『働く君に贈る25の言葉』 佐々木常夫
「よい習慣は、才能を超える」始めはしんどいかもしれないが、慣れればどうってことない。東レ経営研究所特別顧問の佐々木さんの著書。佐々木さんは、自閉症の長男、そしてうつ病を患い何度も自殺を試みた妻を看病するため、毎日6時に退社する必要に迫られていた。その制約された、ときに過酷過ぎる仕事環境の中で、効率的な、そしてまた有効な仕事方法を追求し、本書でその成果を紹介している。その働き方で、彼は同期トップで取締役に就任したという。仕事法もさることながら、家族や同僚を思う気持ちがひしひしと伝わってくる一冊で、佐々木さんの人柄のよさを想像してしまう。まさに「徳力」を備えた人ではないだろうか。本書の中から印象的な部分をいくつか紹介。「遅刻をすることは、相手の人生のかけがえない時間を奪っていることに他ならないのです。時間を守らない時点で一番大切な礼節を欠いているのです。」「私たちは気をつけなくてはなりません。人は、怒ることを避けたいので、相手のミスの多少は見て見ぬ振りをしてしまいがち。しかし、言わないけれど相手は冷静にそのミスを見て、あなたに対する評価をさげているのです。ミスを指摘されないために、人は自分の失敗に気づくことができません。あるいは、この程度のミスは許されるんだと勘違いしてしまいます。その結果同じミスを繰り返すことになるのです。」これは心にぐさりときた。同時にすごく怖いと思った。誰でも、できれば人を注意したくない。些細なことであればあるほどそうだろう。でも、それでいて相手は黙って自分を評価しているかもしれない。気がつかないとは本当に恐ろしいこと。「誰かと会うときには、きちんとした服装にしなさい。何もファッショナブルな服を着る必要はありません。それは自分を着飾りたいだけです。いわば自己顕示欲です。プライベートは結構ですが、仕事でそれを求めるのは筋違いです。自分の嗜好よりも、相手の嗜好を尊重するのです。」確かに。特に職場では自分より年配の方がほとんどであるから、その方々が自分の服装をどう見ているのかが大事。電車などで高校生の服装を見ると、自分も同じような格好をしていたのかと思うと、なんとも言えない気持ちになるもの。清潔感とサイズの合った服。それでいい。「仕事のやり方はどうやって学べばいいんでしょうか?簡単です。他人の優れたところを真似ればいいのです。その人の行動に注目するのです。その人が何時に出社するのか、どんな話し方をしているのか、どんなふうに電話をしているのか。」「「なるほど」と思うだけでは何の意味もありません。「わかること」と「できること」はまったく違うことなのです。」スキルを磨く本は巷に溢れているけれど、本当に自分に関連する仕事を上手にこなすには、同じ仕事をしている「先輩」に学べということ。「学ぶ」という言葉は「真似ぶ」というところに起源があるというから、仕事のできる人の真似をすることは、とても重要だろう。「スキルだけいくら身に付けたところで、「志」がなければ単なる要領のいい生き方、働き方ができるようになるだけです。何のためにスキルを身に付けるのか?」とても共感できる。何のためにスキルを磨き。何のために仕事をするのか。それが大事。「数字を暗記することは、仕事をするうえで非常に大切なことです。数字を並べて話す人は「こいつは、よくわかってるな」と思ってもらえます。頭に入っていれば、いつでもどこでも考えることができます。電車のなかでもトイレの中でも。」これもすごくよく分かる。話しの中に数字が出てくる人は、話の説得力がぐんと増す。ただ「多い」と言われても、数字で示してもらわないと、どれくらい多いのかが全く伝わってこない。特に若い人におすすめの一冊です。【送料無料】働く君に贈る25の言葉価格:1,470円(税込、送料別)★★★★★<メモ>・人は、人間として成長するために働くのだ 「マズローの欲求5段階説」1 生理的欲求⇒2 安全の欲求⇒3 所属と愛の欲求⇒4 承認の欲求⇒5 自己実現の欲求 :人間は、自己実現にむかって絶えず成長する生き物なのである。・「それでもなお」朝、出社してあいさつをしても、あいさつを返してくれない人がいる。それでもなお、次の朝、また元気にあいさつをする。⇒日常生活の中で「それでもなお」を積み重ねることで、人間として成長していくことができる。・礼儀の正しさの本質とは何でしょうか?「相手を尊重する」ことだと思います。 きちんとしたあいさつをするのは、相手に敬意を表すためです。・しっかりした人生観をもつか、もたないかで、人生に大きな差が生まれる。・自分にとって「本当に大切なもの」が見えていなかったのです。その結果、彼は仕事に人生を乗っ取られてしまったのです。その原因は、自分の人生について真剣に考えてこなかったから。⇒できるだけ若いうちに自分にとって大切なものを見極めて、そのために仕事をコントロールする意思を固めてください。その意思さえしっかりしていれば、仕事を効率的にするノウハウなどいくらでもあります。・35歳の時点で昇進・昇格にそれほどの差がつくことはありません。しかし、それは外形上のことです。その人の立つ位置は35歳にではほぼ決まってしまっているのです。⇒これをその人の「成長角度」と呼んでいます。この「成長角度」の高い人が、低い人に追い抜かれることはまずありません。・もし、君が成長したいと願うならば、より高い制約を自らに課すことです。上司から言われた締め切りよりも、少し早めにデットラインを設定してみる。必死になって考えれば、必ず制約を乗り越える方法は見つかります。だから敢えて制約を求めなさい。人は、制約があるから成長するのです。・重要度の低いものは拙速でもいいから早く終わらせること。雑務はポイントさえ押さえておけば、完成度は低くて構わないのです。ただし、手を抜くところを間違えてはいけません。大切なのは「どの仕事が重要なのか」を正しく見極めることです。つまり、「事の軽重」を知ることが仕事の肝なのです。・ユニクロの障害者雇用率は8%。法定雇用率は1.8%。社会貢献だけではない。仲間同士で助け合い、支え合う中で、困難な仕事に立ち向かおうという機運が生まれる。・志があって周りの人を大事にしていれば、必ず誰かがそれを見ている。・「働」⇒人のために動くことを働くという。・必ず会議開始の10分前に席に着くようにする。電話がかかってくることもあるだろうし、着いてから書類を忘れたことに気付いて、取りに戻らなくてはならないこともある。・途中で食事をしなければならないときは、必ず目的にについてからにする。・仕事を始める前に、最短距離でゴールするにはどうしたらいいか考える。