カテゴリ:風木、流木アート作品
あばらが見えるほど痩せてはいるが、しなやかな四肢はみずみずしい 大きく見開かれた瞳は新しい陸地を捉えて放さない。 少年は起き上がると裸のまま透きとおった海に飛び込んだ。 暖かい塩水が体に付着していた鱗のようなものを溶かしていく。 少年は自分が何者なのか知らない。 知る由もない。 まして自分がじぶんである前のことなど、彼の現在に悩める自分はいないのだ。 彼のほかに少年を引き受けるものはいない。 今ここにある自分を、彼は他の誰でもない自分で引き受けたのだ。 少年は泳ぐ。 一匹の精子のように まだ見ぬ陸地に向かって。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 26, 2006 11:55:03 PM
コメント(0) | コメントを書く
[風木、流木アート作品] カテゴリの最新記事
|
|