カテゴリ:日本ミステリ(か行作家)
時をこえて届くあの頃からの贈りもの。
儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。 デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。 夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。 家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。 私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。 ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。 会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。 (「BOOK」データベースより) 大好きな加納さんの最新作を読みました。 あたたかさに満ちた短編集でした。 ミステリ色は水彩画のごとくうっすらとした色合いです。 モノレールねこ/パズルの中の犬/マイ・フーリッシュ・アンクル/シンデレラのお城/セイムタイム・ネクストイヤー/ちょうちょう/ポトスの樹/バルタン最期の日 表紙には不恰好で人相の悪い(猫相?)猫が口をへの字にして空中に浮かんでいます。 これがモノレールねこ。 猫の下半身は第二話に関わってくるジグソーパズルになっています。 淡い色合いで描かれた絵はおなじみの菊池健さん。さすがに息がぴったりという感じです。 「モノレールねこ」と「ちょうちょう」以外は家族の絆が描かれています。なかなか大きな夢は語れず、ささやかな幸せを求めるのが精一杯、そんな毎日のよりどころとなってくれるような作品でした。 読んだあと、人に優しくなれそうです。 好きだったのは最後の「バルタン最期の日」。 狭い池の世界しか知らなかったザリガニが、ある日男の子に釣り上げられ飼われることになります。 クールな語り口のザリガニですが、互いに口には出さないけれど家族それぞれが抱えているものが見えていました。 まさかザリガニの話で涙が出るとは思いませんでした。 モノレールねこ : 加納朋子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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