寺島実郎 「世界を知る力」講演
寺島氏曰く日本人はずっとアメリカを通して世界を見てきた。そのために、世界の現状を見誤り、世界から意識的に遅れをとった。太平洋側を表と呼び、日本海側を裏と呼んだ。現在は実質それは、逆転している。日本人はトレンドはまだアメリカにあると信じているが、日本の経済的比重が、アメリカから中国、アジアに移ってきているのは、貿易額をみても明らかである。日本と各国の貿易総額を見ると、1990年には、米国27.4% 中国3.5% アジア30%であったが、2000年には、米国25% 中国10% アジア41.4%2010年(11月)には、米国12.9% 中国21.8% アジア51.2%となり、米国と中国の総額は2007年から逆転している。三井物産のサンフランシスコ支店は、かつて役員を輩出する、花形支店だったそうだが、今や支店は役割を終え、撤退したそうだ。一方、中国が注目されているが、注意しなくてはならないのは、世界が見ているのは私たちが描く中国ではなく、Chinaであるということ。Chinaには、国としての中国だけではなく、台湾人、香港人、シンガポール人、華僑等の幅広い人種が入り混じっている。講演のもう一つのポイントは、日本の人口減少と世界の人口増加である。日本の人口は2007年に1.28億人でピークを迎え、2046年には1億人を割り、2100年には4,771万人になる予測である。また、2050年には高齢化率が39.6%とほぼ4割に達する。つまり、1億人のうち、約4,000万人が高齢者の時代40年後には訪れるのである。こういった意識をもって経営や国づくりをすることがこれからのリーダーには必要となる。