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ショーン007aの日記

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2016年02月12日
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カテゴリ:読書

原文:http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=14712

 

グローバル化と新世界秩序 

1990 年代に新世界秩序と呼ばれるものの出現が見られた。これは、より単極の世界を述べるために1990年代初頭に現れた用語であり、ソ連の崩壊、および唯一に して比類なきグローバル権力としての合衆国の新発見の役割を指したものである。新世界秩序はグローバルな政治経済学における新しい段階を表すためのもので あったが、その世界権威は一箇所にあって、その場所は当座のところアメリカ合衆国であった。

           
この時代には、欧州連合の形成、北アメリカ自由貿易協定(NAFTA)の締結、WTOの設立があり、地域ブロックの絶え間ない拡大・形成が 見られた。世界貿易機関WTOは、ブレトンウッズ会議で1944年に設立された関税および貿易に関する一般協定(GATT)の継承組織として、1995年 に公式に設立された。WTOは、国際的な自由貿易秩序を管理するものである。

           
WTOの初代事務総長はピーター・D・サザーランドであるが、彼はGATTの元事務総長で、アイルランドの前司法長官で、現在は国連事務総 長移民担当特別代表であるとともに、英国石油会社とゴールドマン・サックス・インターナショナル社の会長でもある。 彼はまた、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドグループ取締役会、世界経済フォーラム財団理事会のメンバーで、国連工業開発機関への親善大使であり、ビ ルダーバーグ・グループのメンバーで、三極委員会の欧州委員長である。そして、彼は欧州統合に関する業績に対してロバート・シューマン・メダルを贈られ、 三極委員会のデイヴィッド・ロックフェラー賞も授与された。[1] 明らかに、WTOは世界貿易に対する支配を拡大し制度化することにおける道具として使うための西洋の銀行業エリートの機関である。

 

 

欧州超大国

 

1992 年にマーストリヒト条約が調印されたが、それは1993年における欧州連合(EU)を公式に成立させた。1994年、欧州通貨機関(EMI)が設立され、 それが1998年に欧州中央銀行(ECB)となり、1999年に単一の欧州通貨ユーロがデビューした。2004年に、全欧州連合の憲法を制定するための条 約である欧州憲法が、欧州連合の25カ国によって署名される予定であった。

           
その憲法は、欧州超大国の設立、欧州外務大臣の創設、そしてそれによる外交政策の調和に向けた動きであった。全てのEUメンバー諸国を代表 して国連安全保障理事会における英国の席を引き継ぎ、諸国をEUの外交政策に「活発にして無条件で」従うことを強いようとするものである。それは、 NATOの付加物としてあるいはNATOとは離れてのEU防衛政策の枠組みを作るための出発点であり、EUの定義する「犯罪の定義と判決の決定の最低基 準」を定めて欧州司法制度を創立し、共通の亡命・移民政策を作ろうとするものである。そしてそれはまた、EUに「経済・雇用政策の一致を確実にする」ため の権力を手渡そうとするものであり、EUの法律はメンバー諸国の全ての法律に取って代わるもので、メンバー諸国は中央集権化された連邦政府制度内の単なる 地方にされてしまうものである。[2]

           
チェコ共和国の大統領バツラフ・クラウスは次のように述べた。「EUの発展は自由な社会からの離脱、および指導者による支配統制への益々の 接近という点で本当に危険であり」、また、「我々(チェコ共和国)は共産主義者の監視の下で半世紀過ごした」ので、より中央集権化されたEUという概念を より強く恐れている。「我々は他の欧州諸国よりも神経過敏である。我々は我々が好まない事態を感じて、見て、接触している。EUは我々に COMECON[ソ連ブロックの経済支配のためのモスクワの機関]を思い出させる。」 彼はCOMECONとの類似性は観念的なものではなく、その構造の類似性であると言って、次のように更に述べている。「決定があなた自身の国で為されな い。共産主義の時代を生きた我々にとって、これが問題である。」[3]

           
憲法の大部分は1974年~1981年の間、フランス共和国の大統領であったヴァレリー・ジスカール・デスタンによって書かれている。ジス カール・デスタンもまた偶然にも、ビルダーバーググループおよび三極委員会のメンバーであり、ヘンリー・キッシンジャーの親友でもあり、彼と共著の論文を 書いている。 2005年、フランスとオランダの有権者が彼らの国において国民投票をし、その承認のためには加盟国の満場一致が必要なEU憲法を否決し た。

