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カテゴリ:戦争ゲーム
![]() ↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります! 大国アメリカが没落した後の世界を想像しています…… その御伽噺第292話です。 日本海溝は一番深いところで8000メートルを超える。だがそこにいくまでにいくつかマグマの吹き出している海底火口がある。 潜水艦「神秘」のセンサーケーブルの探知システムは深度7000メートルの辺りでその火口を確認した。 「この火口に原石を入れてどんどん沈めていくと結晶化できます」 と、女性が説明した。 「その火口の環境はチョンジンでの核爆発の状態と同じだということですか」 と、キムジョンナムがたずねた。 「もちろん違います。核爆発は一瞬ですが、火口の奥は継続的に熱と圧力がかかります。飛行石の原石は一度液体状態に分解され徐々に再結晶化します。その過程で特殊な磁性体になるのです。その環境に日本海溝が適しています」 と、女性がいった。 「でも、どうやって結晶を回収するのかね」 と、キムジョンナムがいった。 「そんな深海のマグマの中で熱と圧力に耐えられるケーブルがあるのかね」 「もちろんありません」 と、今度は橘一郎がモニターから目を離していった。 「イメージとしては火口に原石をぽとりと落とし、勝手に再結晶化させ、噴火で飛び出してきたところを回収します、まあ…」 と、橘はにやりとした。 「運任せのところはあります」 「はっ」 と、キムジョンナムが声をあげた。 「それは凄まじく科学的だね」 と、皮肉たっぷりにいう。 「そうです」 といいながら、橘は微笑んだ。 「まさにわれわれが不眠不休で研究した結果です。飛行石の結晶は地球という母体の中で作られるのです。原石は溶けながら地球の中心に向かう。そしてマグマの対流にもまれながら再び結晶化します。そして火口から飛び出すのです。まるで何かの意思を持ったような動きです」 「どのくらい時間がかかりますか」 と、それまで黙って聞いていた加藤がたずねた。 「さあ」 と、橘は首を傾げた。 「マグマの対流がデータどおり正しければ1、2週間、運が悪ければ100年以上かかります。やってみなければわかりません。回収できればまさに貴重な結晶となります」 やがて橘一郎と女性は飛行石の原石をもって潜水ポッドに乗り込んだ。そして、その火口に向かって沈降していった。 続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年03月13日 11時29分02秒
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