自称・漫画ソムリエのひとごと

こんにちは、酢モツです。

最近、改編期のせいか、
最終回や新連載が目立ちます。
特に最終回が最悪だと、
今までの評価ががらっと変わったりもします。
今日は、最終回が微妙だったけど、
単行本を読み直すうちに
再評価された作品の紹介です。



湯神くんには友達がいない（1） （少年サンデーコミックス） [ 佐倉 準 ]

週刊少年サンデーSと週刊少年サンデーで、
足掛け7年かけて完結させた
全16巻の作品です。
当初は週刊連載でしたが
後半は月１連載だったので、
年数の割にはちょっと少な目な巻数です。


高校を舞台にした作品。


主人公は 湯神 祐二
野球部のエースで成績優秀！
昔の漫画の主人公らしい主人公。
当然、今の漫画はそんな設定は通用しなく、
湯神は一癖も二癖もあります。
マイペースで理屈っぽい性格、
歯に衣着せぬ物言いのため周囲からは疎まれてます。
さらに努力家で自己研鑽に余念がなく、
野球の実力は多分全国クラス。
他の野球部員は湯神を
やっかいもの扱いしてますが、
野球部が湯神のワンマンチームなので、
あまり強く物が言えない状態です。
友達を必要とせず、一人を楽しむ偏屈な少年です。




本作のヒロイン 綿貫 ちひろ
湯神のクラスにやってきた転校生。
一見、優しく善良な女子ですが、
内気で要領が悪くて日常生活もあまりうまくいかず、
友達もなかなかできません。
湯神の隣の席になったためいろいろと
とばっちりに合いますが、
クラスに話相手すらいないちひろにとっては、
湯神ですら有難い？存在になります。

ひねくれものの湯神と、
内気な転校生ちひろを始めとした
周囲の人々の日常を描いた作品です。


ぼっち生活を満喫する湯神ですが、
実に多趣味です。
公式プロフィールでも
落語、城巡り、囲碁将棋、日曜大工にボーリングと幅広い。
ボーリングも一人で行くくらいの強者。
落語も文化祭で披露するくらいはまってます。
作中では野球と落語の漫画かと思うくらい、
落語が出てきます。
ちひろの父親が落語好きで、
その影響で少しは落語を知っているので、
湯神と共通の話題ができます。
一人が好きなくせに
誰かに話をしたい湯神と、
ただ聞いてるだけのちひろの構図が面白いです。
さらに二人で落語を見に行く仲にまでなります。
二人はその気はないですが、
端から見れば落語デート。
この僅かに感じるラブコメ感もよかったです。


この漫画は野球方面も面白かったです。
ただ気になるのは湯神の実力。
二年連続甲子園予選準優勝は
かなりすごいことです。



強豪校でもない、湯神だけでもってるチーム。
おそらく埼玉県(作中では限定してない)
準優勝はなかなかの成績だと思います。
下手したらドラフトにひっかかってもおかしくないような…
最低でも大学のセレクションは受かると思うのだが…
公式プロフィールでは176センチと、
野球人としては小さいかな？
しかし左ききはでかいと思います。
でも野球方面をすっぱり切った決断もすごい！
現実味が薄れちゃうしね。
これがジャンプなら甲子園に行ってたかも…


最終話は、一見なんでもなく、
もやっとした終わりかたでした。
しかしよく読み込んでみると
コレがなかなか感慨深いものがあります。
大学で野球を辞めた湯神とちひろの再会。
いきなり宇宙飛行士を目指すと言ったり
ドタバタ展開。




最初、普通に読み流しました。
このロシア語の意味は直訳で、
｢あなたは私にとって価値がある人です｣
ロシア語でのいいまわしで、
｢大切な人｣ということで、
まわりくどい告白などに使われます。
湯神よ…
最後までめんどくさい男だったな…

最終巻は１回読んだだけだと、
普通にいい作品だなと思いましたが、
読み返していくうちに、
なんてよくできた漫画なんだ！
と感動しました。
湯神とちひろの感情の変化も、
１回読んだだけでは、
完全に把握することは難しいかな？
久しぶりにその日のうちに読み返しました。
こうなってくると
｢何故、大学編がないんだ!?｣
と、逆にもどかしくなってきます。


めんどくさい男、湯神と
振り回される女、ちひろの
微かに感じるラブコメ漫画、
いかがでしょうか？

ではまた次の漫画でお会いしましょう。