劇場版ダウントン・アビー
大スクリーンで見るダウントン・アビー本当に壮麗で、堂々たるダウントン・アビーの佇まいと周囲を囲む芝生の美しさ玄関ロビーや居間の家具調度品だけでなく、壁面も天井も床も美しい昔ながらの生活を送っているクローリー家と使用人たち各部屋からの呼び鈴が、使用人の食堂でリンリン♪鳴ると今はもう失われた世界がよみがえり、胸が締め付けられます靴やドレス、帽子、手袋、バッグそれぞれにTPOがあるんでしょうがやっぱり今も朝のドレス、午後の散歩用ドレス、乗馬用ドレス、お茶会のドレスなどなどさまざまなシーン別ドレスの区別がつきません主催者側が着るティーガウンはわかりますけど、呼ばれた側のドレスが難しいイブニングドレスはデコルテが出ていて、ロング手袋、これでもか!と宝石をつけるのでわかるんですが20世紀初頭はドレスの形が今に近くなってきてるから、余計に難しい気がする今と似たシルエットなのに、今より厳格なTPOがあるんでしょうねこのサイトを見てると、往時の優雅な貴婦人たちの姿が目に浮かんできますよ公益財団法人京都服飾文化研究財団のデジタルアーカイブ今回の舞台は1927年王室で手紙が書かれ、封蝋が押された封書が蒸気機関車に乗せられ北へ向かい、機関車の中で仕分けされて、駅でおろされ、郵便配達人によってダウントン・アビーへ郵便を受け取った下男が執事のトーマスに渡すときに「びっくりするぞ」と言い、差出人を確認したトーマスは、階段を下りてきた旦那様にタイミングよく差し出すなんてよくできた執事でしょう!トーマスはいけ好かない奴な時間が多いけど、向上心と機を読む才能は一番ですで、その封筒に入っていたのは、ジョージ5世国王陛下とメアリー王妃のご訪問「ロイヤル・ビジット」の知らせもう、ダウントンは上も下も右往左往の大騒ぎです旦那さまとメアリーさまは、おもてなしと軍隊パレードの準備に大わらわだしコーラ夫人は「興奮しちゃう」とウキウキしてるイーディスも呼び寄せないといけないし、新しいドレスも必要だし、もう大変使用人たちは、陛下とその使用人たちを受け入れるために部屋を片付け、お出しする料理を考えて、パットモアさんは舞い上がっているし、デイジーは相変わらずに共和主義者で一席ぶって、パットモアさんにたしなめられるし、どこからか聞きつけたモールズリーさんは、ぜひ下僕として給仕したいと言うし、頼りの執事のトーマスは委縮して、王室使用人が指示するまで何もしない宣言王室料理人が、必要な食材はすべて持ってくると宣言しても、村の人は「王様のお口に、うちの商品が! うちの作物が!」と大喜びでパットモアさんの得意料理に合わせた食材をすでに発注済み、取り寄せ済みで、お人好しのパットモアさんは断り切れず、デイジーも「喜んで」と受け取っちゃって食料倉庫ぎっしりにしてしまうし、腐らせるのももったいないし、返すわけにもいかないしどうにも役に立たないトーマスを見かねて、メアリーさまが考えた策は引退したカーソンを臨時で呼び戻して仕切らせようとして、トーマスを図書室に呼んで、その話を切り出す前に、カーソンが現れて暴露しちゃって臍を曲げたトーマスは、そのまま休暇をもらってダウントンを離れてしまう……だよねトーマスを引き留め、説得する時間も惜しいくらい、国王陛下の来訪は迫ってるのでとりあえず、カーソン中心にやるしかないです豪雨の中、パレード見物の椅子を並べたり、メアリーさまもグランサム伯爵家の威信にかけて使用人と一緒に濡れて泥まみれになって頑張ってますほんと、気丈で辛抱強くて、責任感があるメアリーさま時代の流れに上手に乗って、いい領主になりますよ<トーマス>今回、トーマスは王室使用人といい雰囲気です先遣隊としてやってきた王室使用人リチャードが、陛下が来る前にダウントンを去るから、よかったら遊びに来ないかと誘ってくれてよかったじゃん! トーマス!!!!