           
2007年、全ての加盟国によって承認されるべきリスボン条約と称されるものを導入しようという提案が為された。ジスカール・デスタンはイ ンディペンデント紙に記事を書き、そこで「最初の憲法と現在のリスボン条約の違いは、内容よりもむしろアプローチの違いである」と述べている。彼はリスボ ン条約の草案過程を次のように述べている。 「新しい原文の草案に従事したのは、欧州理事会の法律専門家である。彼らは何も新たな提案をしていない。彼らは、憲法の最初の草案を取り出して、個々の要 素に分解したあと、それらを一つずつ繋いで現存する条約としたのである。リスボン条約はEU憲法をそのように改訂したものである。それは一般大衆にとって は不可侵のものである。」 大きな違いは、「憲法」という言葉が本文から除外・追放されたということである。[4]

           
その新聞は、条約は「憲法」という語を落としているけれども、「EUにグローバル権力の罠を与え、国家の主権を削ぎ取る」ことにおいては依 然同じであるということを報じている。それはEU大統領を作る計画を含んでいて、EU大統領の「任期は2年半で、民主国家の首長とは異なり、有権者によっ てではなく欧州の指導者達によって選ばれ、国家の政府首長から重要な国際的な交渉権を引き継ぐであろう。」 その憲法に規定されている「外務大臣」は「上級代表」になり、そのEU外務大臣は「強力なEU外交業務を遂行し、グローバルな欧州の舞台で国家の外務大臣 よりも強い権力を持つであろう。」 その憲法は「内務省」を作ることを企てていて、そのEU内務省は「指紋とDNAを含むデータベースを一元管理し、新しい警察権力と監視権力のためのEUの 法律を作るであろう。」 EU諸国が拒否権を使う能力は終わるであろう。そして、その条約は「EUの『法人格』に国家の法廷に対する優位性を与える条項を含んでいる。」[5]

           
欧州のある国は、条約締結には国民投票が必要だと書いてある憲法を持っていた。その国はアイルランドである。EUがアイルランドに与えた恩 恵のために、アイルランド国民は「賛成」票を投じる義務があると説明するEUの政治家やEU官僚によって何週間あるいは何ヶ月も悩まされたあと、2008 年6月にアイルランドにおいてリスボン条約についての国民投票が実施された。 しかしながら、アイルランド国民は顎で指図されて横柄な態度を取られること に甘んじるほど柔ではないと歴史が示すであろう。だから、彼らが投票所に行ったとき、彼らの唇と投票用紙には「反対」があった。このように、アイルランド 国民はリスボン条約を拒否し、受け入れなかった。

 

北米統合

 

1989 年のカナダ・合衆国自由貿易協定(FTA)は、ジョージ・HW・ブッシュ大統領とカナダ首相ブライアン・マロニーによって署名された。このFTAは法人お よび政治エリートを裕福にする一方で、カナダと合衆国の住民にとっては破壊的な結果をもたらした。たとえば、GDPの成長率は鈍化し、失業率は大恐慌以降 で最悪となった。[6] その一方で、ブライアン・マロニーは実業界に転進し、今や、デイヴィッド・ロックフェラーが名誉会長として留まっている外交問題評議会の国際諮問委員会に席を占めるとともに、バリック・ゴールド社の取締役になっている。[7] 

           
1990年、民間部門のロビー団体とシンクタンクは、カナダ・合衆国自由貿易協定をメキシコを含めるように拡張するために、北米自由貿易協 定(NAFTA)の促進を始めた。NAFTAは、カナダ首相ジャン・クレティアン、合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ、およびメキシコ大統領カルロ ス・サリナスによって1993年に署名され、94年に発効した。それはメキシコが自由主義経済改革をしている期間に取り決められたので、NAFTAは「北 米のための経済構造」において、その改革を固める効果があった。[8]

           
デイヴィッド・ロックフェラーがNAFTA推進において役割を演じた。1965年、彼はラテンアメリカ評議会(CLA)を設立したが、彼が フォーリン・アフェアーズ誌の1966年の記事に書いているように、「経済統合を刺激・支援するため」にその半球における民間企業を動員するという目的が あった。デイヴィッドが書いているが、CLAは「合衆国における実業家と南方諸国における相手方との間の協力のための有効なチャンネルを与える。それはま た、ホワイトハウス、国務省、および我が政府の他の機関との不断の連絡と協議の手段を提供する。」[9]

