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カテゴリ:明響庵月刊誌より
春はあけぼの。
清少納言という昔の人も、随筆(枕草子)の中でそう表しています。春は、一日の始まり、朝のように、爽やかな清々しい季節ですよね。 しかし、近年では、鼻水と涙でズルズルいっている姿もまた、嬉しくない風物詩。爽やか、清々しい、とは対極に位置する代物のようです。 先程、春を「一日の始まり、朝のように」と表しました。 だから、春型花粉症は、朝一身体の目覚めが悪い状態とおおむね一緒ですよ。火付きが悪いんですね。 その姿は不完全燃焼。いぶされてブスブスとガスを発生しているが如くです。 では、朝、目覚めが悪い原因はなんでしょうか? 前日の過ごし方、あるいは数日間、数ヶ月間の過ごし方ではありませんか? 夜更かしはもちろん、食生活や運動不足、あるいは精神的な問題。結局は生けるものとして根本的な部分に戻ってくると想います。 ですから、花粉症に話を戻すと、昨年、特に冬の不摂生があって、代謝をすみやかに持ち上げられない方は発症しやすい。 春が朝なら、冬は夜。本来眠るはずの時間に食や労が過ぎたのならば、翌朝体調不良が生じるのは当然でしょう。 ところで、近代農業では「害虫」と「益虫」という言葉を使いますが。自然界では害虫と益虫の区別はありません。 野菜に虫がたくさんはびこる原因の一つに、土に肥料(栄養)を投入しすぎて、養分過多になっていることが挙げられます。 養分が多くなりすぎると地温が上がることも手伝って、虫は繁殖しやすくなります。加えて、野菜は大きくなるけど、弱くもなる。肥えた人が病気をしないかというとそんなことはないですよね? つまり、収量にとらわれたために、自ら害虫を招いているのですよね。野菜の生命力も弱めている。 更には農薬や除草剤を投じて問題を余計にややこしくしている始末。 花粉症やインフルエンザも同じではないですか? 「肥料を投入しすぎた畑」と「栄養をとりすぎた身体」。 ともに自ら害を招いているのではないでしょうか。 「農薬」と「病気の薬」もまた然りでしょう。 花粉やらウィルスやら、何かのせいにばかりしていては治るものも治りません。真実から眼をそらし、あさっての方を向いて進んでも決して解決しないのです。 闇から目を背けて光ばかり見ようとするのではなく。 闇にとらわれて光に気づかぬでもなく。 両方受け入れ、向かい合うことで、道は自ずから示されていくように想います。 それは夜空の星が旅人を導くように。 昼間の影が時を教えてくれるように。 春は、万物がのびやかにいきいきと動き始める季節です。 それは自然の一部である人間とて例外ではありません。 ですから、心も身体もゆったりのびのびとさせておくことが養生の基本。 複雑化しすぎて、とらわれすぎて、いささか窮屈になってきている現代日本。だからこそ、自然に添った心がけが改めて必要だと想います。 最後に花粉症の方を少しだけフォロー。 異常を溜め込んで、まったく表に症状を現さないよりは、少しずつでも、ズルズルとでも、吐き出しているほうがまだましですよ。 症状は身体の声。 一生病気をしない、何の症状も表さないという人はまずいません。症状が表われたなら、わが身を振り返って、行いを正せばよい。軌道修正。それだけの話です。 目を覚まし、ゆったり、のびやかに、いきいきと! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.11.10 12:03:27
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