なので、カーソンさん復帰でダウントンから休暇をもらって、リチャードのところに遊びに行って、バーでリチャードを待つ間に……どうして、その場にいた男に色目を使うの!相手もまんざらでもない様子で誘ってきて、二人して地下クラブに行ってまー、男同士がいちゃついてるクラブに初めて入ったトーマスの可愛いことまるで、田舎の子が都会に遊びに行って、おっかなびっくりしてるみたい膝の上に可愛い子を乗せてイチャイチャしてる人たちを横目にトーマスもキスして、ダンスして、キャッキャしてたら、警察の手入れあー……トーマスったら……運のない子警察に連行されるトーマスを見ていたリチャード、そのまま離れるかと思ったらちゃんと警察に身元引受に来て、トーマスが伯爵家の執事で何も知らなかったんだと主張し自分は王室使用人だからと名刺を見せて、強烈な身元保証をして、トーマスを無事に警察から取り戻して、ちゃんと同好の士だと明かしてラブラブな夜を過ごしたんだろうな~それぞれの仕事に戻っても、文通しようと約束してトーマスが「友達ができた」と喜んだら、「友達なのか?」と残念そうに言ってくれるリチャードトーマスがダウントンに戻り、王室が引き上げ、使用人も引き上げるときにトーマスに思い出の品を渡して、別れのキスあー、素敵な人だちょっと遊び慣れてる気もするけど、まだまだ初心なトーマスにはいい相手どうか同性愛者だと公にバレることなく、ダウントンで働いて、リチャードと末永くほんのり甘く幸せな文通と休暇でロンドンに行ったら短い逢瀬を重ねてロンドンとダウントンの距離はあっても、心は寄り添っていて欲しいなどうか、アラン・チューリングのような最期にはなりませんように<アンナ>メアリーさまの侍女としてだけでなく、探偵として大活躍です王室使用人が来てから、次々となくなる小さなものメアリーさまの部屋の銀の小箱、旦那さまのデスクの銀のペーパーナイフ、イーディスさまの部屋のガラスの器それと衣装係が上の部屋をうろついていたことを結びつけるアンナ昔から手癖の悪い使用人がいることを知っていたから、ピンと来たんでしょうねそれを糾弾することはせず、物を返して、なおかつイーディスさまのドレスを直すことで手打ちこれっきり衣装係のロートンが盗みをしない保証はないけど、少なくともダウントンにアンナがいる限り、盗んだらえらいことになるとわかったからダウントンさえ無事なら、アンナも安心鼻持ちならない王室の料理人と上級奉仕官を黙らせ、我が物顔でダウントンをのし歩く王室使用人たちから仕事を取り戻すためにトーマス経由で素敵なリチャードに嘘の電話をかけさせて、使用人たちをロンドンに送り返させ、仮眠を取る料理人には、規定量の二倍の睡眠薬を入れたお茶を飲ませて、上級奉仕官は部屋に閉じ込め、知らんぷりダウントンの使用人が一致団結したら、怖いものなしです<ブランソン>この人の立ち位置が、いつも絶妙です元使用人であり、三女の婿であり、上の人間でもあり下の人間のこともわかってる元反政府主義でアイルランド独立運動に身を投じた過去もありつつ今はダウントンで伝統を守る生活をしている国王陛下の来訪に伴って、警察にマークされていると思っていたら、実は反体制派に誘われていて、計画を知るために近づき、見事に国王陛下狙撃を阻止貴族の関係には疎いから、メアリー王女だと知らずに、泣いている女性にフラットに話しかけ、ブランソンとしては普通に話をしただけなのに、メアリー王女に夫婦関係の修復を決意させるブランソン