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窓の外は鉛色だ。 湿気で埋まった部屋の 湿気で萎れた窓辺で 私は身を縮こまらせて 視点の定まらない虚ろな目で外を見ている 銀の雨が降り注ぐ 音も色彩も失った白黒の世界 曇った水滴がひとしずく ずしんと重たい音を立てて 何枚もの鎧で覆われた 一見複雑な私の心に 落ちる。 と同時に 私の目から零れた かすかな呻き 甘い甘い痛み 甘い甘い苦しみ "これが今日のあたしのおやつよ ぺろりと平らげてやるわ" 湿気を含んだ黒髪を艶やかせて そう呟き口角を上げた 私は自ら欲し そしてゆっくりと咀嚼し 味わう 湿気で満ちた心に 鉛の滴を大事に抱えて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011/02/27 03:37:28 AM
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