あまつきの第12話を見ました。
第十二夜 児手柏の両面
鴇時達は、阿片の密売を探っていた
沙門ともども中村屋の番頭に捕まり、丸太が収められている蔵に閉じ込められた。
そこへ、今様と
露草が蔵を襲撃してくる。
「まさか…!?二人とも伏せて!!」
黒鳶の助けにより、間一髪のところで蔵の爆発に巻き込まれずに済んだ
鴇時達。
今様ら妖達は爆発で痛手を負ったものの、
鴇時が主殿の依木を渡しても、人間への怒りは治まらなかった。
今様は蔵にあった丸太はかつて今様の主だった神木で、人間がそれを切り倒したせいだからと人を襲う理由を聞かされる。
――難しいことは分からない、考えたこともなかったから。でも、仕方ないじゃないか。これだけは分かるんだから。そう、俺だって、一人になるのは嫌なんだ
そこに
梵天と煤竹が駆けつける。
「何を易々と捕まってるんだい?死ぬ気?」
「梵天、何でお前が…?」
「天座の君何故じゃ!?何故、我らでなく奴らに味方する!?天座は妖の救い主ではないのか!?何故じゃ!?」
「フン、それをお前達が言っていることだ。勘違いしているようだけど、夜行は俺にとって邪魔者なんだよ。姫も夜行も等しく邪魔。俺は調和を持って良しとする。それを乱す輩が敵なだけ。お前達は夜行の手の上で少々はしゃぎ過ぎた。お前達は夜行の駒になり下がった。そんなもの俺はもう要らない。反対にそいつは案外役に立つ俺の駒の一つだ。手出しするなら許さない。返してもらうよ」
「そんな理由でわざわざこんな所まで出向くとは随分走り使いの役が板に付いたもんだな。お前がそう言うのなら、こっちとてそいつは俺とは案外縁のある妖の一つだ。手出しするなら許さねえ!!」
露草は
梵天に手を上げようとするも、
空五倍子が止める。
呆然とする
鴇時を黒鳶が助けてくれる。
そして、
平八が現れ、神木が切り倒された真相を語り始める。
中村屋の大火傷は事故だっただけで、切り倒された神木は阿片隠しに使われ、中村屋は丸太の中に阿片を見つけて粉が舞い、それに提灯の火が引火していただけだった。
「我が身を重ね、少々感情的になったところを夜行の毒に踊らされた、というところか」
「そういうのを、愚か者って呼ぶんだよ」
「露草!!刀を納めてくれ、頼む!!このままじゃ、お前もあの狐も悪いようにしかならねえ!!人も妖も辛い思いして、死んじまって終わりなんてのは俺ぁごめんだ!!頼む、この通りだ!!あの狐を助けてやってくれよ!!」
「だから人間は嫌なんだ―。何も知らず多くを奪うくせに同じ顔して泣きやがる―」
鳴り響く夜行の鈴の音が聞こえ、今様たち妖怪を回収しにやって来た。
「止めなよ、梵天」
「何故?これは君が選択した結果だろ?君は神社で俺に、彼岸に帰る前にやりたいことがあると言ったね」
「それは、真珠ちゃんのために銀朱さんの呪いを解こうと…」
「君が望んだから、俺はサービスとして情報を与えた」
「俺が望んだから」
「いいかい?君は白紙の者だ。帝天以外でここの未来を変える力を持つことがどういうことか分かるだろう?君が望み、選択しなければ天網は変わらないんだよ」
――俺がえらんだから…?
「夜行も言っていたろう?この結果は天網にはない。本来は狐に、ここの家人は全て一息に祟り殺されるはずだった。死ぬはずの人間が助かり、この場にいないはずのものが集い、哀れな狐の妖一匹だけが恨みとともに残された。君が妖を犠牲にしてでも人の命を救いたいと望んだから、そう天網が書き変わった。違うかい?片方を立てれば片方が立たないのは当然だ。それでも両方立てたいから俺にまた頼るなんて我儘にもほどがある」
「そんなつもりじゃ…」
「じゃあ、これで満足だろ」
「違う」
「自分が望んだことだ。最後まで自分で責任を負うくらいはしたらどうだい?」
鴇時は妖の中に入って行くのだった。
次回、「高嶺颪の虎落笛」