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カテゴリ:OPERA
![]() 大野和士のオペラ玉手箱 with Singers Vol.1『魔笛』 2018年9月10日(月)19:00開演(18:30開場) 新国立劇場オペラパレス 出演 大野和士(ピアノ・お話) 『魔笛』カヴァー歌手: 長谷川顯(ザラストロ) 鈴木准(タミーノ) 馬原裕子(パミーナ) 吉川健一(パパゲーノ) 西尾友香理(パパゲーナ) 高橋維(夜の女王) 佐藤路子(侍女I) 黒澤明子(侍女II) 鈴木涼子(侍女III) 料金 全席指定 アトレ会員:1,080円 一般:1,620円 *** 大野和士さんのこのようなレクチャーコンサートは過去に2回ほど見ている。 大沼徹がパパゲーノを歌い清水徹太郎も歌った。(末尾にリンクあり) 今回は秋に新国立劇場の芸術監督に就任する大野が早速新国立劇場の大ホールで行った。3階まで客入れしてたかと思うが1階はほぼ満席。 1000円と廉価なので来やすい。 大野和士さんはベルギーの王立モネ劇場で芸術監督としてレジデンスディレクターとしてオペラをよく振ってきた。 日本でサイモン・キーンリーサイドがドン・ジョヴァンニを歌った時も彼の指揮だった。 オペラを知り尽くしたマエストロのレクチャー、そんじょそこらのありがちな解説ではありません。レヴェルが高く、マエストロの蘊蓄と音楽的な分析が台本もないのに奔流のようにほとばしります。歌手ともほぼリハなしだったのでは?大野和士さんがいかに天才か印象付けるものでした。 大変スリリングでユーモアにあふれ、最高でした。 よくマエストロ・ムーティもこのようなレクチャーコンサートを行っていますが、グランドピアノで魔笛を完璧に弾きまくるマエストロ大野を見ながら、感慨無量でした。落涙しそうなほどでした。そこに尊敬すべき巨匠がいました。 彼の新国立劇場のシーズンは刺激的なものになることは間違いありません。 本当に感謝です。 映画「アマデウス」先日見直したばかりだったのでまるで映画のシーンが浮かんでくるようでした。 *** オケピに蓋がされ、グランドピアノが載っている。ステージの緞帳は下されている。 大野和士さんはピンマイクをつけている。 以下は、メモをもとに記述いたします。 大野:9月から新国立劇場の芸術監督に就任する大野です。 今日は基本的なことをお伝えしたい。オペラの玉手箱シリーズは今後もシリーズ化するのでよろしくお願いします。 シーズンオープナーの魔笛は私が指揮するわけではないが、ウィリアム・ケントリッジが15年前にモネ劇場でやったものだ。それを私のシーズン第一弾にしたい。見る前に基本を押さえておくところがあれば、それを皆さんと共有したい。 シカネーダーという台本作家について説明する。 モーツァルトより5歳年上で自立して旅芸人になる。すぐに頭目になってドイツ各地を回る。彼はドイツ語のものしか書いてない。 ハムレットをミュンヒェンで演じ大成功した。若いゲーテ、レッシングの作品も取り上げた。 彼は民衆のために必要なのは何か悟る。難しい作品では劇場がガラガラになる。時事ネタを舞台に載せていた。本物の戦車や本物の動物を出した。 ヨーゼフ2世の治世 Wienでジングシュピールを手がけた。 1788年 An der Wien 劇場 1791年にここで Mozartと共同作業をした。 1791年9月30日19時開演だった。 (大野和士さんは魔笛序曲の和音を弾く。) Nr.1 Zu Hülfe! zu Hülfe! ♪助けてえ! タミーノ 鈴木准 テノール 大野:大道具が使えないので皆さんのイマジネーションに訴えたい。 大蛇が出てきたんですね。 schon nahet sie sich 音程が上がっていく。大蛇が近づいてくる表現。 書き割りが二つに分かれ、甲冑を着た侍女が勇ましく降りてくる。 終わったら急にたおやかな音楽が流れてくる。 侍女1がタミーノの顔を覗き込んで息を呑む。 その休止符をモーツァルトは書いている。 Ein holder Jüngling, sanft und schön 大野:三人の侍女 三人の個性を発揮させている。 侍女3 は Ja, ja! gewiss まったくもってええ男じゃーと言っている。(会場爆笑) 肘鉄のシーン ich ich をやっていただきましょう。 Nr.5 五重唱 Hm! Hm! Hm! 大野:融和のモチーフ Sotto voce とても優しく 笛を渡す。二番目の融和のシーン。 笛を吹くと動物の集まるシーンがあるがおそらく当時は本物の動物を出していた。 Der Traurige パララン パララン wird freudig seyn シルヴァーグロッケンを渡すところ、2小節で調が変わる。 (侍女1の佐藤路子さん すばらしい!) Nr 五重唱 Drey Knäbchen, jung, schön, hold und weise 大野:三人の童子が本物の気球で降りてくる。 Nr、3 Dies Bildnis ist bezaubernd schön 大野:ベネディクト・ジャックというテノールに当てて書いた。 Dies Bildnis ist bezaubernd schön Ich fühl' es, wie dies Götterbild ここでクラリネットなんです。どうしてかと言うと、クラリネットは鼻の下が伸びた状況で吹くんです。今のタミーノも鼻の下が伸びた状態です。(会場爆笑) (鈴木准さんのアリアすばらしい。) Nr4 O zittre nicht, mein lieber Sohn! コロラトゥーラ・ソプラノ 高橋維 大野:夜の女王のアリアはバロックのスタイルで書かれている。⁇夫人に当てて書かれた。 前半レチタティーヴォ 後半 バロックの形式でコンチェルタートという速い部分が続く。 ドン・ジョヴァンニのドンナ・エルヴィーラの音楽は全部バロックで書かれている。ドンナ・アンナとゼルリーナは自由に書かれている。夜の女王をバロックの形式に閉じ込めた。