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長い潜伏期間のあとに発病する牛の感染症「ヨーネ病」(菌)にアメリカの酪農農場の約70%が汚染されていることが,4月に公表されたアメリカ農務省の報告書(研究リポート)で明らかになりました。
野党議員の調査で判明したもので,食品衛生法は,ヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止しており,アメリカからノーチェックで輸入されている乳製品への対策強化が迫られています。 報告書によると,アメリカ国内の酪農農場のうち,ヨーネ病の感染が認められたのは全体の68.1%でした。農場の規模ごとの集計では,500頭以上の農場で感染が95%と高率なこともわかりました。 日本へは,アメリカから2007年に,ナチュラルチーズが6,418トン,ホエイ(食用乳清)534トン,プロセスチーズ416トン,乳糖45,565トンが輸入されています。 国内では,昨年11月に神奈川県内でヨーネ病の疑陽性の感染牛がみつかった際,流通していた牛乳の回収を行いました。厚生労働省は食品衛生法にもとづいてヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止してきました。 しかし,アメリカからの輸入乳製品は,ヨーネ病に汚染されているかどうかのチェックは行われていません。 今回明らかになったアメリカ酪農農場のヨーネ病高率汚染の実態は,輸入乳製品の問題にとどまらず,アメリカ産牛肉の「ヨーネ菌」汚染のおそれも露呈したといえるでしょう。 輸入乳製品のヨーネ菌汚染の問題は,野党議員が5月13日の参議院農林水産委員会でもとりあげ,ノーチェックでアメリカから輸入される乳製品にも国内同様の規制を求めていました。 厚生労働省の藤崎清道食品安全部長は「情報収集を継続して行いながら,当該国におけるリスクを総合的に判断をして必要な措置をとっていきたい」と答えていました。 ヨーネ病に感染した牛の食肉や乳製品の流通が食品衛生法で禁止されている理由について,牛のヨーネ病と人の難病「クローン病」(慢性下痢症)の関連が指摘されているため「人への影響が懸念されるので,流通を禁止している」と説明してきました。 今回の汚染実態は,政府にアメリカ産牛肉と乳製品について新たな対策を迫るものといえます。 【参考】ヨーネ病 長い潜伏期間のあとで慢性下痢症をおこし,死にいたる牛など家畜の病気。病原菌「ヨーネ菌」は結核菌の仲間で,人の難病「クローン病」との関連が疑われています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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