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倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

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2008年03月03日
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カテゴリ:戦争ゲーム
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↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります!

大国アメリカが没落した後の世界を想像しています……
その御伽噺第284話です。

その女性は射るような視線をキム“教授”の背中に浴びせている。当のキム“教授”は上機嫌で料理を口に運んでいるが、それとは裏腹にどんどんやつれていった。このままではミイラのようになるのではないか。そう思うと加藤は恐怖で喉がからからに乾いている。しかし、どうすることもできない。

そのとき、キム“教授”は箸を落とした。そして白眼をむきながら机の上に突っ伏してしまった。その瞬間女性は消えた。加藤ははっとしてキム“教授”に駆け寄った。

「大丈夫ですか」
 と、肩を抱きながら声をかける。加藤は異臭にうっと鼻と口を押さえた。キムジョンナムもハリス大佐も目を丸くしながら様子を見ている。

キム“教授”は冷たくなっていた。息をしている様子がない。まるで死んでから2、3日経ったかのようである。加藤は顔面蒼白になった。

「いわゆる“霊障”といわれている状態です」
 と、天皇が歩み寄ってきた。
「れいしょう?」
 と、加藤がききかえした。

「そうです、まあ呪いにかけられたとか悪霊がとりついたかそういった状態ですね。仮死状態です。今体の浄化が行なわれています。だからものの腐ったような臭いがするのです。彼は一応生きています」
 と、天皇はいった。

「その結晶でそんなことができるのか」
 と、キムジョンナムがいった。

「そうのようです。人は磁性体です。いわゆるオーラのようなものがあります。それを増幅する力がこの結晶にはある。昔の伝説における人智を超えた出来事、例えば死人が生き返ったとか空を自由に飛べるとかいうのはこの飛行石の結晶が絡んでいると思われます。磁性体の持つエネルギーをコントロールできるのです。仙人の世界ですかね」
 と、天皇は説明した。

「私はおぞましい姿に成り果てた通訳の女性がそこに立っているのを見ました」
 と、加藤は声を枯らしながらいった。
「あれは、私の錯覚、幻想だったのですか?」
 加藤はそうであってほしいと願っていた。幽霊などいてたまるものかと思った。それほど味わった恐怖は深かったのだ。だが、天皇は首を振って、

「幽霊は実在します」
 と、答えた。そして、
「実在するといってもその辺りに漂っているのではない。幽霊が存在するのは人々の脳の中なのです。いわば脳の中にある精神という磁性体エネルギーが幽霊を実体化させます。しかし、誰にでも見えるわけではない。その磁性体の持つ波動エネルギーの周期がポイントになります。幽霊は幽霊の持つ波動エネルギーの周期がそれを見る人と同調しない限り何も見えないし感じません。テレビのチャンネルのようなもので、チャンネルが合わないと何も映らないのと同じなのです。キム“教授”の後に立った女性の幽霊を生み出しているのはキム“教授”自身の精神エネルギーなのです。つまり幽霊とは人の分身のような物です」
 と、天皇は続けた。

「その結晶はそのチャンネルを合わしやすくするわけか」
 と、ハリス大佐がいった。

「そうだと思います」
 と、天皇はうなずういた。
「我々が見えたり感じたりする幽霊や霊魂の現象は、精神的なエネルギーが溢れ出した結果です。大抵は強いトラウマ、心の傷を修復するための精神的活動です。幽霊が現れることは恐怖ですが、だからこそ逃げずに戦うべきです。それを避けているとこのように肉体に影響を及ぼすのです。キム“教授”はその女性を欲望の対象としてしか捉えていなかった。それ故、彼も意識していなかった深層心理における良心の呵責が爆発したのでしょう。言い換えれば、磁性体のエネルギーがショートしたのです。今の彼は死体と何ら変わりない。知らない人が見れば彼の体を埋葬するでしょう。だが、もちろん死んではいないので生き返る。そして墓から甦るわけだ」
 天皇はそういって笑った。

だが、加藤らにとっては笑い事ではなかった。



続く。












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最終更新日  2008年03月03日 10時48分29秒
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