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カテゴリ:飲み食いの話
小学館が炎上模様のようだが、「科学的根拠」が問題になっている。確かにこの漫画、始まった初期はなかなか面白かったが、だんだん作者の趣味の部分がおおきくなってきていると思う。 もう20年くらい前になろうか、大手醤油会社のエンジニアとして勤務していた頃、醤油が取り上げられたことがあった。大手の商品は添加物だらけで、小さな老舗の醤油屋のほうが遥かに良心的な作り方をしていて昔からの伝統製法を守っていて味に深みがある・・・と言うような内容だった。 当時の醤油協会がこの漫画に反論したかどうかは忘れてしまったが、雁屋氏の基本的な考えはここに帰納していると思う。大量生産はダメ、大手の商品は儲け主義のごまかしもの、ということだ。 現実に、醸造工業と言うのは雑菌との戦いと言ってよい。コウジカビと納豆菌の戦いからコウジカビを優先的に育てるのが麹作りだ。多分、だが全くの純粋培養では醤油の風味が出来るかどうかは疑問だと思っている。複数の微生物の産物が適当に混じっているのが醸造物なのだ。 木桶とステンレスのタンク、どちらが一定の品質を保てるか。仕込み容器の蒸気滅菌は常識だ。 木桶は物理的にも大きなものには限界があり、大きいほど人件費も含め品質管理も困難になってくる。微生物管理のための温度管理、衛生管理があってこそスーパーの目玉になるような価格での供給ができるのだ。 小さな規模の醸造所は風味の好みさえ合えばよい製造所だろうが、例えば小豆島のあちこちに点在する仕込み蔵には、やっと屋根だけがあると言うところもあるし、野鳥が巣を作っているのも珍しくない。人がいないところもある。小さければよいと言うのは作者の趣味でしかない。 放射能のこともそれと似たようなもの。醤油の漫画以来、氏の作品は正しい知識を広めるツールではなく、科学的根拠とは無縁の金もうけのツールだと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年05月13日 08時25分19秒
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