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倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

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2007年01月19日
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カテゴリ:戦争ゲーム

御伽噺:第35話です。

中国人民解放軍の兵士たちは疲れていた。早く故郷の両親や家族の元に帰りたかった。神経が弱り出し、一部の部隊でとうとう勝手な動きが出た。表向きは、ゲリラと戦闘している味方の援助だったが、それにかこつけて撤退しようとしたのだ。

3月2日、間違いはそんな状況下で起こった。移動途中の中国の兵士が韓国軍をゲリラと間違って攻撃してしまったのだ。攻撃された韓国軍も相手を中国軍ではなくゲリラと勘違いして反撃した。まったくの偶発的な戦闘である。実際は相手を間違ったと言うより、兵士たちは恐怖で引き金を引くしかなったのが真実だったろう。疲れていたのだ。どちらにとっても不意だったため、たちまち両軍の損害が膨れ上がった。

偶発的事故と言うべき戦闘だが、韓国軍はこれを利用した。直ちに全軍に朝鮮領内に駐留している人民解放軍への総攻撃を命じた。一気呵成に北京まで攻めるのだ。偵察の結果、中韓国境から北京まではほとんどがら空きであることが分かったからである。中国本土の人民解放軍は治安維持のため広い中国全土に散らばっていた。

士気の低下していた人民解放軍は総崩れになった。たった1日で敗走に転じた。韓国の勢力化にない北朝鮮の都市では大混乱が発生し、多くの市民が虐殺された。

敗走している人民解放軍に混じって韓国精鋭の機甲部隊はあっという間に中国領土に進撃した。

中国の国家主席は核攻撃の命令を準備させつつ、韓国大統領と電話で会談した。

「われわれは残念な決断をしなければなりません。直ちに韓国軍の攻撃をやめさせてください。貴国はわが領土に侵略しています。これではかつての日本の侵略者どもと同じです。われわれは断固排除します。核攻撃の準備をしています」
 国家主席が言った。

「元はと言えば、貴国が軍を撤退させず、わが朝鮮半島の領有化宣言を撤回しなかったからです。直ちに降伏しなさい。われわれは、核攻撃の脅しでは屈服しません」
 韓国大統領は強気だった。韓国軍は圧倒的だったのだ。人民解放軍はヨーロッパからそれなりの武器を調達していたが、その訓練が十分なされていなかった。つまり、運用がへただったのだ。3日間の戦闘で、あっさり制空権と制海権を失ってしまう。

韓国軍は日本から送られてくる情報を元に、敵の司令部の場所を正確に割り出し、攻撃した。果敢にも敵地深くにヘリコプターや輸送機で次々と屈強の精鋭部隊を送り込み、混乱させた。不用意に核を撃てば、味方をも巻き添えにしてしまう。軍と民衆はパニックになった。中国の指導者たちは統率に自信をなくし、核攻撃をためらった。

核はその脅しにおいて最大の威力を発揮する。すでに自国の領土に深く軍事侵攻された段階では、その使用は難しい。相手の国土に核爆弾を撃ち込んでも、非戦闘員の市民を多数焼き殺し、国際的信用も失い、それにもかかわらず、侵攻している敵には何の効果もない。そして、直接侵攻している敵に核を撃ち込んだら、今度は味方を巻き添えにし、国土は核に汚染される。敵は味方に紛れ込んで戦闘しているのだ。いまや高度に訓練され、移動能力も格段に高い一人ひとりの歩兵こそ、戦場の主役だった。高いテクノロジーの情報網でつながっているため、一人ひとりが人民解放軍1個師団並みの働きをする。つまり、高度なエイズ・ウイルスのような存在なのである。小さいがゆえに強力なのだ。あまりにも破壊力の大きい核兵器は役立たずになってしまっていたのである。


そのころ、加藤総理は再び政府専用機の機上の人となっていた。清津(チョンジン)から勢力を伸ばせるかどうか検討していたのである。中国・韓国・ゲリラと虐殺を逃れた人々は清津(チョンジン)を目指して避難してきている。また、中国軍の破れかぶれの核攻撃に最大限の警戒をしていた。

「韓国軍もやりますな」
 統幕副議長が言った。
「元はと言えば、アメリカと日本が開発した軍事技術だ」
 国防大臣が言った。
「将来、韓国と戦って日本は勝てるか?」
 加藤がたずねた。
「軍事力行使の前の段階で勝負が付くでしょう」
 統幕副議長は答えた。
「総理のお仕事です」
 副議長の言葉に、加藤はふん、と軽くうなずいた。

ひとつの重大な情報が、中国で活動している自衛隊の災害救助部隊からもたらされた。

「中国の内陸部で火山性のガスのようなものが発生している」




続く。











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最終更新日  2007年01月19日 09時42分43秒
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