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雅の日記~お気楽生活をめざして

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2005年02月25日
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カテゴリ:読書録
最近心に残った本のひとつに、『人間とは何か』(岩波文庫)というのがあります。
これは『ハックルべリィ・フィンの冒険』『トム・ソーヤ』の生みの親で知られるマーク・トウェインの晩年の作品です。

彼は晩年、何かに犯されたのかのように人間不信となり、悲観論漂う作品ばかりを作るようになります。この本もそのひとつなのです。
おそらく、長女の死、妻の重病、末娘のてんかん、他人の莫大な負債を背負うなど、相次いだ不運により、自分を内省化するようになったのでしょう。そして、彼流の「人間」というものに対する厳しい見方が形成されていったのです。

プラトンの著作のように青年と老人の対話形式で語られるこの本では、「人間は外部からの作用によってのみ働き、自分は行動したいという衝動にのみに従って生きる機械である」と述べる老人と、それを否定しようとして「自己犠牲」などの例を持ち出し、老人に反証する青年とのやりとりが続きます。

要するに、「人に言われたことによって、人は自分の意見を修正したり、自分の意見に自信を持ったりする。でもそれは自分の手柄ではなく、自分がそうすることで気分が良くなるという欲求にしたがってそうなっているだけだよ」ということです。

本の中に要約されている「自分の考え方が変わるのは、外部の作用によってであり、自分が思考によって変わるものではない」というエッセンスには本当に驚嘆させられます。
絶望の中で見た救いようのない悲観論、他律的な自己によって磨かれた文章は、私の考える「人間の本質」に近いものだと思うのです。

結局、自分の意思で動いていると思っても、人間は他の人や見えない力に動かされている。ということを強く実感させられる本です。

非常にためになる著作だと思いますが、元気がないときに読むのはおすすめできません。「うつ」状態の人はより落ち込むこと請け合いです。





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最終更新日  2005年02月26日 20時09分40秒
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 いつも挫折している本です。   あっく さん
こんにちは。
ちょっと前の話ですが、書き込んでもよいというメッセージをいただいたので、勇気をもって書き込みます。

この本を持ってますが、いつも2章くらいで、読むのをやめちゃいます。
いやじゃないんですけれど、気づくと違う本に移ってしまって、
最後までたどり着いた本ではありません。
この老人がかなりのひねくれもので、「ああ言えばこう言う」っておっちゃんだなーとは思ってましたが、そうですか。
かなり悲観的に終わっていくわけですね。
無意識でやめていたのは、そのせいだったのかも(笑)。
元気なときにまた読み返してみようと思いますが、いつのことだか・・・。
(2005年02月27日 01時16分08秒)

 老人の戒め   slowlysheep さん
あっくさん、こんばんは。
>ちょっと前の話ですが、書き込んでもよいというメッセージをいただいたので、勇気をもって書き込みます。

どうぞ書き込んでください!早速お話いただいてとても嬉しいです。

>この老人がかなりのひねくれもので、「ああ言えばこう言う」っておっちゃんだなーとは思ってましたが、そうですか。

「ひねくれもの」・・・確かにそうかもしれません。でも、老人の言うこと(青年に対する戒め)は人間の本質をまさに突いているような気がします。そして、老人は作者であるマーク・トウェイン自身の人間観を代弁しているように思えます。
でも、悲観的に終わるわけではないんですよ。薄い本ですし、元気な時に読破をおすすめします。
『不思議な少年』はお読みになりましたか?こちらはストーリー仕立てなので、『人間とは何か』より読みやすいですよ。2冊あわせると、とても作者の人間観がより理解できるかと思います。

でも、お持ちでいらっしゃったのですね。私は古典は好きなんですが、この本は見落としていて、最近読んでとても感銘を受けました。 (2005年02月27日 01時28分40秒)

 今度帰国したら『不思議な少年』を・・   あっく さん
Slowly sheepさん、こんにちは。

そうですね。確かに老人の戒めには、
本質をついているところもあるし、青年の視点を根本的に変える何かがありますね。
春になったら、もう一度読んでみようと思います。

「不思議な少年」のことは知りませんでした。
読みやすそうなら、今度帰国したときに買って持ってかえってこようかな。
(昨日から2泊だけですが、ぺどよめさんの愛犬がうちにきています。今、隣で大いびき!!) (2005年03月01日 16時23分01秒)

 Re:今度帰国したら『不思議な少年』を・・(02/25)   slowlysheep さん
あっくさん、そこにショコラちゃんがいるんですね・・・いいなぁ(羨)

>そうですね。確かに老人の戒めには、
>本質をついているところもあるし、青年の視点を根本的に変える何かがありますね。
>春になったら、もう一度読んでみようと思います。

頑張ってください。ひねくれ者と言われるかも知れませんが、『不思議な少年』よりも、ダイレクトに学べる書物だと思います。
(2005年03月02日 01時38分54秒)

 またその気に・・・   あっく さん
こんにちは。毎日、こちらは大雪です。
気温もマイナスです。寒くて外に出る気になれません。

ということで、せっかくだから例の「人間とは何か」を読んでみようかなあ、という気になりました。
とかいって、これから本箱の中をあさらないと・・・。
また読み終わったら(いつか?)ご報告しますね。 (2005年03月02日 23時26分52秒)

 Re:またその気に・・・(02/25)   slowlysheep さん
あっくさん、こんばんは。
>こんにちは。毎日、こちらは大雪です。
>気温もマイナスです。寒くて外に出る気になれません。

こちらも3日ほど雪が降るという予報が出ています。
たいぶ冷え込んで、寒くなってきました。
2月のほうが、よっぽど温かかったような気がします。
『人間とは何か』ぜひ読んでみてくださいね。
本箱からひょっこり出てくることをお祈りしています。 (2005年03月04日 00時13分55秒)

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