ある蕎麦屋の庭物語

冬に逆戻り。
午前中は雨が降った。
植えつけたビオラにとっても、大きく育ち始めた直まき組にとっても恵みの雨。
午後は冷たい風が吹き荒れた。
現在も唸り声をあげながら飛び回っている。龍のように。
春まき用の種をようやく注文した。
こんなにまけるのだろうか、と自問自答しつつ購入をクリックする。
今年こそ桜や八重桜の開花に惑わされず、気温を見極めて早めに種まきをしようと思う。
夜間はまだまだ冷えるが、ビニポットの中は土も少ないし日が照ればぐんと温度も上がるはず。
同じことを去年も記した気がする。気のせいか。
春はもうすぐそこだ。
春の足音が聞こえるとそわそわと落ち着かない。
ガーデニングの話に限ったことではないが、春は始まりの季節。
自分だけ置いてけぼりになりそうでいつも不安になる。
追いつこうとあれこれ試みるのだけど、大体いつも空回り。
気ばかり焦って何ごとも手に付かないからだと思う。
昨日、和の庭の紅梅が一輪咲いているのを見つけた。
暖かくなったからとすぐ咲こうとせず、自分で時期を見極める。
周囲に惑わされず、己の基準に忠実に。
植物から学ぶことは多いが、なかなか同じように生きられず。