           
CLAは後にアメリカ評議会(CoA)と名前を変えたが、CLAと同じ時期に設立されたアメリカ大陸諸国国際投資協会と非常に緊密な関係を 維持している。なお、いずれの組織の会長も今日までデイヴィッド・ロックフェラーが務めている。デイヴィッドが自叙伝「回顧録」で書いているように、 NAFTAの準備段階において、アメリカ評議会は、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が出席し「西半球自由貿易地域」を求める要望で終わったアメリカ・ フォーラムを後援した。[10]

           
1993年、デイヴィッド・ロックフェラーはNAFTAの準備中においてウォール・ストリート誌に記事を書いているが、その記事において、 彼はNAFTAの署名が不可欠だと主唱し、それを彼の長いライフワークを成し遂げるための途上における肝要なステップだと述べている。そして、「500年 後、西半球における本当の『新世界』を築くための全てが整っている」と述べている。更にまた、「Naftaを拒絶するような行為を『犯罪』と言うことは、 当方としては決して言い過ぎではないと心底考える。そのような行為はこれまで為されてきて、今も為されている全ての善を非常に深刻に危うくするものであ る」と述べている。[11]

           
1994年、メキシコは、メキシコのペソ危機としてしばしば言及される金融危機に陥った。国際的な融資に関する連邦準備金利引き上げによっ て起こされた1980年代の負債危機において、メキシコは債務不履行に陥った。IMFは、その新しく作られた構造調整プログラム(SAPs)に従って介入 し、メキシコ経済を新自由主義経済政策に即して改革しなければならなかった。 

           
1980年代後半、「合衆国はメキシコの外国貿易の73%を占めていた。」[12] そして、NFTAが1994年に発効したとき、それは「合衆国とカナダの市場を開放し、メキシコの輸出のうちの84%が両国へとなった。」[13] メキシコは世界貿易機関(WTO)のメンバーになりさえした。メキシコ大統領セディージョの即位とともに1994年の終わりに始まったペソ危機は1995 年も続き、合衆国は520億ドルの緊急援助を行った。[14] その緊急援助はメキシコの経済を救援しなかった。というのは、それは、銀行、主にアメリカの銀行への負債返済に回されただけだったからである。そして、 「銀行と国際的な金貸しが返済され始めるや否や、1995年に危機は終わったと[IMFによって]宣言された。しかし、その危機のあとの5年間、労働者は それ以前に居たところへ戻っているだけである。」[15]

           
2002年、ワシントン市アメリカン大学北米研究センターの所長ロバート・パストールは、その年の三極委員会の会合に提出するための報告書 を準備した。その報告書「北米共同体―三極委員会への控え目な提案」は、北米における「深い統合」政策の継続を主唱していて、「インフラストラクチャーと 輸送機関に関する大陸的な計画、統制政策を調和させる計画、関税同盟、および共通通貨」を推奨している。[16] その報告書は北米共同体の形成を主唱していて、パストールは「三カ国全てにおいて国民の大多数は、より大きな北米という国に喜んで加わる」と書いている。
[17]

           
2003年、ポール・マーティンがカナダ首相になる前に、元BCNIのカナダ経営者評議会(CCCE)は、彼らのウェブサイトで新聞社向け の発表を公表した。その発表で、彼らは「北米についての新たな展開を開始することにおいてポール・マーティンが先頭に立つべきだと主張した。」 その評議会のCEOであるトーマス・アクィナスは、「共通の経済、社会、および安全保障問題に、大陸的・半球的・グローバルな背景に値する優先性を与える ために、カナダ、メキシコ、および合衆国の指導者が毎年首脳会議を開催するというアイデアを支持していると力説した。」 この声明は、CCCEの全ての副会長が署名していて、その中にはマーティン内閣に入閣しようとしているデヴィッド・エマーソンも含まれている。[18]

           
その後、CCCEは北米安全繁栄イニシャティブを始めて、「国境線の再定義、統制効率の最大化、包括的な資源保障協定の取り決め、北米防衛同盟の復活、および新しい制度上の骨組みの作成」を主唱した。[19]

           
その後、2005年、北米の未来に関する独立タスクフォースが始まったが、それはカナダのCCCE、合衆国の外交問題評議会(CFR)、お よびメキシコのメキシコ外交問題評議会の間の協力・連帯プロジェクトから成っている。新聞発表が2005年3月14日にあったが、それには「北米の未来に 関する独立タスクフォースのタスクフォース長および副長が、2010年までに北米経済・安全保障共同体を求めるという声明を、本日発した」と記載されてい る。[20]

