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テーマ:詩&物語の或る風景(1049)
カテゴリ:詩作
北海道に住む僕たちにはふるさとがあります。 それは、おじいちゃんやそのまたおじいちゃんが北海道に入植したから、本州のルーツがあるんです。 僕のおじいちゃんは関西で鎌倉時代から続く「刀鍛冶」の長男だった。 高校生の時に行ってきたけど、どこまでも続く白壁に囲まれたすごい本家だった。僕は「離れ」に通されてしばらく滞在させていただいたけれど、とっても歓待され、そして嬉しかった。 ここが、あのじいさんの家だったんだ。 貧乏をして、7人の子供を育てた。喰うや食わずの生活の北海道で立派にオヤジ達を育てた。 北海道は悪口も言われた時代があった。「どうせ北海道に行くやつらはなぁ。。。」 「食い詰め、駆け落ち、流れ者。」 そんなこと言われていた昔だった。実際に僕のおじいちゃんもね、農家の娘さんと恋に落ちて、そして、その恋が親に認めて貰えず、、、、 駆け落ちした。膨大な財産を投げ打って恋に生きた。 僕はね、本当に誇りに思うんだ。じいさん!かっこいいぞ!って。もちろん、おばあちゃんも苦労の連続だった。そんな話をするオジやオバはいつも涙ぐむ。 でもね、お金でもなく、虚勢でもなく、ただ、北海道を目指した人々があって、僕が生まれたことは確かなことだ。 「刀鍛冶」を駆け落ちしたおじいちゃんに代わって継いでくれて、松尾家を守ってくれていた次男がが亡くなったとき、おじさんがやってきた。 7人のオヤジの兄弟に財産放棄をお願いにきた。 全員、即座に署名したんだ。 「僕たちはもう、この北海道の人間です。そして、じいさんのわがままを許してください。そして、忘れないでください。僕たちは貴方達の未来になります。」って。 北海道はフロンティアの大地です。 その心が住む人に大きな夢を与えて、そして過去の苦悩の中から「繋がり」という大切な宝物を教えてくれます。 僕らには何にもまけない心の防風林があるんだ。それは、北海道を開拓して夢を見た人々の心が僕にも生きているから。 視界の無い吹雪の中。人は凍えながらも前のめりに生きてきた。いいや、生きる事が目的になったんだ。 おじいちゃん。きっと死にそうなこともあっただろう。 おじいちゃん。泣きたいこともあっただろうね。 おじいちゃん。後悔に眠れぬ夜も続いたんだろうな。 でもね、僕も皆が元気でとても幸福です。僕らの防風林は、あなた自身です。ありがとう!おっかなくって厳しかったおじいちゃん。 あなたへ、僕の作品「防風林」を贈ります。ありがとう。北海道に来てくれて。 写真をクリックしてください。↓ 「防 風 林」 アスファルトに沸立つ雨が降る 雨をすり抜ける風は温度を失い 焼けつく胸を冷却しようと寄せる 幾千万の夜を越えて 秋を迎える大地の鼓動を聞いた 飾られた全ては幻に消えていく そうだね僕は一人で生きてきた 泣きながら何もわからないまま でも今なら話すことができる 信じて欲しいから本当は淋しいから 貴方へ僕の鼓動を伝えたい 僕に沸立つ雨が降る 心をすり抜ける風は想いを君へ運ぶ 僕が本当の僕を知ったから 雨に光る遠い防風林は浮かんでる ここにおいでと呼んでいる 今までもこれからも何人も守るため 悔しくて負けないでいた僕を呼ぶ 僕を包んで守ってくれる場所がある 遠くにいる貴方に伝えたい 雨は降ることをやめて 故郷へ急ぐ僕の車の跡には 跳ねあがる水滴が虹になった 松尾多聞。感謝の涙に寄せて。 ランキングに参加しました。クリックしてね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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