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カテゴリ:映画
ビリー・レイ監督「アメリカを売った男」は、FBIの対ロシア問題の専門分析官であったベテランFBI捜査官ロバート・ハンセンが、20年近くにわたりアメリカの最高国家機密を旧ソ連のKGBに流し続けたスキャンダルな実話を映画化した傑作である。 出演:クリス・クーパー、ライアン・フィリップ、ローラ・リニー、デニス・ヘイスバート クリスチャンとして信仰心が厚く、職務に誠実で無私無欲、やや偏屈ではあるが頭脳明晰できわめて有能、ある種、宗教的哲学者気質のロバート・ハンセンが、実はロシアのスパイをもやっていたという、まるでリヒャルト・ゾルゲそっくりの悲劇的な物語。 アメリカ史上最大最悪のスパイ事件と言われハンセンの売った情報のためKGBに銃殺された人間が出るなどアメリカが20年間にわたり国家として蒙った損失は莫大なものでる しかし、映画は金のためにアメリカを売ったけしからぬ売国奴みたいなヒステリックな視点ではなく、複雑な矛盾に満ち、なをかつ独自の人間的魅力を放射し続ける謎につつまれたロバート・ハンセンの人間的実像をありのままに描写している。 FBIという組織の官僚体質への反発、組織に埋没してしまった自己という社会的価値への存在証明願望、いろんな角度から映画はロバート・ハンセンの機密漏洩の動機を探ろうとしているが、最後には二重スパイの心の闇という結論以上には出ずやはり謎のまま。
ロバート・ハンセン逮捕のための「おとり捜査」を命じられた若手捜査官エリック・オニールを「父親たちの星条旗」のライアン・フィリップが演じていてロバート・ハンセンとの心理戦は熱演である。 組織内部の敵を追跡するという共通テーマでは、最近見たこれも傑作の部類に入るであろうマーチン・スコセッシ監督の「ディパーテッド」がある。
とりわけKGB、CIA、FBIの組織と戦術、ゾルゲ事件、陸軍中野学校、諜報戦や二重スパイなどの問題に興味ある向きには「アメリカを売った男」はお薦めである。 近況めいた事柄 一時はブログも書けないほど多忙状態が続く中、妻の病気の定期健診のため福島県会津若松へ。病状は全体としては快方に向かうも一進一退を繰り返す。断言はできぬも場合によったら再手術ありとのこと。
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Last updated
2008年10月05日 00時51分13秒
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