           
そのタスクフォースの新聞発表の僅か9日後の2005年3月23日に、カナダ、合衆国、およびメキシコの指導者(それぞれ、ポール・マー ティン、ジョージ・W・ブッシュ、およびビセンテ・フォックス)は、「北米の安全と繁栄のためのパートナーシップの樹立」を公表したが、それは「安全と経 済的挑戦に立ち向かうための北米の骨組みに向かっての行動」の道筋を制定したものであった。[21]

           
2ヶ月以内に、北米の未来に関する独立タスクフォースは最終レポート「北米共同体の構築」を発表した。そのレポートは北米共同体の形成に向 かっての「深い統合」の継続を提案し、「公表された『北米の安全と繁栄のためのパートナーシップ(SPP)』を賞賛しているが、2010年までの新しい共 同体についてのより野心的な展望を提案するとともに、その達成の仕方について明確に勧告している。」[22]

           
SPPの2006年の会合で、北米競争力会議(NACC)と称される新しいグループの創設が発表された。そのグループは、年次報告書を作成 し、「深い統合」というSPPのプロセスをどのように履行するかについて三政府に助言する、三カ国の企業リーダーから成るものである。カナダにおける事務 局はCCCEで、合衆国におけるそのグループの事務局は合衆国商工会議所とアメリカ評議会から成る。[23] アメリカ評議会はデイヴィッド・ロックフェラーによって創設され、その名誉会長は今でも彼であり、他の取締役の中には、J.P.モルガン、メルク、マクド ナルド、フォード、ニューヨーク連銀、GE、シェブロン、シェル、IBM、コノコフィリップス、シティグループ、マイクロソフト、ファイザー、ウォール マート、GM、メリルリンチ、クレディスイス、および合衆国財務省からの人々が含まれている。[24]

           
統合のプロセスはまだ進行中で、北米共同体の形成はそう遠くない。そして、その北米共同体は欧州連合の構造をモデルにして北米連合に発展し、近い将来に北米通貨が作られるという話がある。[25] なお、その北米通貨は、カナダ銀行の前総裁によって提案されさえている。[26]


 

 

 

 

理論上の新世界秩序

 

外 交問題評議会の機関誌であるフォーリン・アフェアーズ誌の1997年の記事で、アン・マリー・スローターは新世界秩序の理論的基礎について議論している。 1991年のジョージ・HW・ブッシュによる新世界秩序宣言を足場として、スローターは次のように書いている。多くの人々はこれを「1945年に約束され たもの、すなわち国連に指導された国際機関が世界の主要な権力の能動的支援によって国際的な平和と安全を保障する世界」と考えた。しかしながら、この概念 は大部分実行不可能であると、彼女は説明している。というのは、「それは中央集権化された立法権威、機関の階級制度、および全世界の参加を必要とする」か らである。その代わりとして、彼女は自由主義的国際主義とは対照的な、彼女が「新しい中世主義」と呼ぶものの出現について説明している。「自由主義的世界 主義者は諸国家の問題を解決するための国際的なルールと機関の必要性を見ているのに対して、新しい中世主義者は民族国家の終焉を宣言している。」 すなわ ち、「その結末は、世界政府ではなくて、グローバルな統治である。政府が確立された機関による公式の権力行使を意味するならば、統治は変化し、かつはっき りしない配役による協力的な問題解決を意味する。」[27]

           
しかしながら、スローターは自由主義的世界主義者と新中世主義者の両方の仮説に挑戦していて、次のように述べている。「国家は消えていって はおらず、分離した、機能的に区別される部分に分解している。これらの部分―法廷、規制機関、行政、そして更に立法機関―は、海外の相手方とネットワーク で結ばれていて、新しい超政府秩序を構成する濃密な網状の関係を作っている。そして、超政府主義は国際的な統治の最も広範囲で有効なモードに急速になりつ つある。」[28] スローターは2002年~2009年までプリンストン大学のウッドロー・ウィルソン公共国際大学院の学部長であったが、現在は合衆国国務省の政策企画室長 であり、以前は外交問題評議会の取締役だったことがある。

 

世界政府の下での階級構造の復興

 

ゴー ルドマン・サックスの元重役でカナダ銀行総裁のマーク・カーニーは、アメリカ国際経済フォーラムでの演説で、次のように述べている。「グローバル化された 生産品・資本・労働市場は我々が切望すべき新世界秩序の核心である。しかしながら、第二波のグローバリゼーションはよりしっかりと根付かされる必要があ り、その関係者の責任はより重い。我々の経済内においては、在庫品、労働、および資本の大きな在庫調整が必要とされるだろう。」 彼の述べたことは詳細に引用するに値する。

 

