長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道
長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道Brain commands and physical reactions養老孟司は長嶋茂雄の脳が身体に指令する能力の高さこそが運動能力として表現されると解説する。長嶋茂雄が生まれて88年、この間に年間3,000人が入学する東大生は総計264,000人。東大生には長嶋茂雄の脳指令に優る能力を持つ者は現れなかった。長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道計量計測のエッセー 長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道春の高山祭が開かれる4月14日の宮川に架かる中橋の人出と桜の花とヤナギの芽吹き。(タイトル)長嶋茂雄の脳指令と身体反応 これぞ文武両道(本文) 野球選手のイチロウがバスケットボールをする。丸いリングに多きな球を入れるのが下手だ。速く走る陸上競技選手が走者専門でプロ野球のロッテ球団に入団したが腰を高くすることで速く走る100m競争には秀でていても、野球走者としてはカラッキシ駄目であった。世界の盗塁王の福本豊は投手の癖を知っていて次の塁を奪った。捕手野村克也は福本の前に走者をだして走らせないようにした。 陸上の10種競技は1日目に100m、走幅跳、走高跳、400m、2日目に110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500mで総合成績を競う。平均して高い競技力を持つ者が勝者となる。この競技者は円盤投、砲丸投、やり投もするから筋骨がたくましい。走幅跳、走高跳、400m、110mハードル、棒高跳、1500mの競技者と比べると動きがぎこちない。とくに1500m競技にいたっては身体の切れが格段に劣る。人類はさまざまなスポーツ競技を編み出してきた。身体の構造と競技は連動しているから、すべての競技で一流になることはできていない。競技万能という言葉は誇張だ。せいぜい競技能力に優れているという程度のこと。 大相撲の出世力士は長生きしない。筋肉を異常に肥大させたり、心肺機能を極限まで高めることは、人の長生きや健康とは直結しない。力士の血圧と血糖値は病気判定の基準をはるかに超える。身長と体重の比から割り出される「肥満度」の値は異常であり、非健康に分類される。筋肉量の多い人も同じ扱い。医学がつくりだしている健康の概念に疑いたい。 身体行動は脳の働きを筋骨で表現したもの。脳が働きを停止すると筋骨は動作しない。身体は脳の指令で動く。解剖学者の養老猛司は文武両道をこのように解する。運動競技が良くできることを奨励し、これをこのままに受け取るのが世の中一般である。選挙公報に運動競技歴をうたうのはこのことの反映。戦前の軍隊の兵隊は、歩く、走る、飛ぶ、担ぐ、などができるのに適した身体に造りあげられた。学校教育における体育は兵隊をつくるのに結びついていた。今の人々には兵隊の身体をした人はいない。普通の労働では兵隊のような身体にはならないし、その労働では兵隊の身体はいらない。現代の人々において健康とは何か、心身ともに。そして人という動物の身体の心の特性を考えてみよ。人の多くは競技者ではなく、競技を見て楽しむ側にいる。ただし子どもは直ぐ走りたがるし、じっとしていない。 自衛隊の防衛大学校そして幹部学校に進んだ者の適正を疑う。入学試験を通過し、入隊後は戦前の兵隊のように身体を鍛えて、軍事行動の指揮者である将校になる。初年兵教育を受けた兵隊のすべてが大日本帝国軍人にはならない。落伍者が必ずいる。安岡章太郎は軍隊の愚劣な日常と弱者の抵抗を小説「遁走」で描いた。自衛隊幹部候補生どうにもならない者がいる。このことが「入隊拒否」として出現する。将官となって愚劣な作戦行動する者に比べればまともなのではないか。医学部に合格して医者の道を歩む者たちにもこのことが当てはまる。適正とは何か、それは試験問題を解く頭脳のことではない。適正はやってみなければ確認できない。やり続けることが適性を獲得することでもある。昔の大工仕事は13歳で修行を始めないと身体が覚えなかった。カンナ削りにそれが現れることを「清貧の思想」の 中野孝次が自らの体験を通じて語る。 学校教育では特に高等学校が文武両道を唱(うた)う。これは学業への執着だけではなく、身体も鍛えよ、と受け止めておくべき。スポーツに極度に打ち込めば学習の時間が削られる。学業を頑張ろうとしても頭脳と心が追いつかないのが普通だ。プロ野球一年目の長嶋茂雄のバネの効いた躍動感は素晴らしい。長嶋茂雄の身体に号令をだす脳機能が特別に優れていたのだ。 長嶋茂雄1936年2月20日生れ、養老孟司は1937年11月11日生れで一歳違い。養老孟司は同じ東大の登山部員に同行して虫捕りをした。虫捕りに夢中だったということもあって山歩きでは登山部員に優った。養老孟司は長嶋茂雄の脳が身体に指令する能力の高さこそが運動能力として表現されると解説する。長嶋茂雄が生まれて88年、この間に年間3,000人が入学する東大生は総計264,000人。東大生には長嶋茂雄の脳指令に優る能力を持つ者は現れなかった。 計測技術者には計測学を修得しなければならない。計測学を実施に応用するには教養と感性と技術が要る。計測学の頭脳からの指令に答えるだけの身体能力としての技術を修得していることが大事だ。心と体の統一としての計測技術の豊かな発露が求められる。2024-04-20-brain-commands-and-physical-reactions-