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カテゴリ:園芸
中日春秋 (書写) 神話の名打ち上げれなく陽炎に カイロスは、ギリシャ神話の「時」の神。頭の前部に長い髪があ るが、後部は髪がないという▼男の神だが「幸運の女神には前髪し かない」という言い回しもある。好機が来たら逃がさずつかまえな くてはいけないとの意とされる。後ろ髪がないので追いかけてつか まえることはできない―▼今回はチャンスを逸した。カイロスとい う名の民間小型ロケット1号機が昨日、和歌山県串本町の発射場で 打ち上げ直後に爆発した。上昇を始めて間もなく炎に包まれた映像 に息をのんだ。宇宙開発に失敗はつきものだが、見る者の記憶に残 る挫折である▼打ち上げを担う宇宙事業会社スペースワンはキャノ ン電子やIHI子会社などが出資。カイロスとの命名には、商いと して時間にこだわり世界でも契約から最短で、頻繁に打ち上げるこ とを目指す野心を込めたという▼神話ではプロメテウスが火を盗み 人類に授けたとされるが、文明が発展した今もなお、全能ならざる 人間は火を意のままに扱えない。他国との競争もあり、時間の経過 は悩ましいが、謙虚に原因を究明するほかなかろう▼カイロスの名 に似た神話のイカロスを思いだす。父と一緒に島の迷宮に閉じ込め られ、父考案のろう付けの翼で空を飛んで島を脱出するが、太陽に 近づきすぎてろうが溶け、海に墜落した。結果はともかく、窮地を 脱してみせるという闘志は見習いたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.14 05:45:30
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