テーマ:たわごと(26739)
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文春オンラインさんの記事です。
『遺品整理で見つけた「古い絵本」が教えてくれた、大好きなおばあちゃんの“秘密”』 木箱、プラスチックケース、手紙や葉書、アルバム。 奥のほうに何冊か本もある。 取り出してみると、 すべて絵本で、見覚えがあるものばかりだった。 『赤いろうそくと人魚』、『ねずみの嫁入り』、『龍の子太郎』……。 その場に座り込み、 1冊を取り上げて、ページをぱらぱらとめくっていく。 そのうち、ふと気づいた。 すべての漢字に、鉛筆でルビが振ってあるのだ。 赤い、青い、来た、走る、食べる、といった 小学校1年で習うような初歩的な漢字を含め、 ひらがな、カタカナ以外のありとあらゆる文字に―。 そこで思い出した。 両親が共働きだった清美は、 幼稚園や学校が終わると、ほぼ毎日、この家に来ていた。 迎えにきてくれたおばあちゃんとバスに乗った。 家に着くと、 おばあちゃんはまずおやつをくれた。食べ終わると、絵本を読んでもらった。 一方、母からはこんな話を聞かされていた。 おばあちゃんの生まれた家は農家で、 父親が戦争で亡くなってしまったため、生活は苦しかった。 おばあちゃんは小さいときから畑の手伝いをさせられ、 小学校もろくに通わせてもらえなかったと。 今まで気づかなかったが、 おばあちゃんはきっと、漢字が読めなかったのだ。 でも、 絵本好きの清美のために、一生懸命漢字を勉強し、 絵本の一文字一文字にルビを振って、毎日、読んでくれたのだ。 清美は思わず絵本を抱きしめた。 これは私の宝物だ。 結婚して、子供が生まれたら、絶対これで読み聞かせをしてあげるんだ。 その絵本は 今も大切に清美の本棚におかれている。そうです。 『はやくきくだされ はやくきてくだされ いしょのたのみに てありまする にしさむいてわ おかみ ひさしさむいてわおかみ しております きたさむいてわ おかみおります みなみたむいてわ おかんでおります ……… なにをわすれても これわすれません はやくきてくだされ いつくるトおせてくだされ これのへんちまちてをりまする ねてもねむれません』 たしか 小学校のとき 担任の先生が とても 胸を突く手紙として 野口英生の母シカが、息子の彼にあてた手紙を紹介してくれた。 いま その手紙をネットで探し 小学生の時の 記憶と共に書きます、と。 …西さ向いては、拝み 東さ向いては拝み、しております。 北さ向いては、拝みおります 南さ向いては、拝んでおります。 ……… 早く来てくだされ。いつ来ると教えてくだされ。 これの返事、待っておりまする。 寝ても眠れません。 たしか 英生さん家(ち)も貧農で。 優秀だった彼を 学校の先生が見出して 生涯かけて 彼を支援するワケですよ? で。 破産しちゃうんでしたっけ?…その先生。 英生さん、凄まじく浪費家で 英国だったか、その渡航費用を 日本にいる、その前日まに、みんな飲んじゃった? そんな彼の タニマチさんだか、スポンサーだかだと そりゃ 破産もしちゃいますよ? だから 英生さんは高等教育を受けて 梅毒スピロヘータの発見?と 黄熱病だか研究で 世界から注目されたりしましたけど。 極貧の農家のお母さんは たしか 文盲(もんもう)だったと思うのですよ? その彼女が 息子のタメに手紙を書いた。 西を向いては拝みます。 東を向いては拝みます。 北を向いては拝みます。 南を向いては拝みます。 はやく あなたが帰ってくるように、と。 ただたどしく みんな 仮名の手紙ですよ。 けど 息子が心配で心配で、どうしようもなく心配な母親の気持ちが 胸を突き刺すように伝わってくる? なんか そういうお話を、小学校の担任の先生は、していたような? 正面から 貧しさを直視したとき 漢字を読めなかったお祖母さんによる、ルビだらけの絵本は とっても愛しい宝物になって。 文盲のお母さんが書いた仮名だらけの手書きは あたしの小学校の先生にとっても 須(すべから)く、あたしたちそれぞれにとっても 母親の愛情が胸を突く、素敵な感傷を呼んでいる? 今季 とあるアニメの主人公♀さんは 11歳のとき 妖(あやかし)に攫(さら)われて 彼らの「知恵の神」になって欲しいと頼まれた。 それで いいですよ、と了承すると 右目をくり抜かれ、左足を切断されて まんま 古事記に出てくる「久延毘古(くえびこ)」さんみたいに 一眼一足の 知恵の神さまにされちゃった、そうです。 で。 神さまにするには そうしなきゃ仕方なかったんだ、とか? あっ。 そういえば、そうですね?とか驚いたのですよ?…あたくしは。 だって 最近の流行(はや)りは 勇者さんでも魔王さんでも みんな 人知を超えた能力を付与されて そうなっていくワケで。 