自身も、ルーシー・スミスといい感じま、ブランソンって、新しい女性が現れたら、だいたいいい雰囲気になるけどねルーシー・スミスと境遇が似てるから、このまま惹かれ合って結婚したらますますブランソンはクローリー家に深く入ることになるな~少なくとも、バイオレットさまはそのつもりですね<バイオレットさま>さすがの貫禄、バイオレットさまでも、今回はバイオレットさまが珍しくイライラソワソワバイオレットさまの従妹が王妃の付添人をしてるって、クローリー家は本当に名家なんですねで、従妹のバグショー夫人が今回のバイオレットさまの敵w理由は、クローリー家に伝わる家を息子のグランサム伯爵に相続させず、自分のメイドのルーシー・スミスに譲ると言ってるからグランサム伯爵家の物を、使用人にやるなんて!!! と激怒ですイザベルさまに皮肉を言われても、それ以上に辛辣な言葉で言い返し、嫌味も褒め言葉に変換するバイオレットさまイザベルさまにやり込められても、顎をツンと上げて終わりにしちゃう宮廷でさぞかし鍛錬されたんでしょうねそのルーシー・スミスがバグショー夫人と使用人の間に生まれた子供とわかったら一転して手のひらを返して、優しく許すのには、びっくりしましたけど、それもバイオレットさまの計画のうちルーシー・スミスとブランソンが結婚したら、確実にグランサム伯爵家の血が繋がりますからねシビルが死んで、シビーの父としてダウントンにいるブランソンをもう一つのしがらみで結び付けられるし、ルーシー・スミスが相続した家は結婚したらブランソンの管理になるしそうなったら、グランサム伯爵家に戻ってきますものただの怖い大奥様に見えるけど、クローリー家に対する愛情は誰よりも深いです領地の維持に心折れそうなメアリーを叱咤し、慰め自分はもう長くないから、と後を託すと言いながらも、他の人が来たらシャンとして舞踏会に参加するバイオレットさま100年後も生活様式は変わっても、ダウントン・アビーが続くようにと……うん、この映画の舞台の1927年から100年後の2027年まであと7年きっとダウントン・アビーのあのお城は残っているでしょう<コーラ>どうしてもバイオレットさまやメアリーさまの強烈な個性に隠れてしまうけれど愛情深い母としてコーラ夫人は、いつもそこにいる印象です今回も、バタバタしてるメアリーさまに片眉上げつつ見守っているし、メアリー王女とのお茶会ではそつなく振舞い、晩餐会でも、モールズリーが勝手な発言をしたら、すかさずとりなし、イーディスが出産の頃にヘクサム卿が皇太子のアフリカ訪問に同行させられるとなったらヘクサム卿が国王陛下に直訴しても駄目だったのに、メアリー王妃に話をして、王妃経由で国王を説得してしまう母の愛ロイヤル・ビジットにウキウキしてるコーラ夫人は可愛らしかったです<デイジー>相変わらずお騒がせのデイジーですロイヤル・ビジットに対して辛辣なことを言うし、ちっとも嬉しくないと全身で見せてでも、仕事はちゃんとやるし、逸った村人たちが準備した食材は買い取るんですけどね交際してるアンディには冷たくって、ボイラーを直しに来た配管工には優しくする「ただボイラーを直してくれるから親切にしただけ」というけどそこまで鈍いか? ちょっとその気を見せたら靡くのを楽しんでないか?デイジーと配管工の仲に嫉妬したアンディが、よりによって国王陛下訪問の朝にボイラーを壊したことを告白したら、「あなたにも熱い心があったのね!」と結婚を承諾のくだりが理解できない自分への嫉妬を露わにしたことを喜んでいるの?まぁ、反体制主義と言いつつ、口でグチグチ言ってるだけだから、鬱陶しいだけで、実害はさほどないんだけど、もー、面倒くさいなぁ