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カテゴリ:読書
原文:http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=14712
グローバル化と新世界秩序 1990 年代に新世界秩序と呼ばれるものの出現が見られた。これは、より単極の世界を述べるために1990年代初頭に現れた用語であり、ソ連の崩壊、および唯一に して比類なきグローバル権力としての合衆国の新発見の役割を指したものである。新世界秩序はグローバルな政治経済学における新しい段階を表すためのもので あったが、その世界権威は一箇所にあって、その場所は当座のところアメリカ合衆国であった。
欧州超大国
1992 年にマーストリヒト条約が調印されたが、それは1993年における欧州連合(EU)を公式に成立させた。1994年、欧州通貨機関(EMI)が設立され、 それが1998年に欧州中央銀行(ECB)となり、1999年に単一の欧州通貨ユーロがデビューした。2004年に、全欧州連合の憲法を制定するための条 約である欧州憲法が、欧州連合の25カ国によって署名される予定であった。
北米統合
1989 年のカナダ・合衆国自由貿易協定(FTA)は、ジョージ・HW・ブッシュ大統領とカナダ首相ブライアン・マロニーによって署名された。このFTAは法人お よび政治エリートを裕福にする一方で、カナダと合衆国の住民にとっては破壊的な結果をもたらした。たとえば、GDPの成長率は鈍化し、失業率は大恐慌以降 で最悪となった。[6] その一方で、ブライアン・マロニーは実業界に転進し、今や、デイヴィッド・ロックフェラーが名誉会長として留まっている外交問題評議会の国際諮問委員会に席を占めるとともに、バリック・ゴールド社の取締役になっている。[7]
理論上の新世界秩序
外 交問題評議会の機関誌であるフォーリン・アフェアーズ誌の1997年の記事で、アン・マリー・スローターは新世界秩序の理論的基礎について議論している。 1991年のジョージ・HW・ブッシュによる新世界秩序宣言を足場として、スローターは次のように書いている。多くの人々はこれを「1945年に約束され たもの、すなわち国連に指導された国際機関が世界の主要な権力の能動的支援によって国際的な平和と安全を保障する世界」と考えた。しかしながら、この概念 は大部分実行不可能であると、彼女は説明している。というのは、「それは中央集権化された立法権威、機関の階級制度、および全世界の参加を必要とする」か らである。その代わりとして、彼女は自由主義的国際主義とは対照的な、彼女が「新しい中世主義」と呼ぶものの出現について説明している。「自由主義的世界 主義者は諸国家の問題を解決するための国際的なルールと機関の必要性を見ているのに対して、新しい中世主義者は民族国家の終焉を宣言している。」 すなわ ち、「その結末は、世界政府ではなくて、グローバルな統治である。政府が確立された機関による公式の権力行使を意味するならば、統治は変化し、かつはっき りしない配役による協力的な問題解決を意味する。」[27]
世界政府の下での階級構造の復興
ゴー ルドマン・サックスの元重役でカナダ銀行総裁のマーク・カーニーは、アメリカ国際経済フォーラムでの演説で、次のように述べている。「グローバル化された 生産品・資本・労働市場は我々が切望すべき新世界秩序の核心である。しかしながら、第二波のグローバリゼーションはよりしっかりと根付かされる必要があ り、その関係者の責任はより重い。我々の経済内においては、在庫品、労働、および資本の大きな在庫調整が必要とされるだろう。」 彼の述べたことは詳細に引用するに値する。
グローバルな需要と交易のレベルは底に近付いているように思われ、在庫品と労働力の調整は既に十分為されたけれども、まだまだそれで終わりではない。 失業率はG-7の全ての国において更に上昇しそうであり、柔軟性が最小の労働市場に最も鋭い増加がまだ訪れるであろう。 雇用の見通しに対する不確かさが最も主要な経済である消費を暫くは圧迫するであろう。資本ストック調整プロセスはもっと長く掛かるであろう。そしてグローバルな投資成長率は少なくとも2010年までマイナスのままであろう。 これはグローバルな成長に対する重大な足かせとなり、最も主要な経済における潜在成長率を減ずるものと予期され得る。[29] [強調追加]
新 世界秩序内の労働調整に関して、考慮すべき幾つかの重要で肝要な因子がある。これらの関心事の中で第一のことは、国境を越えた階級という概念である。資本 主義は階級分割を通して大いに機能するが、生産手段を所有する支配階級自身も通貨発行権を有する人々に従属させられている。