グローバルな需要と交易のレベルは底に近付いているように思われ、在庫品と労働力の調整は既に十分為されたけれども、まだまだそれで終わりではない。 失業率はG-7の全ての国において更に上昇しそうであり、柔軟性が最小の労働市場に最も鋭い増加がまだ訪れるであろう。 雇用の見通しに対する不確かさが最も主要な経済である消費を暫くは圧迫するであろう。資本ストック調整プロセスはもっと長く掛かるであろう。そしてグローバルな投資成長率は少なくとも2010年までマイナスのままであろう。 これはグローバルな成長に対する重大な足かせとなり、最も主要な経済における潜在成長率を減ずるものと予期され得る。[29] [強調追加]

 

新 世界秩序内の労働調整に関して、考慮すべき幾つかの重要で肝要な因子がある。これらの関心事の中で第一のことは、国境を越えた階級という概念である。資本 主義は階級分割を通して大いに機能するが、生産手段を所有する支配階級自身も通貨発行権を有する人々に従属させられている。

           
西洋の工業化された国々において、消費を楽しむ多数の中産階級があり、彼らが上流階級であるブルジョア階級を裕福にしてきた。一方では、下 層階級(マルクスの用語におけるプロレタリアート)が労働者階級を構成してきた。一般に、「第三世界」、「発展途上国」、あるいは(ラテンアメリカ、アフ リカ、およびアジアの一部から成る)「グローバル・サウス」として言及される西洋以外の工業化された国々においては、階級の陣形においてより大きな分離が あり、支配者階級と労働者階級に分かれていて、教育を受けた中産階級がほとんど生まれていないままである。階級構造は国ごと、地域ごとに異なっている。 

           
しかしながら、過去数十年において、階級構造の実態は劇的に変化してきていて、労働の構造が変化している。過去の20~30年において、階 級のリストラクチュアリングが同時多発的に起こり、世界の中産階級が負債による束縛の中に身を落とした一方で、世界の上流階級は国境越えのプロセスを開始 している。我々が最近の出来事で目撃したか、あるいは目撃しているものは、階級構造と労働力の国境越えである。

 

社会的構築主義

 

グ ローバル政治経済学内の魅惑的な理論学派として、社会的構築主義というものである。社会的構築主義者は、次のように論じている。「国際関係の世界を含め て、社会的および政治的な世界は、人間の意識の外に存在する物理的実体や物質的対象ではない。したがって、国際関係の研究は、国際的な舞台での関係者達の 共有理解だけではなく、彼らを特徴付ける知識と信念にも焦点を当てなければならない。」 この考えを拡張すると:

 

国 際的なシステムは、ソーラー・システムとは異なり、「そこにある」何かではない。それは実体としては存在しない。それは人々の間での間主観的自覚としての み存在する。その意味で、そのシステムは物質的な力によってではなく、観念によって構成されている。それは、人間の発明または創造であるが、物理的または 物質的な種類ではなく、純粋に知性的で観念的な種類のものである。それは、一組の観念、思想の集まり、規範のシステムであり、特定の時刻と場所で、ある 人々によって取り決められてきた。

 

グ ローバル政治経済内の社会的に構築された構造の例は、国境線である。それは物理的な線ではなく、境界がどこにあるかに関しての様々な関係者の間の共有理解 によってむしろ成り立っている。国家そのものが社会的構築物である。それは物理的なアーチ状の形態を持っておらず、共有された価値、観念、概念、理念、機 関、信念、および象徴から作られている。このように、「もし、国際的な関係の存在を扱う思念と観念が変化するならば、そのシステムそのものもまた変化する であろう。なぜならば、そのシステムは思念と観念から成っているからである。それは、構築主義者アレクサンダー・ウェントによって何度も繰り返されている 『無政府状態は国家がそれから作るところのものである』という成句の陰に隠された洞察である。」[30]

 

階級構造と社会的構築主義

 

ウィ リアム・I・ロビンソンとジェリー・ハリスは科学&社会誌に次のように書いている。「資本主義のグローバリゼーションへの最も重要な一つのプロセスは、国 境を越えた階級の形成であり、それは資本の国際化および国家の生産構造のグローバルな統合と歩調を合わせて進行する。国家経済の国境を越えた統合が為され たならば、資本の流動性、蓄積回路のグローバルな分裂と地方分権化、および階級形成は、累進的に領土に束縛されなくなる。」[31] 彼らは国境を越えた資本家階級(TCC)が現れてきていると論じていて、「このTCCがグローバルな支配者階級である。なぜならば、その階級が現れつつあ る国境を越えた国家組織およびグローバルな意思決定のレバーを支配しているからである」と主張している。[32] この階級は境界線を持っておらず、官僚、メディア、企業、銀行など世界の社会的および政治的エリートから成っている。

