・・ ーーーーーーーーーーーー 書店で平積みとなっていて,説明を読んでみたら,現実パートとファンタジーパートに分かれていて,それがシンクロするミステリーという説明だった。 何それ,面白そう!ということで読んでみることにした。 ーーーーーーーーーーーー 作品は,千葉にある夢の国をベースにしたテーマパークを舞台にしている。現実世界では男性が主人公で,このテーマパークのある場所で起きたパーク主催者の1人の殺人事件の謎解きを行う。 ファンタジー世界では,何倍にも拡大し,危険も増し,実際に魔法も使えるというテーマパークの中で,女性が主人公となり,冒険を繰り広げる。 解説でうたわれていたほど2つの世界はシンクロしないのだけれど,現代のミステリー作品らしく,1つの作品なのに複数の謎解き,複数の設定が盛り込まれていて,盛り沢山の印象のまま進んでいく。 ーーーーーーーーーーーー いろいろな部分で欠点はあるのだけれど,このいびつな物語を1つの作品に仕上げた,ということだけで,作者と編集者に敬意を表したい。 ミステリー作品としての部分以外に,チェス,魔方陣,アナグラム,ミステリー談義と,遊びが多い。よくもまあ,これを単行本化する許可が出たものだ。 いくつかの遊びは謎解きもしないで終わっている,と,読者を信じているのか,バカにしているのか分からないところがホントに驚いた。 ーーーーーーーーーーーー 今の時代なので,ネットにきちんとすべての謎を解説した感想文がアップされているので,読み終えた後ならば,前記の不満は解消できる。 ただし,2人が主人公として他の登場人物にスッと受け入れられてしまう状況には最後まで馴染めなかった。だって2人は進入禁止のところに入り込んだ不審者でしょ? でも,ミステリー風味の冒険小説として読めば楽しめた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.06.20 22:10:14
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