BOSSの備忘録。

ザ・シネマハスラー

映画秘宝の「日本映画縛り首」シリーズが何故か再開されない？
あちこちから圧力が掛かっているのだろうか？
でも、そんなの関係ねぇ、が、映画秘宝の映画秘宝たる所以ではなかったのか。
負けるな、映画秘宝ッ！！
で、面白くない映画をキチンと面白くないと云ってくれるメディアがなくなってしまい、淋しいな、と思っていたら、この本に出会った。
もとはラジオ番組だと云うことだ。
評論している宇多丸さんと云う方は存じ上げないのだが、評論を読む限り映画通で目線も確か、そして何より、映画秘宝よりである。
何より、云いっぱなしになっていないのがイイ。
何故、詰まらないのか？　または、面白いのか。
どうすれば、面白くなるのか？
キチンと批評として成り立っていると思う。
で、これを読んでいると今の日本映画のダメさ加減が良く分かる。
逆にハリウッド映画がビジネスとして如何にもの凄いかも良く分かる。
ホントにビジネスに徹してゆけば映画は面白くならざるを得ないような気がする。
日本のテレビ局系の作品は作品の力で観客を動員しているわけではなく、明らかにテレビ局の宣伝の力である。
宣伝さえうまく行けばお客さんは入るのである。
だから、映画としては「変な映画」が多い。
ハリウッドはおそらくビジネスとして成立させるためのシステムがどの部門もキチンとしていてこの「変な映画」が現出する確率が少ないのだろう。
もちろん、それでも、時々、表れる、その不思議。
特に脚本に関してはやはり大きな差があると思わざるを得ない。
それは、この「ザ・シネマハスラー」にも書かれているが日本映画の詰まらない原因の多くはその脚本にある。
逆にハリウッド映画の面白さの原因も多くは脚本にある。
そしておそらくそれは、脚本を書くノウハウの問題にまで遡る話になるのだろう。
そろそろ真剣にこの脚本術で良いのか？　と、誰かが問い直さなければならないのではないだろうか？
そしてそれは、読み手の問題でもある。
プロデューサーにホンを読む能力がないのではないだろうか？
プロデューサーもホンを読む訓練をするべきであろう。
または、ハリウッドの様にプロデューサーと脚本家と演出家で面白い映画作りの方法論を一からシステム化するなんてことをしてみたらどうだろう。
とにかく私たち観客は面白い映画を観たいのだ。

この本の中で紹介されていながら未見の作品があったので試しに何本か観てみた。
書いてある通り面白かったり詰まらなかったりした。
何を観てイイか迷っている方の参考にオススメ。
さらに映画を観る自分の目線がどの程度なのかを知るのにも役立つと思う。

パート2の出版を願う。