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カテゴリ:心
■気になる本 - 光に向かって100の花束 -
------------------------------------------------------- 師走の忙しい時期ですが、こんな時期ですから、 心が温まる本はないかな と思って、書庫を探しましたら、 いい本がありました。 そうそう、今度の満月は元旦になるようです。 詳しくは、1月1日午前4時前後が満月だそうです。 とすると、2010年の元旦には、満月が見られ、 初日の出も見られる(晴天であれば)というダブルの ラッキーな元旦です。 いま、 「光に向かって100の花束」(著者 高森顕徹、 出版社 1万年堂出版、発行年月 2000年11月1日) を読み終えました。 著者のプロフィールは、カバーによると次の通りです。 ------ 高森 顕徹(タカモリ ケンテツ) 昭和4年(1929)、富山県生まれ。龍谷大学卒。 浄土真宗親鸞会会長。日本各地や海外で講演、執筆など ------- 著者はいいます。 「現代人に欠けているものの一つに、努力精進があげら れる」と述べています。私にとっても痛い言葉です。 ----引用---- 高僧に、ある婦人が、子供の教育をたずねると、 「もう遅いですね」という返事。 「まだ、生まれたばかりですが」 「その子供を、本当に教育しようと思えば、あなたの お母さんから始めねば」 と言われて、驚いたという。 「いくたびも、手間のかかりし、菊の花」 一輪の花が、美しく芳香を放っているのも、 一朝一夕ではないのである。 いわんや子宝を、立派な人格者に育成するには、 なみたいていの辛苦ではない。 学校教育も、もちろん大切だが、なんといっても、 人間形成は家庭教育、とりわけ親の心構えにある。 -----引用終了---- うーん、まいりました。その通りだと思います。 「人間形成は家庭教育」 自分の子供が悪いのは、育てた親が悪いのです。 親が悪いということは、祖父母が悪いということです。 さて、これからは、著者の本の100話のうち 私が独断で選んだ3話を連続で掲載します。 私の解説よりもその文章を直接、読まれたほうが いいでしょう。 残りの97話については、書籍を購入して読んで 頂きたいとおもいます。でも、新年を迎える前に 信念のある本を読む というのは、以外とマッチ するかも。以下抜粋です。 -------- ■その1(4話) 悪人ばかりだとケンカにならない ある所に、内輪ゲンカの絶えないA家と、平和 そのもののB家とが隣接していた。 ケンカの絶えないA家の主人は、隣はどうして 仲よくやっているのか不思議でたまらず、ある日、 B家を訪ねて懇願した。 「ご承知のとおり、私の家はケンカが絶えず困って おります。お宅はみなさん仲よくやっておられますが、 なにか秘訣でもあるのでしょうか。一家和楽の方法が あったら、どうか教えていただきたい」 「それはそれは、別にこれといった秘訣などございません。 ただお宅さまは、善人さまばかりのお集まりだからで ありましょう。私の家は悪人ばかりがそろっていますので、 ケンカにはならないのです。ただそれだけのことです」 てっきり皮肉られているのだと、A家の主人は激怒して、 「そんなばかな!!」と、言おうとしたとき、B家の奥で 大きな音がした。 どうも皿かお茶碗でも割ったようである。 「お母さん、申し訳ありませんでした。 私が足元を確かめずにおりましたので、大事なお茶碗を こわしてしまいました。私が悪うございました。 お許しください」 心から詫びている、お嫁さんの声がする。 「いやいや、おまえが悪かったのではありません。 先ほどから始末しようしようと思いながら横着して、 そんなところに置いた私が悪かったのです。 すまんことをいたしました」 と、続いて姑さんの声が聞こえてきた。 「なるほど、この家の人たちは、みんな悪人ばかりだ。 ケンカにならぬ理由がわかった」 A家の主人は感心して帰ったという。 ----------------- ------- ■その2(15話) 先生、毒薬を一服盛ってください 約三百年前のこと。 後藤艮山という漢方の名医がいた。 十二時も過ぎたある真夜中、一人の女性が訪ねてきた。 「よろず屋」の嫁女である。 「先生、一生のお願いです。毒薬を一服盛ってください」 ただならぬようすだ。 「なにに使うのか」 「お母さん(姑)に死んでもらうのです」 「よろず屋」の、嫁と姑の犬猿の仲は評判だった。 よく心得ていた艮山は、断ったら嫁が自害する、と 見てとった。 「よし、わかった」 しばらくして艮山は、三十包の薬を渡し、神妙に こう言った。 「一服で殺しては、あなたがやったとすぐバレる。 あなたは礫、私も打ち首。そこで相談だが、 この三十包、毎晩一服ずつ飲ませるのだ。 三十日目にコロリと死ぬように 調合した」 喜んで帰りかける嫁女に、艮山先生、なおもこう諭す。 「わずか三十日の辛抱だ。お母さんの好きなものを 食べさせ、やさしい言葉をかけ、手足をよくもんで あげなさい」 翌晩から嫁女は、言われたとおりを実践した。 一カ月目の夜、いつものようにのみ終わると、つと お姑さんが立ち上がり、驚く彼女に両手をついて、 こう言った。 「今日はあなたに、あやまらねばならないことがある。 今まできつくあたってきたのは、代々続いた、この 「よろず屋」の家風を、はやく身につけてもらう ためであった。 それがこの一カ月、あなたは見違えるように 生まれ変わった。よく気がつくようになってくれた。 もう言うことはありません。 今日かぎり、一切をあなたに任せて、私は隠居します」 己の心得違いを強く後悔し、艮山先生へ駆けこんだ 彼女は 「先生、一生のお願いでございます。毒消しの薬を、 はやく、はやく、作ってください」 涙ながらに、両手をついてたのむ嫁女に、艮山先生、 大笑い。 「心配ないよ。あれは、ただのソバ粉だよ。ハッハッハッ」 ------- ------ ■その3(15話) 一番好きな人を生命がけで育てて くださったお母さんが一番好きです あるところで、熱心に仏法を求めている娘を、嫁にもらった。 初夏の夜、雷で主人を失った姑さんが、激しい稲妻と、 天地にとどろく雷鳴に、ひとり蚊帳の中で恐れふるえていた。 かねてから雷ノイローゼの母親を案じて、二階からおりてきた 嫁が、さっそく、蚊帳の中に入り、母親をしっかり抱きしめて なぐさめた。 「お母さん、蚊帳の中にいれば心配いりませんよ。雷は電気 ですから、麻の蚊帳には通じません。死ねば一緒です」 なかなかもどらぬ妻を案じて、おりてきた息子が、母親を抱いて いる妻を見て感動した。 「おまえはあんなに、お母さんが好きかい」 部屋に帰って、夫の問いに妻は、 「あなたが世界中で一番好きです。一番好きなそのあなたを、 生命がけで育ててくださったお母さんですから、一番好きです」 -------- 師走の候、一服の清涼剤になれば幸甚です。 (12/19) 光に向かって100の花束 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月19日 10時59分25秒
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