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2014年08月01日
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カテゴリ:読書


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ドラッカーの愛弟子である大学の先生の著書。(以前のエントリー⇒「ドラッカーと左足の靴」)

ドラッカーの「預言」とは、日本における非営利組織の勃興を預言するものである。海外においては、非営利組織(NPOやNGOなど)の役割は大きく、米国学生の人気就職先ランキングでは、DisneyやGoogleと共に、NPOの「Teach For America」がトップ5に名を連ねる。日本でもそのようなことが起こるのであろうか。

ドラッカーは、「知識社会が進んでゆくと、人々の働き方が変化し、より流動的になる。こうした流動的な知識ワーカーは、自らの拠り所をもはや企業組織ではなく非営利組織に求めるようになる(P18)」と述べる。

当初は、ドラッカーも「拠り所(コミュニティの役割)」を企業に期待し、マネジメントの研究を進めていた。

ドラッカーのマネジメント論は、「生産性や利益の向上のためのノウハウではなく、経済活動とコミュニティの双方の役割を担う組織のための理論(P39)」であるという記述は、企業の『マネジメント』で有名なドラッカーに対する別の見方を提供してくれる。

しかし、ドラッカーが目撃した「知識ワーカー」は、会社を自らの目的を達成するための手段とみなし、よりやりがいのある仕事を見つければ、たやすく転職するのものであった。知識ワーカーが忠誠心を抱くのは、会社ではなく、自らの知識に対してなのである。したがって、知識ワーカーにとって会社は、帰属への欲求を満たすコミュニティとはなりえなかったのである(P73)。

日本では、終身雇用や年功序列賃金という日本型経営の「成功」が、コミュニティとしての企業を実現させた。流動的な性質を持つ知識ワーカーにとっても、継続して働くことは得であったのである。日本では企業が「イエ」と表現されることがあるのも、企業コミュニティの「成功」を物語っている。

日本型経営は、変化を遅らせた。

しかし、今、我々が実感しているように、日本においても雇用の流動性は高まり、変化は着実に進行している。転職は珍しくなくなったし、転職がスキルアップだとさえ考えられ始めている。ベテランのサラリーマンが知っているかどうかは分からないが、実は、「会社のために」働こうと考えている若者はごくごく僅かだ。

まさに、ドラッカーが目撃した知識ワーカーの姿が日本にも表れ始めているのである。そうなれば、日本においても会社はコミュニティの役割を果たす主体であり続けることはできない。もうだいぶ変わってきているはずだ。この点について説明は要らないだろう。

一方でドラッカーがその必要性強調するのが、「人々が位置と役割をもつ自由な社会」である。会社がコミュニティ足りえないとすれば、一人ひとりの人間が役割をもち、積極的に社会に参加するためには、別のコミュニティが必要となる(P39)。その役割を担うのが非営利組織だというのである。

P71でドラッカーが銀行家として成功を収める娘に、なぜ忙しい中ボランティアに行くのか尋ねる場面がある。娘は次のように答える。
「銀行の仕事は給料もよく、大変面白いが、それだけで何かに貢献しているという実感が持てない。」
何かに貢献している実感が持てないという声は、私の周りでもよく聞く。特に若い人は、社会的な貢献の場を求めているというのは、私も感じるところである。

日本においても非営利組織が米国と同じような役割を担えるかどうかは、そのような人々が抱く社会貢献や居場所の欲求に対して、納得のいく答え(コミュニティ)を提示できるかどうにかかっている。

「非営利組織には2種類の顧客がいることを忘れてはならない(P135)」というのは、大切な指摘である。

それは、「第一の顧客」と「支援してくれる顧客」の2種類である。「第一の顧客」とは、非営利組織からサービスを受ける人々であり、「支援してくれる顧客」とは、寄付者、ボランティア、会員など、非営利組織を支援してくれる人々である。どちらの顧客に対しても尋ねることを忘れてはならないのだという(P139)。

多くの場合、知識ワーカーは「支援してくれる顧客」である。非営利組織は、ただ単にボランティアのプログラムを提供するだけでなく、彼らの気持ちや期待を把握して、「市民の創造」に応える努力をしていかなければならない(P137)。

社会が産業社会から知識社会に移行する必然の中で、非営利組織が社会的課題の解決を使命に掲げ、かつ、人々の「欲求」に応えていく主体となりえるのか。それが市民社会をつくることでもある、という考えは非常に興味深いものであった。


(以前のエントリー⇒『非営利組織の経営』P・F・ドラッカー









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最終更新日  2014年08月02日 18時21分04秒
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