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テーマ:癌(3550)
カテゴリ:がん医療について
みなさまこんばんは。
今日の日記は長いです。 長すぎて2つに分けないとアップできなかったので、2つに分けてあります。 がんナビのトップページにあるNewsのところには、毎日、世界で報告されているたくさんのエビデンスが記事になっています。 がんナビ以外でも、医療・健康のニュースを探せば、まだ動物実験レベルという開発中の新薬ではなく、欧米先進国で日常的に使われている抗がん剤での、新しいエビデンスがどんどん拾えます。 そういうニュースを、積極的にご紹介したいと以前は思っていましたが、このごろは、そういう最新のエビデンスより、国内の承認のニュースをメインにしています。 なぜなら、そういう最新のエビデンスに基づいた治療法を紹介しても、日本の実際の医療現場でそれが行われるようにはならないからです。 なぜそれが行われないかというと、理由のひとつとしては、その薬自体がなかなか承認されないことが挙げられます。 この問題は、がん患者やマスコミなどに認識されるようになって久しく、国も対応しようとはしていますが、まだまだ、満足できるレベルには至っていません。 たとえば、8月27日のがんナビの記事 アバスチンが欧州で非小細胞肺がんに適応拡大 スイスHoffmann-La Roche社は8月24日、抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体製剤である「アバスチン」(一般名ベバシズマブ)が進行非小細胞肺がんのファーストライン薬(第一選択薬)として欧州で承認されたことを発表した。白金系抗がん剤をベースにした化学療法と併用で投与するもの。アバスチンの非小細胞肺がんへの適応拡大は、米国では2006年10月に承認されており、わが国ではフェーズ2臨床試験が行なわれている。 患者にとって、とても希望のあるニュースですが、、日本では、まだフェーズ2の臨床試験が行われている段階なので、日本で非小細胞肺がんの患者さんのファーストラインとしてアバスチンが使えるようになるためには、あと2年以上の時間が必要ではないかという予測がつきます。 ほかにもたとえば、 ペメトレキセドが欧州で非小細胞肺がんのファーストラインとして申請 米Eli Lilly社は9月20日、葉酸代謝拮抗剤であるペメトレキセド(商品名「アリムタ」)を、シスプラチンとの併用で進行非小細胞肺がんに対するファーストラインの治療薬としての認可を求める申請を欧州医薬品庁に行なったと発表した。このアリムタも、9月21日の日記でご紹介したように、患者の手に届くまでには、まだまだ時間がかかることが予想されます。 アリムタは、悪性中皮腫ではすでに承認されていますが、非小細胞肺がんでの承認申請では優先審査の対象となっていないため、承認待ちの順位が後ろのほうになっており、このままだと承認までに、やはりあと2年以上かかるらしい、ということでした。 今、肺がんと戦っている患者さんがこういったニュースを読んだところで、何の役にも立たず、まったく有益な情報とならないのではないか・・・そんな風に思えてしまい、承認のニュースのほうに重きを置くようにしたのです・・・ このような、薬の承認が遅いことも大きな問題ですが、しかし、日本で、最新のエビデンスに基づいた世界標準の治療が行われないのは、そういう、治療薬の承認が遅いことだけが理由ではありませんでした。 この問題のもうひとつの大きな理由は、たとえ治療薬が承認されていても、他の先進国の医師と比べて、日本の医師は自分の慣れた医療を行う傾向が強く、世界標準のエビデンスとはかけ離れた医療が行われていても、日本の学会自体が、そのことを問題視していないから・・・・ということのようなのです。 『世界のエビデンスが日本では通用しないのはなぜか?(2)』へつづく・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年10月13日 21時49分26秒
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