夜の女王はアンシャン・レジームなのだ。 (後半部分Du du du (Du wirst sie zu befreyen gehen)を歌う。 すばらしい!完璧なコロラトゥーラ。) Nr8 Finale Könnte jeder brave Mann 大野:鈴でモノスタトスらを撃退した後のパミーナとパパゲーノの二重唱部分 Beethovenはアンデアウィーン劇場の向かいに住んでいた。 友愛のハーモニーと第九のメロディの近似性をピアノで表現。 Nr7 Mann und Weib Bey Männern, welche Liebe fühlen (吉川さん美声のバリトンだ。) 大野:ここは変奏曲になっている。 システィーナ礼拝堂天井画のようなものをMozartは表現したかった。全ての世界を上から丸く包む。 宇宙まで届く絆の世界に達する。 休憩 第2部 大野:3つのアコード (冒頭に弾いた。) 大野:Wienのフリーメーソンの戸を叩く音も3、3、3 当時エジプト探検が流行っていた。 古代イスラエル帝国のソロモンの神殿も。 フリーメーソンの入会の儀式 1781年 イドメネオを書いた後、ザルツブルクからWienに居を移す。 ヨーゼフ2世の宮廷にはすでにイタリア人の作曲家がいた。サリエリとの確執。 「後宮からの誘拐」はモーツァルトが唯一皇帝から委嘱を受けた作品。 ダ・ポンテ3部作はうまくいった。 1790年プラハ ヨーゼフ2世が薨去 モーツァルトは後ろ盾を失った。 後宮でオスミンを歌ったバスがザラストロを歌った。 Nr.10 ザラストロのアリア O Isis und Osiris schenket バス長谷川顕 (ものすごいBassoプロフォンドで、マッティ・サルミネンのようだ。) 大野:3のモチーフについて。 タミーノの笛とパパゲーノの笛 グロッケンシュピール 3つの楽器 それぞれ3回ずつ出てくる。 ザラストロのアリア O Isis und Osiris には元歌がある。シカネーダーの書いた女性についての歌。夜の女王との対比。形式的バロックとの対比。平明さをザラストロに与えた。民衆の教化。 (Osis und Osirisを観客に歌わせる。) Nr.14 Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen 夜の女王のアリア 大野:≪調性の対比≫ (夜の女王役、高橋維をインタビューする大野。 マイクを手渡す) 大野:コロラトゥーラを歌う時、何を考えている? 高橋維:ハイFが出てくるので…とか…何も考えてません。 大野:ランメルモールのルチアのようにレッジェーロではなくダジリタ。 高音で強い声になること。モーツァルトはこれを念頭に置いていた。 Der Hölle Rache kocht in meinem HerzenはD-moll(ニ短調)で書かれているが、Nr.15 次のザラストロのアリア、In diesen heil'gen Hallen(♪この聖なる神殿では)はA-dur、ホ長調で書かれている。ホ長調で書かれている曲とは例えばこれです、(とショパンの「別れの曲」を弾き出す。)内向的な柔らかい調ですね。 (ここで大野さんはベートーヴェンのピアノコンチェルト第三番を弾き始める。) 大野:これに関係あるのです。この次にこの調やこの調ではなく、こうなるのです。一番ありえない遠い調がでてくるのです。 Nr.17 Ach ich fühls パミーナのアリア「ああ、私にはわかる」 馬原裕子 大野:フリーメーソンの儀式には女性は参加しないことになっている。それなのに(初演の)17才のパミーナはなぜ修行に参加できたのか?このパミーナのアリアは聖母マリア、聖セバスチャンの殉教を体現します。体中矢がいっぱい刺さっている姿です。苦しみを甘受するのです。パミーナがこの苦しみのアリアを歌ったからこそ、タミーノと旅を共にしてよいとザラストロが思ったのです。 (馬原裕子さんの歌ったこのアリア、すばらしかった!!なんという美声だ。空気を包むまろやかさ。体全体が美しい楽器のようだ。) Nr.21 Finale Tamino mein! O welch ein Glück! (鎧の騎士なしのタミーノとパミーナのデュエット。絶品でした!) 侍女3人と夜の女王: Dort wollen wir sie überfallen ~Dir, grosse Königinn der Nacht 大野:地獄に落ちる場面です。転調してザラストロの歌に続く。 ザラストロ Die Strahlen der Sonne vertreiben die Nacht 大野:これがかの有名な、マーラーがワルターに言った台詞です。「モーツァルトはたった2小節で我々を地獄から天国に連れて行ってくれるのだから」。 (納得です!) 大野:アンコール代わりにこれを。 パパゲーノ: Papagena! Papagena! Papagena! ~ パパゲーノとパパゲーナの二重唱 Pa-Pa-Pa 大野:モーツァルトはパパゲーノが鈴を鳴らすときの音楽をチェンバロで演奏していた。初演時に、いたずらなので、わざとずらして演奏してパパゲーノ役を慌てさせた。 このグロッケンシュピールの音楽、何かににていますよね、(と弾き出す。きょうの料理の音楽だ!)。それからモーツァルトにシカネーダーが言って書き直させた、パパゲーノはパパゲーナに出会うシーンでパ、パ、パと言葉が出てこないように表現するよう書き直させた。 これでおしまい! マエストロ、歌手の皆様ありがとうございました!! *** Related articles 2013年12月29日 大野和士ホフマン物語レクチャー Part1 2014年11月04日 大野和士レクチャーコンサート お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年09月12日 20時41分10秒
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