           
ジャクソンとソレンソンが社会的構築主義説に関連して指摘しているように、「もし、『無政府状態は国家がそれから作るところのものである』 ならば、世界政治に関して不可避なものや変化しないものは何もない。そして、現存する制度は国家の創造したものであり、もし国家が彼らが誰であるか、彼ら の関心事が何であるか、彼らが何を望むか等についての概念を変えるならば、状況はそれに応じて変わるであろう。」 例として、彼らは国家は「統治権を弱めたり、統治権を放棄する」ことを決心するかも知れないと述べている。また、「もしそれが起こるならば、我々が知って いるように、国際的な無政府状態は最早無いであろう。その代わり、勇ましく新しい非無政府状態の世界、たぶん諸国が世界政府に従属する世界になるであろ う。」と述べている。[33]

           
ロビンソンとハリスが彼らのエッセーで説明しているように、国境を越えた資本家階級(TCC)の出現とともに、国境を越えた国家(TNS) の組織も出現していて、それは「超国家的な経済・政治フォーラムと一体となって、変化させられ外部から統合された国家政府から成る新興のネットワークであ る。それはまだ中央集権化された組織形態を獲得していない。」[34] TNSの経済的な組織としては、IMF、世界銀行、WTO、および地域銀行がある。政治的な見地では、G7、G22、国連、OECD、および欧州連合があ る。 これは三極委員会によって更に加速された。「この三極委員会は、北米、欧州、および日本のビジネス、政治、および知識エリートの超国家的な一派を結 び付けた。」  更に、世界経済フォーラムがこの階級に重要な役割を用意したが、私はビルダーバーグ・グループも付け加えるべきだと思う。ロビンソンとハリスは次のように 指摘している。「グローバル経済および超国家運営構造に関する研究は、中核的な国々におけるシンクタンク、大学の研究センター、政策計画機関から出てい る。」[35]

           
TNS組織は超国家階級のための組織化と社会化の極めて重大な原動力となっている。「世界クラスの大学が超国家的にシンクタンクを指向して いて、ハーバード国際ビジネス大学院のような一流のブルジョア施設、フォード[およびロックフェラー]財団、ロックフェラー財団、および外交問題評議会の ような政策計画グループが原動力となっている。」 これらの「エリートの計画グループは、階級グループの統合のため、新しいイニシャティブ、総合的戦略・ 政策、および階級ルールのプロジェクトを展開するため、また、これらのプロジェクトに関する世論と政治的教養をでっち上げるための重要なフォーラムであ る。」[36]

           
ロビンソンとハリスは世界経済フォーラムを、「TCCの最も分かり易い超国家計画組織で、TCCを超国家市民社会に結び付ける真にグローバ ルなネットワークの典型的な例」と看做している。」[37]  私はこれに異議を唱え、その代わりに、彼らが彼らの記事において言及していないビルダーバーク・グループこそ、TCCの真髄の超国家計画組織であると言 いたい。というのは、ビルダーバーク・グループが大衆の詮索の全く及ばないエリート中のエリートで構成されていて、世界の130人の最も有力な人々の「秘 密主義のグローバルなシンクタンク」として振舞うからである。[38]

           
多くのビルダーバーグ評論家は、そのグループが「秘密の世界政府」として振舞うとか、あるいは「世界のための全ての重要な決定を下す」組織 であるとか主張しようとする。しかしながら、これはそうではない。 ビルダーバーグは、様々な計画組織・研究所の壮大な階層の頂上に座している最も影響力ある計画組織に過ぎず、超国家形成の組織の重要な部分であるけれど も、それ自体が「世界政府」だということではない。それは、「世界政府」という概念に敬意を払い、その目的の為に活動するグローバルなシンクタンクである けれども、それが求めているところの目的と混同されるべきではない。

           
多分、経済危機は、彼らの設計、アイデア、および目標に従って世界秩序を再編するためにTCCに与えられた絶好の「機会」であろう。破壊を通して創造が生まれる。そして、TCCに属するこれらの高い身分の人々にとって、破壊は創造の手法そのものである。

