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2008年07月12日
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■気になる本  - さらば、哀しみのドラッグ 増補版 - 
------------------------------------------------------------

 ドラッグ【drug】とは、「学研パーソナル現代国語辞典」に
よると、
 「薬。特に麻薬。」
とでています。

 しかし、過去に紹介した本、「へんな毒すごい毒」では、
科学的にみると、毒と薬の明確な違いはないといいます。
(参考)へんな毒すごい毒

 例えば、アルコールですが、体重60kgの人は、
8000 mg/kg * 60 kg  = 480mg
となりますから、ビール大瓶で7本、ウィスキーなら
1本を飲めば、急性アルコール中毒になって死亡する
可能性があります。
(この8000 mg/kgは、アルコールのLD50です)

 同じように煙草も、そして、塩も。ようは、
ある量を摂取すると、人間の機能に異常をきたすのは
毒であるのです。(最悪、死亡することになりますが)

 但し、麻薬、覚醒剤等のドラックは別です。
身体の耐性が強まり、より以上の量を摂取しなくては
ならなくなるからです。

 今回の著者も、煙草も酒もドラックであるといいます。
だから法律で利用できる年齢を規制しているとも
いいます。しかも、ドラックは、利用も所持も栽培も
禁止されているのです。


 ドラックは、二つの顔をもつ と著者はいいます。
一つは、天使の顔をもつと。ドラックをやると充実感や
万能感、陶酔感や快感を得るといいます。
二つめの顔は、不気味に笑う死に神の顔だといいます。
ドラックの乱用を行えば、心の死を迎え(人格喪失、
不信、殺人までも)、そして身体の死を迎えるといいます。

 いま、このドラックが、若年者(少年少女)や
ストレスを受けた大人も、ものすごい勢いで飲み込まれて
いると著者はいいます。


 いま、「さらば、哀しみのドラッグ 増補版」
(著者 水谷修、出版社 株式会社高文研、
発行年月 2007年10月)を、読みました。
 その直前には「夜回り先生」を読んでおります。

 著者のプロフィールは、カバーから紹介します。
------------------------------------
水谷 修(みずたに おきむ)氏。
1956年、神奈川県横浜市生まれ。
上智大学文学部哲学科を卒業。
1983年に横浜市立高校教諭となる。
1992年から同市立定時制高校に勤務、
2004年9月に高校教諭を辞職。
高校在職中から、青少年の非行問題、薬物問題に取り組み、
「夜回り」と呼ばれる深夜の繁華街におけるパトロールを
続けてきた。高校教諭辞職後も、全国の子どもたちから
寄せられるメール・電話相談に答えながら、講演活動で
全国各地をまわっている。
------------------------------------------

 著者が、信念と熱い情熱で悩んでいる少年少女と
対峙し、「おっせっかい」と言われながらも心に
響く言葉で、相手の生きる力を奮い立たせるのには
感動しましたし、尊敬します。

 両方の本にも紹介されていますが、福島県いわき市
出身の母親とシンナーを乱用した少年。著者の力不足
が、少年を自殺に追いやったと述べています。
(どうもこの事件が著者の行動の原点とも思える
のです。)

 その時の医者の言葉が読者の心を刺します。
「水谷先生、彼を殺したのは君だよ。
いいかい、シンナーや覚醒剤などの薬物を止めること
はできないというのは、依存症という病気なんだよ。
あなたはその病気を愛の力で治そうとした。
しかし、病気が愛の力や罰の力で治せるものですか。
(中略)その病気を治すために、私たち医師がいる
のでしょう。無理をしましたね。」


 著者が、経験からドラックを乱用した人に対して
3つの救いの方法を教えるといいます。
■1 自分の力で覚醒剤を絶つこと
■2 著者や専門の病院、自助グループの力を借りて
  覚醒剤を絶つこと。
■3 このまま使い続けて、警察のお世話になるか、
  死に至るまで使用するか。

