祝「第二次安倍政権」!/内外課題山積する新政権には「待ったなし」~日々雑感 2012/12/27(木)号~
まずは第二次安倍晋三政権の成立を、心の底からお祝いしたい。安倍さん、頑張ってください!さて、主要左翼メディアが指摘している通り、今回の総選挙における自民党の圧勝は、自民党に対する「熱風」が吹いた結果などではない。むしろ、小選挙区における自民党の獲得投票数は、前回の占拠と比べて減少しているのである。<小選挙区における自民党の獲得票数と議席数>2009年8月時点…27,301,982票、64議席2012年12月時点…25,643,309票、237議席そして、比例区では57議席と、前回の55議席から僅か2議席しか上積みしていないのだ。自民党が圧勝した最大の理由は、他でもない、選挙区当たり一人しか当選しない「小選挙区制度」という特殊要因と、低投票率のコンビネーションであるといえるだろう。こうした状況は、他ならぬ自民党執行部自身が良く理解しているはずだ。しかも、参院では依然として、民主党が第一党の立場にある。従って、安倍政権は来年の参院選を控え、まずは安全運転に努めるだろう。政治・外交日程等としては、2月に隣国の大統領就任式を控え、「竹島の日」式典に政府関係者を派遣するかどうかが焦点となる。次に、4月には日銀総裁の指名が控えているが、「アベノミクス」の考え方に沿った総裁は、衆院の承認は得られても、参院で拒絶される可能性はある。もちろん、4月までに日銀法を改正することは可能だ。参院で拒絶されても、衆院では連立与党が3分の2の多数を占めているためだ。しかし、金融政策を全く理解していないマス・メディアが、アベノミクスを「紙幣を刷る行為だ」などと批判し、「安倍政権は強権により日銀法を改悪した」などと攻撃されることを防ぐためには、できれば参院でも日銀総裁人事の同意が得られることが好ましい。ただ、当職自身、それ以外の論点(被災地の復興、必要な公共事業の実施を目的とした補正予算の編成など)については、つつがなく進行すると見ている。特に、現在日本が実効支配している尖閣諸島については、その現状の変更を求めて、毎日のように中国の船舶が日本領海域を侵犯している状況にある。かかる状況の中で、安倍政権は対中政策の安定性という観点から、まずは日韓関係の改善に動くだろう。もちろん、我が国固有の両道である島根県・竹島への現役国家元首の不法上陸と天皇陛下侮辱発言は、到底許されるものではない。温厚な日本人も、一連の不法にはさすがに激怒した。しかし、その韓国は、領有権問題を巡り、中国とも争いを抱えているという事実は忘れてはならない。国際的には日米同盟と同じ「西側諸国」に属している韓国に対し、安倍政権は戦略的互恵関係の再構築を迫るはずだ。では、今後の日韓関係の改善には期待できるのだろうか?インドとか豪州とかと並び、韓国が日本にとって信頼ある互恵関係を構築、ないしは再建できるのか?確かに、日本人の韓国への観光客数激減に見られるように、現在の日韓の信頼関係は、外交・行政レベルでも、民間レベルでも、大きく毀損している。しかし、現実問題として、日本は今すぐ韓国と断交できる状況にはない。その最大の理由は、日米同盟の存在だ。日韓関係は、実に米国の東アジア安全保障の枠組みに組み込まれているのであり、日本と韓国との関係を巡る枠組みの変更には米国の東アジア戦略の変更を伴うからだ。そして、これを韓国側から規定すると、日本との関係悪化は大した問題ではないという事だ。米国との関係悪化を避けれる事ができれは良い。このように考えていくと、韓国側が日本から差し伸べられた関係改善の修復を求める握手を拒絶する可能性は否定できないだろう。脆弱であるとは言え、既に韓国は「OECD加盟国」であり、「GDP規模は世界15位」(但し年度によりボラティリティはあるが)の(自称)「大国」である。韓国側からわざわざ長期的に日本との互恵関係再構築に動くとは思えない。※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※安倍政権としては、まずは韓国側に対し手を差し伸べる努力は行うだろうし、対韓強硬姿勢に転じるのは、早くても参院選が終了しなければ無理だろう。金大中(きん・だいちゅう)・盧武鉉(ろ・ぶげん)の両元韓国大統領が掲げた『太陽政策』は日米両国の対韓不信感を強めさせた。李明博(り・めいはく)から二代続いて保守政権となる韓国だが、さりとて日米からの信頼を回復する事ができるのかどうかという点については当職は懐疑的だ。李明博は対北融和路線の修正を図ったが、既に猛烈に進む経済面での中国との結合の強化(というよりも『一体化』)を受けて、軌道修正が十分に図れなかった。経済を優先する余り、日米同盟の枠組みから大きく逸脱した格好となっている。