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営業マンの備忘録

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2012年10月16日
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カテゴリ:ピアノ
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昨日まで聴いていたホジャイノフ(20歳)の2.5倍、54歳になるエルバシャの高貴なリサイタル。
この気品あふれる素晴らしいリサイタルの後には、大勢でシャンパンを空けて興奮を口にするのではなく、一人水割りをあおりながら余韻に浸るだけである。
全ての音楽、音符が生きている。
瑞々しく精錬されたサウンド。
エルバシャの完璧な舞台があった。

2012年10月16日(火) 19時開演 紀尾井ホール(1列センター左寄り)
ピアノ:べヒシュタイン

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番「デュルニツ」二長調K.284
ラヴェル:夜のガスパール「水の精」 「絞首台」 「スカルボ」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調「告別」Op.81a
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調「葬送」Op.35
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(アンコール)
ショパン:ノクターン嬰ハ短調遺作
シューベルト:即興曲Op.90-2
エル=バシャ:スザンヌのために

■レビュー■
素晴らしいコンサートの後は書くのがめんどくさくなる。
今夜は冒頭に記載した5行が全て。

モーツァルト、ベートーヴェンはこれ以上望めない最高レベルの演奏。
音が瑞々しく生きていて、模範的演奏というには失礼なほどの気高さ。
中東のエスプリと呼ばれるように、演奏スタイル(安定感・余計なことをしない・脱力が半端無い)、音の出し方(透明かつ煌びやか)がいかにも高貴で洗練されている。
かなり大きな音も出ていたはずだが、音量や興奮ばかりが全てではないといわんばかりの冷静さ。
決して青筋を立てるタイプのピアニストではないと思っていたが、一切汗を拭かない演奏なのである。
前半後半とも舞台袖には戻らず演奏を続ける。

ショパンのソナタも文句無し。上記の通り。
ただショパンの一部とラヴェルで「もうちょっと!」と思ったのはボルテージ。
途中から感じたのだが、当夜のベヒシュタインは1列目の私の頭上を抜けていっているようだった。
中間の座席の方々が大きな音が出ていたね、と話していたのが悔しい(笑)
葬送行進曲の中間部、2小節分をペダル踏みっぱなしであわや昇天しそうな美しい世界観。参った。

ラヴェルはスカルボに焦点を合わせていたのか、オンディーヌ・絞首台とも抑えに抑えた演奏。
私の座席位置と合わせても、オンディーヌはもうちょとボルテージ上げてもよかったか。また絞首台の鐘の音が清潔すぎた感がある。
しかし難曲スカルボでさえ一切演奏に危機感がない。ここはご想像の通りクライマックスに向けて一山二山ボルテージを上げる。

アンコールではシューベルト。
運指巧みに絶品の即興曲。あまりに音楽が生き生きと瑞々しいため天国が見えた。昇天寸前だった・・・。

言葉では書ききれないし、書く尽くすつもりになれない素晴らしい高潔で気品溢れるコンサートだった。

サイン会、聖書から抜け出た預言者エルバシャの雰囲気。やはり本人そのものも高貴なのである。
ブラヴォー、とお声がけしたところ、しっかり私の目を見つめながらThank you very much と微笑んでくださった。
本厄も晴れて明日からいいことがありそうだ(笑)





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最終更新日  2012年10月17日 15時21分50秒
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