 でも、悲しいかな、■1の方は、著者は経験できて
いないというのです。覚醒剤の乱用は、脳や神経系を
破壊し、同じ量では耐性が形成されてより以上の量で
満足するようになり、それがエスカレートしていくと
いうのです。そして、ドラックなしでは生きていけなく
なってしまうといいます。


 そして著者によると、現在は汚染が拡大していると
いうのです。第6次薬物汚染期だ!というのです。
但し、警察発表の汚染期とは違います。
その著者の考えによる分類を引用します。
---------------------------------
■第1次薬物汚染期 薬局で覚醒剤が買えた時代
(1945~1956)
 第二次世界大戦中に、日本国は自ら覚醒剤を
生産し、兵士や労働者に。これが戦後、ヒロポン等へ。
■第2次薬物汚染期 暴力団がドラックを資金源に
(1960~1964)
 戦後の混乱で暴力団が勢力を伸ばし、覚醒剤取締法
によって、より地下に潜っていきます。ヘロイン=ヤク。
■第3次薬物汚染期 シンナーでラリることが流行に
(1967~現在)
 有機溶剤であるシンナー、ボンド、トルエンを利用、
法が改正され規制の対象に。
■第4次薬物汚染期 一般市民に覚醒剤の魔の手が
(1970~現在)
 暴力団による覚醒剤の組織的密売が復活。乱用者の
骨までしゃぶるから「シャブ」。一部の主婦までも。
■第5次薬物汚染期 遊ぶ道具としての若者たちの乱用
(1994~現在)
 覚醒剤や大麻は、「S」、「スピード」、「アイス」
「ヤセ薬」、「ハッパ」、「チョコ」と名前を変えて
高校生へ。
■第6次薬物汚染期 ドラッグに救いを求める若者たち
(2006~現在)
 褒められない、注目されていない若者は、ストレス
が蓄積して、クスリやリストカット等に流れると
いいます。その原因は大人の社会であるのに。
---------------------------------------

 著者の慟哭(どうこく)と慷慨(こうがい)を
感じます。慷慨の相手は、私たち大人ですが。
著者の一文を引用します。
-----------------------
 私にとっては非常に悲しい薬物乱用です。なぜなら、
乱用する子どもたちを作り出した原因、責任は、
私たち大人にあるからです。この攻撃的な社会が
その背景にあるからです。でも、ドラックに救いは
ないのです。一回一回の乱用が君たち若者の明日を
滅ぼしていくのです。
---------------------------

 著者は、若者と対峙したときは、絶対に子どもたちを
叱らないといいます。

 私が思うには、子どもにはもう逃げる場所がないからだ
と思います。大人でさえ、こんな経済状勢、偽装社会、
低賃金、サービス残業、等、いやなことがありますが、
それを晴らす方法をもっています。でも、子どもには
何も方法がないのです。だから、著者が受け止めて
いると思っているのですが・・・。


 さて、後半の章には、「ドラッグのウソ、ホント」、
「薬物問題が起きたらどうするか」という、学校では
教えてくれないことが掲載されております。

 そうそう、「はじめに」では、この本を執筆しようか
どうかで、少し葛藤をしたことが書いてあります。
そして、全ての情報を曝け出し、受け取る読者の生きる
力に期待した著者に喝采を送りたいものです。

 そうです。鉛筆を削るナイフも、社会に浸透した
自動車も、ようはその使い方で犯罪の道具にもなって
しまうのです。こういう知識、知慧は、若い人の
生きる力の素として活用してほしいものです。

 尚、著者が参加していた掲示板「春不遠」
(はるとおからじ)は、新規の書き込みはできませんが、
過去の記録を参照することができます。

(参考)掲示板「春不遠」(はるとおからじ)


(追伸)著者は、今年の4月から京都の花園大学
客員教授になっているようです。同大学のプロフィール
には、何も情報は入っておりません。
 ただ、この私学の大学は、「建学の精神と禅的人間教育」
を狙いとしていようです。

(7月12日)


さらば、哀しみのドラッグ増補版


夜回り先生





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最終更新日  2008年07月12日 10時19分36秒
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