水の都松江を巡る11
最後は松江三つ目のパワースポット“神魂(かもす)神社”前回紹介しました八重垣神社と違って、ほとんど観光客が訪れることはありません。では、何故訪れたのかといいますと、ここには国宝の本殿があるからです。島根の人もパワースポットとして、ここを挙げる人が多いという程、地元の人に昔から愛されてきた神社ということです。松江の最後はそんな由緒正しき神社を紹介します。 八重垣神社と神魂神社をつなぐ1.6kmの遊歩道“はにわロード”を歩きます。沿道には、馬や鹿そして家などをかたどったはにわが置かれています。このはにわロード周辺には古墳が多く発見されているんですね。 途中、高床式の建物をモチーフにした休憩所もあり、のんびりと散策しながら歩けます。 神魂神社の鳥居に到着しました。この鳥居はあとからつくったものでしょう。桜の木がずっと並んでいました。開花したら見事な桜並木になるのでしょう。ここからが本来の参道になります。もうここから空気の違いを感じます。神社の正面に「神魂神社」と彫った古い碑が建っています。鳥居の先には、ゆっくりとした勾配の石畳の参道が続いており、御手洗(みたらし)の所で参道は二手に分かれます。そのまま真っ直ぐ進む参道は女坂で傾斜が少ないのですが、右手の男坂は急勾配の階段になっています。男坂の石段を登り切ると、目の前に神社の社殿が見えてきます。一見して、歴史的にも価値がありそうな建物で、威圧感があたりに漂よっているのを感じます。 本殿は現存する最古の大社造建造物であり、昭和27年3月に国宝に指定されました。昭和23年の修理の際に、柱から正平元年(1346年)の墨書が見つかったということですが、現在の社殿は天正11年(1583年)の再建と考えられています。祭神であるイザナミノミコトは女神なので、本殿の屋根の千木(ちぎ)の先端が水平に切ってあります。 【本 殿】国宝神魂神社の特徴は出雲国造の大祖と言われています。天穂日命(アメノホヒノミコト)が創ったとされ、厳格な空気が境内一帯を包んでいます。流行りのパワースポットというよりは、場所も静かなところに建立されており、観光的要素がまったくない秘密めいた神社です。天穂日命(アメノホヒノミコト)は、出雲大社の最高の神官である「出雲国造」の祖先です。この神官の家系は、出雲国造として25代までこの神魂神社の祭主を勤めていましたが、西65kmの杵築の地に出雲大社が創建されると、祭主として大社に移住しました。しかし、その後も「神火相続式」「古伝新嘗祭」奉仕のため、この神社に参向するということです。 この神社が、由緒ある格式の高い神社であることは容易に想像できますね。 【本殿右の境内社;杵築社・伊勢社・熊野社・釜】 【貴布祢(きふね)稲荷両神社】国重要文化財貴布祢稲荷両神社の社殿も天正11年(1583年)の建立で、重要文化財に指定されています。社殿が小さいのであまり目立たちませんが、桃山時代の建築様式である2間社流れ造りで、出雲地方では珍しい造りだそうです。帰りもはにわロードを引き返します。もうすぐ八重垣神社ところになって、急にこのような空模様になってきました。まさか、八股の大蛇が降りてくるのでは・・・・・。そんなわけないですよね、雲の間からは太陽の光が射してきました。 20分ほど歩くと八重垣神社の前の夫婦椿のところに到着しました。ここからは松江駅までバスで移動します。 神魂神社にしろ八重垣神社にしろ自然の中にある神社なので、参道や境内を歩くだけでも多くの緑に心が洗われるような感覚を味わえます。出雲と松江の二日間、これ以上ないパワー(気)に触れ、感じることができました。そしてそのパワーをどれだけ、またどのようにいただくかは、その人その人のその時の心と体の状態によるのだと思います。“神頼み“ではなく、これからの一日一日が良かったと言えるように、感じたパワーをエネルギーに変えて、行動につなげていきたいですね。 《 完 》