しきみの木との出会い
宗教には疎い当方なんですが、
真鶴のみかん園の土手に、だいぶ以前にシキミと榊を植えました。
土留めをする為だったんですが、
そのことは、すっかり忘れていました。
ところが、
3月21日のお彼岸に、多くのご家庭では仏壇にしきみを指す習慣があるじゃないですか。
また、墓参りするのにシキミの枝をもってゆくじゃないですか。
今回のこと、みかん園の境界木でシキミによく似た巨木がありました。
農家の人が車で通る時に邪魔になるので、枝切りをしたんです。
そこで「よし、これをプレゼントしてやろう」と切った枝をたくさん束にしたんですが、
念のために、農家の3人の方に「これはシキミですよね?」聞いてみたんです。
すると3人が3人とも、「葉が似ているけれど、違うんじゃない」とのこと。
似てるけど葉が大きすぎて、違うとの点で一致してました。
残念。結局、束ねた切り枝は野焼き場に捨てることになりました。
ところがです。
2年前に元みかん畑だった山林を開拓したんですが、
その時、木を切り払っていた時に、良い香りのする木が1本あったんです。
他のすべての雑木は切り払ったんですが、その木だけは切らずに残しておきました。
今回、みかんの木の根お越しをするついでに、
その木を注意して見たら、なんとそれはシキミだったんですね。
その認識を新たにして、今回、さっそく木の周辺を整備しました。
粗末にしていたので、つる草にからまりつかれて、枝が少なかったんです。
枝をきるのは、今年はやめました。
ところが、さらにです。
みかん畑に雑草が伸びだしてくる季節になってきたんで、
雑草の伸び具合がどうか、みかん園の全体の見回りをしたんです。
すると、なんと、そこでも、シキミの2本に出逢いました。
1本はみかん園の入り口に。
もう一本は、みかん園の中の片隅にありました。
この方は、枝を切っても大丈夫そうだったので、
少し、少し枝を切らせてもらいました。
農家の人たちは、畑の隅にシキミを大事に植えていたんですね。
そんなことはちっとも知らなかったんで、
私は、この二本も邪魔者扱いしていて、
危うく、雑木として切り倒すところだったんです。
あらためて帰ってからインターネットでみてみると、
シキミは昔、鑑真和上が中国から日本へもってきたんだそうです。
空海もこれを大事にしていたとのこと。
仏教と縁のある、大切にされてきた歴史があったんですね。
認識を新たにしました。
わたしなどは、信仰のことは分かりませんが、
この香りは素晴らしいですね。
この香りを大切にしたというのは、なっとくしました。
そうした訳を全く知らずに、自分の土手に植えていたんですから。
今回、みかんの配達ついでに、3軒のお宅にシキミをプレゼントしてきました。
ただし、この木にはドクがあるので、口にしてはならないそうです。
おかげで、似た切り枝を捨てたり、本物を発見したりと、
シキミのドタバタがありましたが、
また一つの宝を、石垣山のみかん園の豊かさを、発見した次第です。
暮らしの中に、私などの知らないところに、
人々が昔から大切にしている文化があるんですね。