ウィーン国立歌劇場 来日公演 2012「サロメ」 Part 2
そしていよいよ後半に突入する。
ここからがおもしろくなるのがサロメ。
なぜなら頭の半分おかしいヘロデがいるからだ。
ヘロデとヘロディアスがしもてから出てくる。
ヘロデは雛壇の上を手前に歩いてきて、下に下りるとそこにナラボートの死骸がある。
血に滑って怒る
兵士は自分たちの上司の自害を淡々とした声で王に語る
私が今まで生で見たヘロデでヴォルフガング・シュミットがそれはそれはすばらしかったので、ああいうものをこの役には求めてしまうんだよね。神経質な高い声。まとわりつくようないやらしい猫なで声。代役のミヒャエルロイダー、まあ彼は高い声は出ましたけど、演技もすごくやっていて代役にしては芝居が入っているなとびっくりしましたけど、やはり肝心の歌唱でちゃんと歌っているのにオケが鳴らしているので聴こえないんですよね。
後半なんてほぼ字幕を見て何を歌っているのかわかるという「ほぼ口パク」状態で…(笑
がんばれ、がんばれ、と応援しながら見てたんですけどね…
まあ逆に言えばウィーンフィルのリヒャルト・シュトラウスを聴きたいならこれでしょ!という演奏だったことは確かだ。
ティーレマンだってザルツの影のない女でウィーンフィルを鳴らし過ぎて、歌手が聴こえないと酷評された。
でもそれでもその演奏はものすごかった。
そこが多分「シンガーズ・コンダクター」であるパッパーノとかだったら違うんだろうね。
でもリヒャルトシュトラウスとワーグナーは歌手とオケの戦いでもあるから、「シンガーズ・コンダクター」ではだめだとも思うけど。結局はバランスですよね。
ユダヤ人たちが出てきて宗教論争になる。
ここで出てきた第一のユダヤ人、KS Herwig Pecoraro 、小太りのおっちゃんなんですけど、すばらしい声でした。おいおいヘロデよりええよ~とがん見してしまった。くどいですけどシャシングの降板が残念。
第一のナザレ人(アルマス・スヴィルパ Almas Svilpa)もすばらしかったです~今後要注目!
井戸の底からヨカナーンの声が響くと、ヘロディアスは井戸の上に仁王立ちになり、「黙らせて!」と叫ぶ。
ヘロデはまったく意に介さず、「サロメ、踊ってみせい…」
サロメの7つのヴェールの踊り。
もちろん主にオケがん見でした~
美しい!
欲しいものは…
ヨカナーンの首。
それだけは勘弁してくれサロメ。
ここからはヘロデの見せ場なんです。
ユダヤの祭壇もやるからというセリフにユダヤ人たちは叫びながら逃げ出す。
サロメは聴く耳もたず、ついにヘロデは疲れ切ったように折れる
ヘロデは妻のヘロディアスに当たる
緊張が走ります。
ぎし、ぎしっという音が非常に大きく聞こえます。
そして あっ!今ヨカナーンの首が落ちた!という音が実に立体的に聴こえます。
さすがウィーンフィル。
サロメが血に飢えてペイジを羽交い絞めにして今すぐ井戸の底に兵士をやれと脅します。
ヘロディアスは(愛人の)ペイジを下がらせます。
すると井戸からぬっと手がつき出て、銀の皿に乗せたヨカナーンの生首を差し上げます。
ショッキング。
サロメは大喜び。皿を受け取り、舞台の正面手前に置きます。
ここからのサロメのもだえぶりがすごいです。
歌唱もすべてがすばらしかったです。
音楽が美しく感動で泣きそうでした。
世の中にお前の体ほど白いものはなかった…
お前の唇ほど赤いものはなかった…
ここの一連のサロメの最後の言葉、死の秘密より愛の秘密の方が大きいという不可思議な言葉。
お前の娘はばけもんだ。
見ていられなくなってうつむいていたヘロデが言う。
ヘロデは妻を退出させる。自分はしかしまだ残って見ている。
サロメの興奮が最高潮に達する
サロメは床に這いつくばって生首の唇に接吻する。
お前の口に口づけしたよ…
王の一言でサロメは兵士に取り囲まれる
兵士たちが盾を振り上げる。
ここで暗転。
了。
拍手。
カーテンコールで最大のブラヴォーを浴びたバークミン。
オケを讃えまくる。
お疲れさまでした~~
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最終更新日
2012年10月20日 13時08分27秒
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