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私:昨日は、地方都市に住む知人の葬儀があり、前日に1泊し、午前から出席し、1日かかったので、8日のブログを休むことになった。
1泊したビジネスホテルにあった朝日新聞の朝刊の「社説」で神戸製鋼問題を扱っていたのを読んだので、それをとりあげる。
A氏:神戸製鋼が製品の品質が取引先の求める基準を満たしていないのに、データを書き換えて出荷したという不正行為については、このブログでは知的街道ができているね。
「神戸製鋼、強度改ざん トヨタなど200社に納入 アルミ・銅製品」、「神鋼、品質軽視の体質 強度データ改ざん『暗黙の了解』か、ずさん管理 長期か」、「神鋼『品質より納期』数値改ざん、社内調査を公表・「生煮え」調査、遠い解明 具体性乏しく」、「失敗から学ばない経営」、「JIS法、罰金引き上げ 経産省、上限1億円に データ改ざん受け」、デミングやISO9001の忘却・「大企業の品質偽装はトップの責任」などがあるね。
私:「社説」では川崎博也会長兼社長と副社長1人が4月に辞任し、新体制で再建に取り組むというが、本当にウミを出し切り、体質を一新できるのか、そんな疑問を抱かざるを得ないほど、問題の根は深いとしている。
神戸製鋼の調査報告によると、収益偏重の経営の結果、とにかく受注を増やして売り上げを伸ばす「生産至上主義」が現場に広がり、能力以上に注文を受けた工場では、顧客が求める仕様で安定的に製品をつくることができず、不正に走ったと「社説」は引用している。
事業部門ごとの縦割りが強く、人事交流がほとんどないため、かつて不正に関わった社員が昇進し、数代にわたって不正が引き継がれた例もあり、OB2人を含む役員経験者5人が不正について関与したり黙認したりしており、取締役の間で問題が共有されることはなかった。
驚くべき内容だと「社説」は指摘しているが、まだ全容がわかったわけではないく、一部の工場で70年代に始まった不正がなぜ、グループ会社を含む計23工場に広がったのか、明確な答えは示されていないという。
A氏:「社説」では君が指摘するISO9001認証との関係に全くふれていないね。
私:「社説」では 神鋼以外でも三菱マテリアルや東レ、宇部興産など素材メーカーグループで品質不正が相次いでいて、事情はさまざまだが、収益追求の圧力や人手不足など、現場にひずみをもたらす共通の要因もありそうだとしているが、デミングやISO9001の忘却・でふれているように、共通している重要な点にふれていないね。
それに、おかしいのは、こないだの川重の新幹線台車の亀裂事故は、現実に不合格品が顧客に実害を与えている例だが、神戸製鋼が顧客の要求通りの品質でないのに、合格品としてデータを改ざんして出荷していたが、顧客から実害が発生したというクレームがないことだね。
その点、川重の台車の品質問題と異なる。
これは、顧客の品質要求(顧客の設計要求)が無意味に厳しいことを意味しているのではないかね。
顧客の要求は、顧客の設計部門で決めるが、設計者の能力が低いと「ものづくり」の「工程能力」を無視して不必要な高度の品質の設計をしてメーカーに要求することがある。
「ものづくり」のメーカーのベテランのほうが「工程能力」に詳しいから、そんな工程に無知な設計要求を軽視することがあり、メーカーのベテランは「こんな無意味な設計要求をするとは、『ものづくり』を知らない奴だ」と腹の中で思っていたのだろう。
A氏:神戸製鋼問題の根底は「社説」のいう収益偏重の経営や「生産至上主義」の結果ではないようだね。
最近、顧客の設計部門の設計がIT化するにつれ、コンピュータが図面をきれいに描く。
そして、設計者は「ものづくり」の現場にいかなくなる。
「ものづくり」の現場の「工程能力」の知識に乏しい設計者の質の低下が問われているケースが多いようだ。
これは、3年前のマンションの杭打ち工事について、ブログ「杭偽装、問われる業界 下請け任せ、不正見逃す」で指摘した通りだ。
新聞記事を書く方も、日本の「品質管理」の現場の状況を正確に理解できる専門性がほしいね。
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Last updated
2018.03.09 20:20:18
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