           
労働と階級構造の再編に関して、経済危機は新しいグローバルな階級が作られるであろう地盤を与える。国境を越えた資本家階級と、超国家ある いは政界政府についての主要な問題は、世界中における階級構造と労働市場の連続性欠如である。超国家的支配者階級、すなわちデイヴィッド・ロックフェラー がそれと同じ名前の著書で言及している「超階級」(そして彼自身が超階級のメンバーである)が出現している。それは境界を持たず、たとえその超階級内に意 見の違いと衝突があろうとも、そのメンバーの間には大体の一貫性と目標についてのコンセンサスを既に作っている。なお、その違いと衝突は目標そのものにつ いてではなく、むしろ決まった目標を達成するための手段に関してである。 世界統治組織を実現するという目的に関して、その支配階級の間において意見の相 違はない。相違点は、どのようにしてそれを実現するか、そのような政府がどのような種類の構造、理論的哲学的嗜好、および政治的信条を持つかということに おいてである。

           
しかしながら、それらの目的を達成するためには、支配者階級だけではなく全階級が国境を越えた超国家的存在にならねばならない。支配者階級 は超国家化された最初の階級である。なぜならば、超国家化は強力な西欧諸国(および、後に合衆国)に本拠地を置く支配者階級の目標であって、彼らが超国家 化あるいは国際化のプロセスを開始したからである。今や、国境を越えた構成の確立された「超階級」が存在するので、他の階級もその先例に習うに違いない。 中産階級はこの意味において削減の標的にされている。何故ならば、世界の殆どは中産階級を持っておらず、中産階級を完全に統合し国際化するためには、アフ リカおよびアジアとラテンアメリカのある地域における工業化と発展が必要となり、それが超階級には大きな脅威になるだろうからである。そして、それが彼ら の富と権力の殆どに対する逃がし弁になるであろうからである。 彼らの目標は、超国家的中産階級によって彼らの富と権力を失うことではなく、それどころか中産階級の概念を消し、彼らの究極の富と権力を保障してくれる下 層で無教養で労働に適応している階級を超国家化することである。

           
経済危機はこれらの目標のために役立つ。というのは、中産階級がどれほど残存する富を持っていようとも、それは削除されるプロセスの中にあ るからだ。その危機が進行するかあるいは後退し、そして加速するにつれて、世界の中産階級は苦しむであろう。一方で、危機の前においてさえ極貧であった世 界の下層階級の大部分は最も苦しむことになり、ほぼ間違いなく人口レベルにおける極端な減少が生じるであろう。それは特に、「先進」諸国または「第三世 界」諸国においてであろう。

           
多くの人々は、超国家資本主義者階級の目的についてのそのような論題について意義を唱えるであろう。生産品の消費者市場確保のために、資本 主義は多数の人口、特に中産階級の人口を必要とするという理由でである。これは我々が目下のところ資本主義制度・構造をどのように理解しているかという点 では真実であるが、資本主義そのものが常に変わっていて、それ自身を再定義しているということにも留意しなければならない。私が論じようとしている社会的 構築主義者の見地によるならば、あたかも資本家階級が資本主義そのものを再定義し、資本主義そのものが変わろうとしているかのようであるという考えが信じ 難い事ではないという分析において非常に適切である。

           
TCCあるいは超階級として非常に多くの人々が含まれている(ラスコフはその人数を支配者階級内の6,000人と推定している)ということ をん述べておかねばならない。彼らは利益の源である彼らの土台を削除することに異議を唱えるであろう。しかし、資本主義制度とグローバルな政治経済の全体 的な再編が着手されているので、TCC自身がそのような劇的で急激な変化に影響されない訳ではない。事実、それが現在あるところのままであるとは考え難 い。

           
ロスコフは、超階級のメンバーが6,000人ということは、世界の100万人当たりほぼ一人であることに等しいと説明している。構成、階級 構造、および世界の人口は今後数年および数十年で劇的に変わるので、超階級そのものもまた変わるであろう。 それはまた所謂「浄化」に晒され、その際、 ビッグプレイヤーが挫折し、より小さなプレイヤーの多くを統合するであろう。 


 

 

 

 

グローバル政府の通貨構造

 

グローバル通貨

 

2009 年4月のG20サミットのあと、指導者達は世界準備通貨としてUSドルの代わりのグローバルな通貨の創造のための土台を据え付ける公式発表をした。 その 公式発表では次のように述べられている。「我々は、世界経済に2,500億ドル(1,700億ポンド)を注入し、グローバルな流動性を増大するであろう全 体的なSDR割当を支援することで合意したばかりである。」 SDR、すなわち特別引出権は、「国際通貨基金によって発行される合成紙幣」である。そのテレグラフ紙が伝えているように、「G20指導者達はお金を創造 するIMFの権力を作動させて、グローバルな『量的緩和』を始めている。そうすることで、彼らは事実上の世界通貨を使っている。それはどのような主権組織 にとっても管理外である。陰謀説愛好家はそれを好むであろう。」 [39]