山海の「ひとつ目」にしても、一本踏鞴(いっぽんだたら)にしても また 恐山の「いたこ」さんだって 彼女らは 盲目であるからこそ、神降ろしができるワケで。 あえて 何か足らないものをもって「神さま」とする。 言われれば まさに、そうなのですけど。 そういう発想から ちょっと遠ざかっていたような? 古事記の「久延毘古(くえびこ)」さんとは 「山田のそほど(かかしの古名)」のことだと説明され。 「かかし」は 田の中に立って一日中世の中を見ていることから、 天下のことは何でも知っている=知恵の神とされるようになったらしい? けれど 欧米の「オズの魔法使い」じゃ 「かかし」さんは 脳ミソがなくってスカスカで、おバカ故に ドロシーちゃんについて行くんだよね? 中央の 魔女さんにお願いして、脳ミソを入れてもらえるように? それだけ じゃないんだろうけど。 欧米式効率主義・合理主義は 何か足らないものは 決定的に 何か足りないとするばかりで? 彼ら 絶対無比の平等・公平至上主義に拠れば 足らないからこそ わたしたちで援けて彼らを充足してあげましょうよ。 そうやって 強引に、一部階層を社会弱者と決めつけて。 そういった 彼らへの充足手法とは。 いわば 高所から蔑(さげ)んだ哀れみ以外の何ものでもない? そこに 畏怖(いふ)の感情なんて 1ミリも立ち入る隙間なんてないじゃない? けれど あたしたち日本民族には。 足らないからこそ その 足らざる部分をもって、畏怖の対象とすることができるんですよ? 本来 あたしたちの感傷からすれば。 右目を失って、左足を切断された その 一眼一足は 大変だね?可哀想だね?って上から目線の同情や憐れみって感情「だけ」じゃなく。 そこには まさに それをもって、神さまとする、神さまの依代(よりしろ)とする 畏怖 そして、畏敬の念があったんだと思うのですよ? それが いつの間にやら。 何かしてもらうなら 当たり前に 何かを与えなきゃいけませんよ? だから 神さまには スケープ・ゴート(生贄(いけにえ)のヤギ)が 絶対的に必要なのですよ? みたいな 欧米式合理主義に毒されて。 ただたんに 何かが足りない、何かが違う、ことをもって その存在自体を 素直に 畏怖したりしなくなっちゃったのかも知れないね? 貧しさは 罪悪だとしか感じられないとしたら。 貧しさは 蔑んで憐れみの対象になることあれ。 漢字が読めなかったお祖母さんが それでも 孫娘の喜ぶ顔が見たいと一所懸命努力してルビをふった絵本が いつしか 宝物になることはないでしょう? 明々後日(しあさって)には食べるお米が底を尽く? 赤ちゃんや 子どもたちに飲ませられるキレイな水がない? そういった 貧困を、全世界から撲滅させましょうよ? そういった運動に あたしは反対したいワケじゃありません。 明々後日でも3年後でも ダレもが食べられるお米があって、飲める清廉な水があって。 ならは 世界は、どんなに素敵なことでしょう? それは 間違いなく、そうなんだと思います。 ただ 何かが足らない、何かが違う。 そのことが 必ずしも 一直線に上から目線で、憐れまれなきゃならないか?と言うと、どうなんだ? 「山田の案山子(かかし)」は 頭の中までワラじゃないか!ってことから まんま おバカの典型だとする見方もあれば。 田の中に立って 一日中世の中を見ていることから 天下のことは何でも知っている=知恵の神とする見方もあるワケで。 何より あたしたちは 『オズの魔法使い』も『古事記』も ともに よく知る、日本人だってことですよ? あたしたちの画一的な平等主義・公平主義の地平にまで 何でもかんでも 引きづり降ろして 高所から、上から目線で憐れんでみせるばかりが、エライんじゃない? 自分と、あたしたちと 何かが違う、何かが足りない。 それ 自体をもって 神として、または、神の依代として 問答無用に、畏怖したっていい?畏敬したっていい? 何かが違う、何かが足りない。 それが 同情でも何でも、何かの切欠(きっかけ)になるんじゃない? それ自体が すでに、とっても貴い、愛しいものなんだよ? 貧しさに、乾杯。 そして 何かが違う、何かが足りない。 それを そのまんま畏怖として、畏敬として、受け入れられる。 そんな あたしたち日本人の素敵な感性に、乾杯。 何にせよ。 上から目線で 蔑んで、憐れんでみるより。 よっぽど素敵なことが 世の中にはあるのかも知れませんよ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月13日 19時43分13秒
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