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カテゴリ:ウルトラマンG
YouTubeでウルトラマングレートの公式配信が始まった。
ウルトラマングレートは1990年に円谷プロダクションがオーストラリアとの合作で制作したオリジナルビデオ作品だ。 日本のウルトラマンと違う柔らかな繊維で作られたスーツと、巨体を持つ外国人スーツアクターによるグレートの佇まいがリアルな巨大感を生み出しており、オーストラリアの広大な土地を活用したオープンセットでの特撮はこれもまたリアルな巨大感を演出していて、従来の国内作品の戦闘シーンとは一線を画す魅力を思う存分堪能できる名作である。 海外のスーツアクターさんはそもそもスーツアクター専門でやっているとも思えないので(実際は知らない)、日本の作品と比べてウルトラマングレートは足でしっかり地面を踏みしめるというちょっと違和感のある演技をしている。上手く言えないけど、「右向け右!→ダンッ!ダンッ!(足音)」みたいな感じ。足を伸ばした状態で足裏を地べたに叩き使けるような動きをちょくちょくするのだ。 その演技は国産のウルトラマンには中々見られないもので、良い意味で異質な作品、異質なヒーローという感覚を抱かせてくれた。もちろん個人的な感想だけれども。 第一話は火星のシーンからスタートし、ゴーデスとのファーストバトルが描かれる。偶然それを二人のアストロノーツが目撃し、そのうちの一人ジャック・シンドーとグレートは一体化して地球へやってくるのだが、ゴーデスってそもそも火星で何してたんだ?資源を貪りに来たのか、それとも地球侵略の準備をしてたのかな? どちらにせよ、人間の知らないところで静かにこのような戦闘が繰り広げられているというのは、世界観に深みが出てとても良いと感じた。ゴーデスの造形がマジで気持ち悪いのもGood。グッドです。グッデス。 グレートに敗れたゴーデスは細胞を飛散させる。 そして飛び散ったゴーデス細胞は地球に降り注ぎ、地中にいた両生類に取りついて怪獣化させてしまった。 そうして現れた「双脳地獣ブローズ」。地底怪獣じゃなく、双脳地獣ってのがシブい。実際に頭が上下に二つあるユニークな姿をしている。宇宙人以外でこんな奇形な怪獣が第一話で登場するウルトラ作品は他にない。 軍事組織ユーマの隊員たちは戦闘機ハマーで打って出るがまったく歯が立たない。この無力っぷりは、この作品における怪獣やゴーデス、そしてウルトラマンが人智を超えた存在として描かれることをよく表していると思う。 ちなみに、ユーマの基地からのハマー発進→市街地に地響きが起こりビルの窓が弾け飛ぶ→土砂を飛び散らせて地中からブローズ出現。この流れがカット割りのテンポとBGMが相まって非常にかっこいい。 撃墜されたヒロインのもとに現れるジャック・シンド―はウルトラマンに変身。 突如現れたもう1体のモンスター=ウルトラマンに驚愕するユーマの面々。 「ヒューマノイドだ(※吹き替え版)」的なセリフを発するくだりは、最新作「ウルトラマンZ」でも似たようなシーンが描かれていて共振する個性を感じる。 戦況に対してピリピリしてみせる隊長に対し、ノラリクラリと命令を躱すひょうひょうとした隊員たち。ユーマのこの空気感もこの作品の特徴のひとつと言えるだろう。なにしろ、日本の作品と違って多国籍なメンバーが揃っていて、ユーモアのない人間は誰一人としていない。 隊長からウルトラマンの抹殺を命じられレーザーショットを放つがまったく効果が見られないその現実に、チャールズ隊員は「信じられん」と絶句するがロイド隊員は「信じろ」とよく分からん返答をするこのやり取りなんかも結構好き。 そしてグレートの必殺技『バーニングプラズマ』が炸裂する。 このスペシウム光線系とはまるで違うポーズで出す必殺技が素晴らしい。 スペシウム光線、八つ裂き光輪、アイスラッガー、フォトンエッジあたりと並ぶオリジナリティ。 バーニングプラズマやマグナムシュート、ディゾルバーなど、必殺技のネーミングセンスも日本のシリーズとは一線を画す。 第2話からは、ゴーデスの地球上での暗躍が本格的に始まる。 シリーズ通しての敵が人間体として暗躍し、主人公サイドにも接触を図ってくるという設定は、ウルトラシリーズではグレートが初では? 後の作品ではネクサスやニュージェネなんかで見られるけれど。 とにかくユーモアのあるセリフ回しやリアルな基地描写、多国籍隊員による国際組織感など、リアルさも追及されたウルトラマンGという作品。 画質の悪さだけが残念だけれども、当時の日本とオーストラリアの走査線の違い?か何かでやむを得ない事情があるそうだから、観れるだけでも満足しなきゃ。数年前までは視聴すら叶わなかったのだから。 というわけで今後のYouTube配信も必見だ。 ウルトラマンG / 島本和彦 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.09.12 17:43:22
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