98ノートのプリンタポートチェッカーを作った背景です。
98ノートは、1990年代に国民機としてたいへん普及したNEC製のノートPCで、その仕様は、海外製のPCと互換性がなく、Windows95発売までは、国内のPC市場は鎖国状況にあり、NECの98シリーズの1人勝ちの時代がありました。
最近になって、当時使用していたPC-9801NX/Cを押し入れ深くから、引っ張り出して電源を入れてみましたが、30年前の製品であり、さすがに起動しませんでした、電源を入れっぱなしにしてしばらく放置すると起動することもあったのですが、電解コンデンサの液漏れによる故障の症状の様です。
ネットで色々物色していると、壊れた98ノートであっても、いまだにオークションでさかんに取引されていて、メンテナンス済の完動品であれば、かなり高額で取引されていること知りました。ネット情報では、電解コンデンサの全交換というのが、キーワードの様でしたので、私もオークションでの高額売却を夢見て、メンテナンスにチャレンジし成功しました。
メンテナンス後の98ノートの外部マウスポート、10Keyポート、110pin拡張ポート、PCカード、モデムスロット、外部ディスプレイアダプタ接続用コネクタなどのI/Oの動作確認は、何らかの周辺機器を取り付けて調べることができましたが、プリンタポートだけは、動作確認環境がなく、チェックすることが出来ませんでした。
9821シリーズや、DOS/V互換機のプリンタポートであれば、インターリンクケーブルでつないで、パラレル双方向データ通信によるファイル送信などにより、プリンタポート(パラレルポート)の動作確認ができるものの、9801ノートシリーズは、単方向通信しかできず、同様の確認方法がとれません。
単方向通信しかできない98ノートのプリンタポートは、下の写真にあるアンフェノールセントロニクスハーフピッチ20PinのコネクタがPC-9801N、PC-9801NS、PC-9801NV、PC-9801NC、PC-9801NS/E、PC-9801NS/T、PC-9801NL、PC-9801NS/L、PC-9801NA/C、PC-9801NS/R、PC-9801NX/C、PC-9801NL/Rで使用されています。なお、PC-9801NS/Aでは、アンフェノールセントロニクスハーフピッチ36Pinが使用されていますが、双方向通信に対応しているか否かは未確認です。
(それ以前の9801シリーズではアンフェノールセントロニクスフルピッチ14Pinもあるそうです)
プリンタポートの動作確認方法として、実際にプリンタを繋げてみることも考えられますので、当時のプリンタをオークションで入手も検討しました。
ところが、30年前の正常動作するプリンタの入手は困難で、プリンタリボンなどのサプライン品の供給もされておらず、98ノートのプリンタポートの動作確認のためにオークションで当時のプリンタを入手する気にはなれませんでした。
そこで、メンテナンスの終わった98ノートを『プリンタポート動作環境なしのため未チェック』と注意書きを書いて、オークションに強行出品したのですが、かなり高額な取引となりました。
ところが、直ぐに落札者の方から連絡が来ました。
落札者の方に状況を聞くと、プリンタポートに異常があるとのことでした。
プリンタを繋いでるのではなく、工場の保守用の機器をプリンタポートに繋いでいて、当時の98用のソフトウェアしか使えず、非常に困られているとのことでした。
改めて、98ノートの産業用の需要が、今だにあることに気づかされました。
さて、送り返されてきた98ノートPCですが、どうやってプリンタポートの動作チェックをすれば良いか色々と検討してみました。
単方向通信の仕様(アンフェノールセントロニクスハーフピッチ20pin)なので、動作するプリンタがなければ、チェックする手段としてのハードルは高いと言えます。
そこで、家に転がっていた、Arduino Nanoの互換品(AVR マイコン)を利用して、プリンタポートチェッカー (PC-9801単方向 20pinタイプ)を作成してみました。
その2のブログから、作成記事を書きます。