二代目のお嫁さんなり

知人のカメラマンが昨日の朝、旅立ちました。
45歳という若さ、病と闘って闘いぬいての旅立ちでした。

以前勤めていた会社が彼の会社と関連会社だったので同じ建物の中にあり、
私は2階で、彼は1階のスタジオで仕事をしていました。
一緒に組んで仕事をすることは少なかったけれど、みんな仲がいい会社で、
いっぱい遊んだ仲間の一人でした。

私にとってはテニスの師匠でした。
週末は、みんなでよくテニスをしていたけれど、ホームランばかり打つ
超初心者の私を見かねて、お昼休みにいつも練習相手になってくれました。
しょっちゅう、みんなで行ってたカラオケではいつも「天才バカボン」を
替え歌で歌い、みんなを笑わせてくれました。
原稿を書くのに行き詰まり、上司にムカムカきて原稿が進まない時は
１階のカメラマン控え室に逃げ込み、おいしいコーヒーをごちそうになりました。
カメラの勉強と称して、よくモデルにして写真を撮ってくれました。
結婚式でカメラマンをお願いした時には快諾してくれて
食事もそこそこに、私たちと３００人を超えるお客様の写真を
いっぱいいっぱい撮ってくれました。
いつも微笑んでいる寡黙で優しいカメラマン。
最近は、会うこともなく年賀状のやりとりばかりだったけど
去年届いた最後の年賀状は、小学校の廊下にギブソンを置いた写真でした。
遅刻常習犯の彼らしく、いつも1月も半ばを過ぎてから届く年賀状、
そしていつもの様に書いてあった一言は太い字で「元気ですか～～！」でした。
いい写真、撮ってるなぁと思った矢先、
図書館で、その写真がポスターになっているのを発見、
すごくすごく嬉しかったのを覚えています。

こだわりを持ち、仕事では営業とぶつかる事もたびたびあったと聞いています。
カメラマンという職業を生業として、４５年の人生を駆け抜けていった彼。
多くの作品を残し、私の手元にも彼が撮った写真がたくさんあります。
彼はもう逝ってしまったけれど、遺してもらったものもたくさんあります。

お通夜の席で、お寺の若い住職が「死は誰にでもやってくるけれど、それは順番ではない」
という話をしてくれました。短い人生も長い人生もある。
それを、しっかり生き抜く事が仏となった人への供養なのだと
遺された者が唯一できることなのだと言われました。

私は、いつか向こうで会う彼に、自分らしく行き抜いたよ、と
言えるように頑張らなくちゃ。
いつもの様にはにかんだ様な笑顔の遺影の前で、
そんな風に思ったのでした。

出会えてよかった。
いっぱいいっぱいありがとう。