           
1988年、エコノミスト誌が「不死鳥の準備をせよ」と題する記事を特集した。そこには次のように書かれている。「今から30年後、アメリ カ人、日本人、欧州人、多くの他の豊かな国々および何カ国かの相対的に貧しい国々の人々は、多分買い物の際に同じ通貨を使っているであろう。価格は、ド ル、円、ドイツマルクのいずれでもなく、例えば不死鳥で表示されるであろう。不死鳥は今日の国家通貨よりも好都合なため、会社や買い物客に支持されるであ ろう。その時までに、国家通貨は20世紀後期における経済生活大崩壊の変な原因であるように思われるであろう。」 1987年の株式市場崩壊の結果として書かれた記事において、次のように述べられている。「いくつかのもっと大きな為替レートの混乱、2~3回の更なる株式市場の崩壊、そして多分1回または2回の不況が起こってから、政治家達は喜んでその選択にきっぱりと目を向けるであろう。これは、緊急事態に引き続いての暫定対策の後の緊急事態の混同した結果を指していて、2点を除いて2018年を超えて続くことを暗示している。 時が経過するに連れて、通貨不安定性によって引き起こされる損害は徐々に積み上がっている。そして、それを積み上げさせようとする正にその動向が通貨連合というユートピアを実現可能にしている最中である。」[強調追加][40]

           
連邦準備制度の前議長であるポール・ボルカーは2000年に次のように言った。「もし、我々が本当にグローバルな経済を持とうとするなら ば、単一の世界通貨は意味がある。」 そして、欧州中央銀行の取締役会の一メンバーはボルカーのコメントを是認して、次のように述べた。「我々はある日、単一の世界通貨を持つかも知れない。他 の地域統合と同じように、欧州統合は多分、完全に統合された世界の理想的な状況に向かっての一歩として見て良い。たとえ、その世界が日の光を見るとして も、それがいつなのか言う事は出来ない。しかしながら、私が言えることは、この展望は今の我々の殆どに不可能に思えるが、欧州統合が始まった50年前の欧 州通貨連合の場合もそう思えたということである。」[41]

 


世界の中央銀行

 

ジェ フリー・ガーテンは、グローバルな中央銀行、すなわち「グローバルな連邦準備制度」を訴える何件かの記事を書いている。ガーテンは、エール大学経営大学院 の前学部長で、クリントン政権における商務省国際貿易担当次官経験者で、その前にはニクソン政権におけるホワイトハウス国際経済政策審議会や、フォードお よびカーター政権におけるヘンリー・キッシンジャーおよびサイラス・バンスの両国務長官の政策企画本部に勤めていたこともあり、リーマンブラザーズの前業 務執行取締役でもあったし、外交問題評議会のメンバーである。

           
1998年、彼はニューヨーク・タイムズ紙に記事を書き、世界は「グローバルな中央銀行を必要としている」と述べている。また、「グローバ ルな金融安定性を維持する責任を有する独立した中央銀行は、唯一の逃げ道である。それ以外の何であろうとも、必要とされていること―成長に拍車を付けるた めのシステムへのより多量のお金の注入、新興市場の天まで届く負債の削減、不安定な金融機関運営の監督―を出来ない。世界経済が急速に元気を失っていると き、グローバルな中央銀行は世界経済により多量のお金を供給するであろう」[42]とも述べている。

           
現在の金融危機勃発のあと、ガーテンはフィナンシャル・タイムズ紙に記事を書いているが、そこで彼は「境界の無くなった市場を監督するため のグローバルな通貨権力機関の創立」[43]を訴えている。2008年10月に、彼はニューズ・ウィーク誌で、「指導者達はグローバルな中央銀行を創立す るための基礎を築き始めるべきだ」と述べている。彼は次のように説明している。「合衆国の連邦準備制度が[世界を支配する金融権力機関としての]役割を 担った時代があった。世界の最も力ある経済の卓越した金融機関として、その唯一のグローバル通貨を監督した。しかし、資本主義市場の成長、ユーロのような 通貨の登場、中国のような強力なプレイヤーの出現、アジアおよびペルシャ湾への富の移動、そしてアメリカ経済そのものの根深い問題によって、連邦準備制度 は最早、独力で導く能力を持っていない。」[44]
 

 

 






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最終更新日  2016年02月12日 16時19分55秒
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