大森暁生展
群馬県立館林美術館 大森暁生展を観て来ました。2014年に同美術館で開催された企画展でも大森さんの作品が展示されていて、今回また観てみたいと思い行ってみました。【霊気を掘り出す彫刻家】大森暁生氏は動物を主なモチーフとして、写実的でありながら幻想的な作品を生み出す彫刻家です。パンフレット裏面です。鏡から体が半分出ている動物を表現した「frameシリーズ」(上段左)や、角や棘を生やした動物の作品が目を引きます。他にもファッションブランドとのコラボ作品なども展示されています。【反骨の彫刻家】本展では作品だけでなく、大森氏の言葉も随所に展示されています。その言葉を見ると、だいぶストイックに創作へ取り組んでいるように感じました。安易な安定に落ち着かず、常に自分を追い込んでいく姿はまさに求道者ですね。また、近年の芸術界における複雑な作品に複雑な解釈を乗せることを良しとする風潮に違和感を感じていたそうです。ファッションブランドからコラボの依頼があった時「カッコイイから」というシンプルな理由で評価するファッション業界に新鮮さを感じたとも書いてありました。芸術という明確な物差しが無い世界であるため、反骨精神ともいえるその姿勢は印象的でした。【命を描く】いくつかのコーナーの中で印象深かったのが、熊本県動物愛護センターを取材して作った作品たちです。日本で殺処分される犬や猫は年間30万匹と言われています。動物愛護センターとは名ばかりの「処分場」で、多くの命が処理されています。そんな中熊本県動物愛護センターでは殺処分ゼロに取り組んでおり、ほぼゼロを達成しています。大森氏がそのセンターを取材した写真も展示されていました。場所が場所だけに、訳ありの動物が多くいるようでした。人に怯えて近づこうとしなかったり、怪我や病気で体が不自由であったり、そうした環境でも人懐っこくて明るいものなど様々です。そうしたものたちに正面から向き合ってはじめて「モチーフにすることを許される」という大森氏の言葉が印象的でした。こうしたテーマを扱う時にありがちなお涙頂戴や感動ポルノにしないという大森氏の姿勢も素敵でした。この作品たちは目に力を感じました。悲しみや苦しみだけでなく、過酷な境遇を生き抜いていくふてぶてしいまでの強さも内包しています。【作品集等】大森暁生氏の作品集も紹介されていました。木端と言端 彫刻家の作品と言葉 / 大森暁生 【本】最新の書籍です。作品だけでなく大森氏の言葉も多く掲載されています。本展で展示されている言葉はこの本から取っているものが多いようです。しあわせな彫刻 大森暁生作品写真集/大森暁生/芸術新聞社【1000円以上送料無料】大森氏が自分の作品を買った人の家を訪ねて対話するという作品集です。面白い趣向の作品集だと思います。幻触 彫刻家大森暁生 大森暁生/著掲載作品が多く、広く楽しめる作品集です。これらの作品集は美術館でも購入できます。幻想的な作品だけでなく、創作に取り組む作者の姿勢も感じられる企画展でした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村