社会的構築主義
グ ローバル政治経済学内の魅惑的な理論学派として、社会的構築主義というものである。社会的構築主義者は、次のように論じている。「国際関係の世界を含め て、社会的および政治的な世界は、人間の意識の外に存在する物理的実体や物質的対象ではない。したがって、国際関係の研究は、国際的な舞台での関係者達の 共有理解だけではなく、彼らを特徴付ける知識と信念にも焦点を当てなければならない。」 この考えを拡張すると:
国 際的なシステムは、ソーラー・システムとは異なり、「そこにある」何かではない。それは実体としては存在しない。それは人々の間での間主観的自覚としての み存在する。その意味で、そのシステムは物質的な力によってではなく、観念によって構成されている。それは、人間の発明または創造であるが、物理的または 物質的な種類ではなく、純粋に知性的で観念的な種類のものである。それは、一組の観念、思想の集まり、規範のシステムであり、特定の時刻と場所で、ある 人々によって取り決められてきた。
グ ローバル政治経済内の社会的に構築された構造の例は、国境線である。それは物理的な線ではなく、境界がどこにあるかに関しての様々な関係者の間の共有理解 によってむしろ成り立っている。国家そのものが社会的構築物である。それは物理的なアーチ状の形態を持っておらず、共有された価値、観念、概念、理念、機 関、信念、および象徴から作られている。このように、「もし、国際的な関係の存在を扱う思念と観念が変化するならば、そのシステムそのものもまた変化する であろう。なぜならば、そのシステムは思念と観念から成っているからである。それは、構築主義者アレクサンダー・ウェントによって何度も繰り返されている 『無政府状態は国家がそれから作るところのものである』という成句の陰に隠された洞察である。」[30]
階級構造と社会的構築主義
ウィ リアム・I・ロビンソンとジェリー・ハリスは科学&社会誌に次のように書いている。「資本主義のグローバリゼーションへの最も重要な一つのプロセスは、国 境を越えた階級の形成であり、それは資本の国際化および国家の生産構造のグローバルな統合と歩調を合わせて進行する。国家経済の国境を越えた統合が為され たならば、資本の流動性、蓄積回路のグローバルな分裂と地方分権化、および階級形成は、累進的に領土に束縛されなくなる。」[31] 彼らは国境を越えた資本家階級(TCC)が現れてきていると論じていて、「このTCCがグローバルな支配者階級である。なぜならば、その階級が現れつつあ る国境を越えた国家組織およびグローバルな意思決定のレバーを支配しているからである」と主張している。[32] この階級は境界線を持っておらず、官僚、メディア、企業、銀行など世界の社会的および政治的エリートから成っている。
グローバル政府の通貨構造
グローバル通貨
2009 年4月のG20サミットのあと、指導者達は世界準備通貨としてUSドルの代わりのグローバルな通貨の創造のための土台を据え付ける公式発表をした。 その 公式発表では次のように述べられている。「我々は、世界経済に2,500億ドル(1,700億ポンド)を注入し、グローバルな流動性を増大するであろう全 体的なSDR割当を支援することで合意したばかりである。」 SDR、すなわち特別引出権は、「国際通貨基金によって発行される合成紙幣」である。そのテレグラフ紙が伝えているように、「G20指導者達はお金を創造 するIMFの権力を作動させて、グローバルな『量的緩和』を始めている。そうすることで、彼らは事実上の世界通貨を使っている。それはどのような主権組織 にとっても管理外である。陰謀説愛好家はそれを好むであろう。」 [39]
ジェ フリー・ガーテンは、グローバルな中央銀行、すなわち「グローバルな連邦準備制度」を訴える何件かの記事を書いている。ガーテンは、エール大学経営大学院 の前学部長で、クリントン政権における商務省国際貿易担当次官経験者で、その前にはニクソン政権におけるホワイトハウス国際経済政策審議会や、フォードお よびカーター政権におけるヘンリー・キッシンジャーおよびサイラス・バンスの両国務長官の政策企画本部に勤めていたこともあり、リーマンブラザーズの前業 務執行取締役でもあったし、外交問題評議会のメンバーである。
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最終更新日
2016年02月12日 16時19分55秒
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