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テーマ:詩&物語の或る風景(1048)
カテゴリ:エッセイ
リクエストをいただきましたので(感激!)今日は昨秋に書いた私のエッセイをどうぞ。
ナナカマド「人生の選択」 【ナナカマド】は七回、竈(かまど・炊事で火を使う場所)にくべても燃えることのない硬い木であるとの意で付けられた名前だそうです。 薔薇(バラ)科の落葉高木(喬木とも)で北海道から九州のどこでも見かけることの出来る、とてもポピュラーでなじみのある木ですね。 秋には八対の小葉が鮮やかな紅に色づき、小枝の先に赤熟した実を鈴のようにたくさん垂らします。北海道では冬の美しい風物詩でもあります。材木は、その硬さを利用して細工物に用いられているようですね。 収穫の秋、鳥達は競うように木々がもたらした山の幸で一冬を乗り越えるための栄養を蓄えます。柿、梨、山葡萄・・・素晴らしい収穫なのでしょう。 しかし、ナナカマドの赤い実は食べられることはありません。きっと美味しくはないのです。木々の枯れ葉がすべて落ちて、ナナカマドの熟れた実だけが寂しそうに山々にたたずんでいるのです。 でも、ナナカマドは子孫繁栄のためにあきらめません。山に置き去りにされた赤い実を一生懸命に守り続けます。 じつは、その実を調べてみると、《ソルビン酸》という天然の保存料が蓄積されているのです。現在でも防腐剤やカビ防止、保存料として使用されています。 ナナカマドは長い歴史から学んだ素敵な知恵で我が子を慈しんでいたのです。 北海道の長く厳しい冬も本番です。マイナス30度を超えると木々は凍裂(樹内の水分が凍結膨張することにより、大音響で裂ける)をおこし鳥達にもいよいよ食べるものがなくなってしまいました。 残されたものはナナカマドの実だけです。鳥達はナナカマドの小枝に止まり(まずそうな顔で?)実をついばみ、皮とタネを地面に返します。 白い雪面が薔薇色に染まっていくのは2月ごろ。 北海道にも、もうすぐ春がおとずれます。ナナカマドの若芽が最初に産声をあげることでしょう。 「陰徳陽報」といって、人知れず努力を重ねた人はいつの日か、その苦労は結実して報われるといいます。 とても辛い経験の上に北海道を開拓した私達の先達に思いをはせてしまうのです。そして、いまも誰にも認められず、それでも歯を食いしばってガンバッテいる若者がたくさんいることでしょう。 貴方達の苦労は、必ず姿を変えて貴方達を飾ってくれます。 派手でなくとも、今は認められなくとも・・・自分を信じて勇気をもって!素晴らしい未来を受け取ってください。そんな生き方も私には輝いて見えます。ナナカマドのように。 遠い昔、アイヌモシリ(国)で、チセ(住居)を見下ろす高い山の上からナナカマドで羽を休めるコタンクルカムイ(シマフクロウ)はユーカラを聞いていました。深い山に入って、ナナカマドに触れてみてください。今でもユーカラが聞えてくるようです。 ------------------------ 陰徳あれば陽報あり(いんとくあればようほうあり):【意味】「淮南子」より。隠れた善行を積んだ人には、必ずはっきりとした良い報いがあるものだ、ということ。 ------------------------ 秋ですねぇ。きのこもおいしい季節。そして、生き物たち。木々が美しく命を燃やしています。生命とは、とまらず変化を繰り返すこと。生きるとは変わり行くこと。 秋はたくさんのことを教えてくれているようです。 それでは、そんな私の作品「いずる秋」でお別れいたします。 BGM付で閲覧してくださいね。←クリック じゃね。ばいばい。 詩作・画像/松尾 多聞 ここでお知らせです!もうすぐ20000アクセス!ありがとう! そこでキリ番を踏んでいただいた方へ、あなたが希望する題名とシュチエーションで私のオリジナル作品を創作させていただきますね。いらない?もらってぇーーー! ランキングに参加しました。クリックしてね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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