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片野 道郎

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2006.05.28
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 昨日、ミランのアンドリー・シェフチェンコが、今シーズン限りでイタリアを離れイングランドのクラブに移籍したいという意志をアドリアーノ・ガッリアーニ副会長に正式に申し入れ、受け入れられました。ミランは、獲得を希望するイングランドのクラブと移籍交渉を行い、まとまった場合には、この7シーズンで173ゴール(クラブ史上2位)を挙げたエースストライカーを手放すことになります。

 表現として正確を期すと上のような言い方になるわけですが、要は、シェフチェンコがチェルシーに移籍させてくれとミランに申し出て、それが受け入れられたということです。
 ご存じの通り、チェルシーのオーナーは、シェフチェンコと非常に親交が深いロシアの大富豪ローマン・アブラモヴィッチ。彼が以前からこのウクライナの英雄を欲しがっており、年俸800-1000万ユーロ(現在は520万ユーロ)の契約を内々にオファーしていたことも周知の事実なので、その意味ではシナリオ通りという見方もできます。

 と言うと、何だ所詮はカネの話か、ということになってしまうわけですが、今回に限れば、話はそれほど単純ではありません。以下、昨日の記者会見でのシェフチェンコの発言をいくつか。

「今日僕は、副会長に移籍の可能性について検討してもらえるよう申し入れました。チームメイトや監督との関係が理由でもなければ、もちろん金銭的な理由でもありません。イタリアを去るという決断を下したのは、ただ家族の幸せのためです」

「妻と息子のためじゃなかったら、ミランを去ろうなどとは思わなかったでしょう。わかってほしい。クリステンはウクライナ語をひと言も喋れないし、ぼくは英語を喋れない。今僕たち夫婦は、イタリア語という、どちらにとっても母国語じゃない言葉を使って暮らしているんです。でも、息子に僕たちの愛情を伝える言葉はひとつであってほしい。それは英語以外にはあり得ないんです」

 シェフチェンコは7年前、イタリアに来た時にはまったくイタリア語ができませんでした。イタリア語の教師について特訓している姿さえもマスコミに公開し、シーズンが開幕して間もない頃から、物怖じすることなく、つたないイタリア語とはいえ自分の言葉で話し始めて、あっという間に上達したのを覚えています。一方、同じ時期に日本からイタリアにやってきた中田は、ほぼ完璧といっていいほど流暢に話せるようになるまで、1年以上マスコミの前でイタリア語を使おうとはしませんでした。その辺は、パーソナリティと文化の違いを感じたものです。

 クリステン夫人はアメリカ人の元ファッションモデル。イタリアに住んで仕事をしている間に、ベルルスコーニ会長の息子で、イタリア最大の民放局メディアセットの役員であるピエルシルヴィオ・ベルルスコーニと知り合って付き合い、別れた後にシェフチェンコと付き合って結婚に至ったというわけです。2人の間に生まれたジョーダンくんは今年3歳。そろそろ教育のことを心配しなければならない時期がやってきました。

 国際結婚の場合、子供を何語で育てるかというのは、非常に頭の痛い問題です。どちらか一方の母国で暮らしている場合は、その国の言葉で育てればいいのでしょうが、シェフチェンコのとこみたいに、夫はウクライナ語(たぶんロシア語も)、妻は英語がネイティヴで、しかし2人の共通語はイタリア語、住んでるところもイタリア、というのは、あまりにもコンプリケイテッドです。子供がイタリア語で育ったら、親子三人の母国語がそれぞれ違うということになってしまう。それが家族にとって幸せなのかどうか、シェヴァがサッカーとは全然別のところで、1人の父親として悩んだであろうことは、想像に難くありません。その結論が、イングランドで英語で育てるというものだった、と。

 シェフチェンコがミランというクラブに強い愛着を持っていることは、これまでの彼の行動や言動から見て、誰もが納得する事実でした。今やプラネット・フットボールにおいて、クラブやユニフォームに対する愛着とか忠誠とかいうセンチメンタルな感情は、ほとんどの場合、マスコミやサポーターが抱く幻想でしかなくなっているわけですが、一握りのクラブと一握りの選手の間には、まだそれが成り立つ余地が残されています。でも彼は、それを犠牲にしてもなお、家族の幸福を選んだ。そういう選択が許されているだけでも十分に幸福だという見方もできなくはありませんが、本人にとっては苦渋の選択だったのだろうと思います。

「私がミランでこの仕事を始めてから最も痛みの伴う別れだ。ミランはこれまで、金のために選手を手放したこともなければ、出て行きたいという選手を強引に引き留めたこともない。これから、チェルシーと移籍の話をまとめなければならない。でも彼らが、世界で最も強力なストライカーのひとりをバーゲン価格で手に入れることができると思っているのなら、考えを改めたほうがいい。話はそう簡単にはまとまらないだろう」
 ミランのガッリアーニ副会長は、会見の席でこう語っていましたが、最も的を射ていたのは、むしろ冗談めかして口にした次のようなひと言だったような気がします。
「これは、イタリア語に対する英語の勝利だ」
 イタリア語はイタリアで、イタリア人にしか通じませんからね。でも、英語は世界の共通語だと言われますが、実感としては、世界の共通語は英語じゃなくてブロークン・イングリッシュじゃないかという気もします。ネイティヴの英語/米語ってすげー訛ってて全然わかんないことがすごく多いし。
 
 最後に、それはそれとして戦力的な観点からいうと、チェルシーに足りなかったのは1シーズン20ゴール以上を保証してくれる強力なストライカーだけだったので、これでモウリーニョが描いていた理想のチームに欠けていた、最後の1ピースが揃ったといってもいいでしょう。シェフチェンコのミランでの1シーズン平均得点は、故障でシーズンの大半を棒に振った02-03シーズンを除くと20ゴールの大台に乗っています。セリエAと比べると守備がずっと大雑把なプレミアリーグなら、25ゴールは行くんじゃないでしょうか。
 一方のミランは、20ゴール分の穴をどうやって埋めるかが最大のテーマ。クレスポじゃ物足りないし、ドログバはもっとダメでしょう。ジラルディーノとインザーギ、エリア内でしか仕事ができないセンターフォワードがふたりもいるのに、さらにドログバを獲ってどうするんだという話あり。数日前にアンチェロッティ監督にインタビューした時には「アンリが理想だったんだけど、アーセナルに残ることになったし、簡単じゃないな」と言っていました。B落ちするユーヴェからイブラヒモヴィッチを引き抜くのか、アドリアーノを篭絡するのか。果たして。■





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Last updated  2006.05.28 09:36:09



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